インターネット字書きマンの落書き帳
11月11日に本当はお出しするネタです(みゆしば/BL)
平和な世界線で普通に付き合っている手塚×芝浦の話を……します!
今年のポッキーの日、ジャストには出せそうになかったので、少し早めにお出ししました。
ポッキーの日だ~! とそれにかこつけてキスしたいとたくらむ芝浦の話ですよ。
話は2002から2003年くらいを想定して書いているけどその頃からポッキーの日ってあったっけ?
とは思うけど、気にするな!
みんなhappyならいいんだよ!
今年のポッキーの日、ジャストには出せそうになかったので、少し早めにお出ししました。
ポッキーの日だ~! とそれにかこつけてキスしたいとたくらむ芝浦の話ですよ。
話は2002から2003年くらいを想定して書いているけどその頃からポッキーの日ってあったっけ?
とは思うけど、気にするな!
みんなhappyならいいんだよ!
『キスに続く赤い箱』
芝浦は手塚の家に行く前、いつもコンビニに寄っていた。
手塚はいつでも部屋を自由に使わせてくれたし、泊っていく事に対して文句を言う事もなければ何か対価を求めてくる事もなかったのだが、芝浦が部屋にいるというだけで光熱費も使うだろうし、トイレットペーパーやティッシュのような消耗品も一人の時と比べればかなり減っているだろう。それなのに手塚は決して芝浦から金を受け取ろうとはしなかった。
芝浦の家が資産家であるのは手塚も知っているのだが、『それはお前の親の金であり、お前はまだ学生だろう』と言い、学生から金を受け取るわけにはいかない、というスタンスを崩さなかったからだ。
だからせめて、寝泊まりする礼くらいになればとコンビニでお菓子や酒のつまみ、ビール、ちょっとした消耗品などを買っていく事にしていた。手塚は金は受け取らないが、食べ物や消耗品は手塚も有り難く受け取ってくれたからだ。
「あっ、そうだ」
芝浦は今日の日付を思い出し、赤いパッケージの箱を取る。
11月11日はこのお菓子の記念日で、このお菓子はいつからか良く合コンやパーティなどの「ゲーム」に使われるようになっていた。
棒状になったチョコ菓子を互いに端を加えて食べていき、先に口を離した方が負け。お互い負ける気がなければそのままキスをする事になる、そんな甘っちょろいチキンレースだ。
(手塚ってあんまりこの手のゲームするイメージないけど、やるとどうなるんだろうね)
密かにそう思いながら赤いパッケージの箱を籠に入れる。
そうして買ったお菓子にビール、乾き物などをビニール袋に入れると、それを片手に芝浦は手塚の家まで急いだ。 夏であったらまだ夕暮れ時だったろうが、あたりはすっかり暗くなり寒さが増している。
(手塚と付き合い始めた頃はまだ夏服でも良かったんだけどなぁ……)
コートのポケットに手を突っ込みながら、芝浦はそんな事を考える。
恋人としてつきあった時間はまだ短いんだろう。だがそれでも芝浦にとって、はじめて恋人同士としてきちんと向き合う事になった相手でもあり、一番長い時間を過ごしている相手でもある。
(俺ってもと飽きっぽい性格だと自分では思ってたけど……)
冬の鋭さを増した風に吹かれ、ビニール袋も揺れる。
(興味を持つと熱中しすぎるというか……周囲が見えなくなるほどのめり込んじゃう癖。まさか恋愛でもそういう所があるなんて、自分でも思ってなかったよね……)
自然と歩みが早くなる。手塚の事を思えば思う程、少しでも早く彼に会いたくなっていた。
「ただいまー」
ドアをノックすれば、すぐに手塚が出迎えてくれる。
今や家にいるよりずっと落ち着く手塚の部屋に入る時、挨拶はいつしか「お邪魔します」から「ただいま」へと変わっていた。
「おかえり、芝浦。外は寒かっただろう? 早く上がれ……部屋は暖まってるからな」
「ありがと、これお土産」
ビニール袋を手塚に渡すと、うがい、手洗いをしてリビングに戻る。
手塚はビニールに入ってたお菓子をテーブルの上に並べ、酒やジュースを冷蔵庫に入れている所だった。 テーブルの上には赤いパッケージのチョコレート菓子も置かれている。
「あ、そうだ」
芝浦は赤いパッケージに手を伸ばす。 件の「ゲーム」に、手塚を誘うためだ。
(手塚はどんな顔するんだろうなー。あれで恥ずかしがったりすると面白いけど、何も変わらず普通にキスしてくれそうだよね……)
そう思いながら伸ばした手は赤いパッケージに届く前に手塚に強く握られたかと思うと、手塚はそのまま芝浦を強く抱きしめた。
「……冷えてるな。外は寒かっただろ」
「えっ? あ、あぁ……」
「やはり、お前の身体は温かいな……傍にいるだけで、こんなに落ち着く……会いたかったぞ。淳……こっちを見てくれないか?」
「あっ、ちょ……えっ、えっ……うん、うん……」
