インターネット字書きマンの落書き帳
風間さんはっぴはっぴばーすでー!(風間と坂上)
風間望誕生日おめでとう!
実際のところ、3月1日に卒業する高校が圧倒的に多いから風間は誕生日が来る前に卒業しちゃうね……。
それどころか、2024年の誕生日は日曜日で学校にも行かないね……。
でも風間なら学校あろうとなかろうと自分のプレゼントを率先してもらいに行くよね!
そう思って、坂上くんにプレゼントをもらいに行く風間の話をかきました。
風間望、18歳おめでとう。
また来年も18歳になろうね♥
実際のところ、3月1日に卒業する高校が圧倒的に多いから風間は誕生日が来る前に卒業しちゃうね……。
それどころか、2024年の誕生日は日曜日で学校にも行かないね……。
でも風間なら学校あろうとなかろうと自分のプレゼントを率先してもらいに行くよね!
そう思って