頬に触れられた指先と言葉とで顔をあげれば、自然と唇が重なる。
その唇は熱いくらいに激しく、心から自分を求めてくれているキスだったから。
(あぁ、別にゲームなんてしなくても……手塚は、してくれるんだった……はは、変な口実作らなくてもよかったな……)
芝浦はただ、そのキスを受け入れ強く手塚の身体を抱きしめる。
長く続く暖かなキスをする二人の前に、赤いパッケージの箱は静かに置かれていた。
芝浦は手塚の家に行く前、いつもコンビニに寄っていた。
手塚はいつでも部屋を自由に使わせてくれたし、泊っていく事に対して文句を言う事もなければ何か対価を求めてくる事もなかったのだが、芝浦が部屋にいるというだけで光熱費も使うだろうし、トイレットペーパーやティッシュのような消耗品も一人の時と比べればかなり減っているだろう。それなのに手塚は決して芝浦から金を受け取ろうとはしなかった。
芝浦の家が資産家であるのは手塚も知っているのだが、『それはお前の親の金であり、お前はまだ学生だろう』と言い、学生から金を受け取るわけにはいかない、というスタンスを崩さなかったからだ。
だからせめて、寝泊まりする礼くらいになればとコンビニでお菓子や酒のつまみ、ビール、ちょっとした消耗品などを買っていく事にしていた。手塚は金は受け取らないが、食べ物や消耗品は手塚も有り難く受け取ってくれたからだ。
「あっ、そうだ」
芝浦は今日の日付を思い出し、赤いパッケージの箱を取る。
11月11日はこのお菓子の記念日で、このお菓子はいつからか良く合コンやパーティなどの「ゲーム」に使われるようになっていた。
棒状になったチョコ菓子を互いに端を加えて食べていき、先に口を離した方が負け。お互い負ける気がなければそのままキスをする事になる、そんな甘っちょろいチキンレースだ。
(手塚ってあんまりこの手のゲームするイメージないけど、やるとどうなるんだろうね)
密かにそう思いながら赤いパッケージの箱を籠に入れる。
そうして買ったお菓子にビール、乾き物などをビニール袋に入れると、それを片手に芝浦は手塚の家まで急いだ。 夏であったらまだ夕暮れ時だったろうが、あたりはすっかり暗くなり寒さが増している。
(手塚と付き合い始めた頃はまだ夏服でも良かったんだけどなぁ……)
コートのポケットに手を突っ込みながら、芝浦はそんな事を考える。
恋人としてつきあった時間はまだ短いんだろう。だがそれでも芝浦にとって、はじめて恋人同士としてきちんと向き合う事になった相手でもあり、一番長い時間を過ごしている相手でもある。
(俺ってもと飽きっぽい性格だと自分では思ってたけど……)
冬の鋭さを増した風に吹かれ、ビニール袋も揺れる。
(興味を持つと熱中しすぎるというか……周囲が見えなくなるほどのめり込んじゃう癖。まさか恋愛でもそういう所があるなんて、自分でも思ってなかったよね……)
自然と歩みが早くなる。手塚の事を思えば思う程、少しでも早く彼に会いたくなっていた。
「ただいまー」
ドアをノックすれば、すぐに手塚が出迎えてくれる。
今や家にいるよりずっと落ち着く手塚の部屋に入る時、挨拶はいつしか「お邪魔します」から「ただいま」へと変わっていた。
「おかえり、芝浦。外は寒かっただろう? 早く上がれ……部屋は暖まってるからな」
「ありがと、これお土産」
ビニール袋を手塚に渡すと、うがい、手洗いをしてリビングに戻る。
手塚はビニールに入ってたお菓子をテーブルの上に並べ、酒やジュースを冷蔵庫に入れている所だった。 テーブルの上には赤いパッケージのチョコレート菓子も置かれている。
「あ、そうだ」
芝浦は赤いパッケージに手を伸ばす。 件の「ゲーム」に、手塚を誘うためだ。
(手塚はどんな顔するんだろうなー。あれで恥ずかしがったりすると面白いけど、何も変わらず普通にキスしてくれそうだよね……)
そう思いながら伸ばした手は赤いパッケージに届く前に手塚に強く握られたかと思うと、手塚はそのまま芝浦を強く抱きしめた。
「……冷えてるな。外は寒かっただろ」
「えっ? あ、あぁ……」
「やはり、お前の身体は温かいな……傍にいるだけで、こんなに落ち着く……会いたかったぞ。淳……こっちを見てくれないか?」
「あっ、ちょ……えっ、えっ……うん、うん……」
頬に触れられた指先と言葉とで顔をあげれば、自然と唇が重なる。
その唇は熱いくらいに激しく、心から自分を求めてくれているキスだったから。
(あぁ、別にゲームなんてしなくても……手塚は、してくれるんだった……はは、変な口実作らなくてもよかったな……)
芝浦はただ、そのキスを受け入れ強く手塚の身体を抱きしめる。
長く続く暖かなキスをする二人の前に、赤いパッケージの箱は静かに置かれていた。
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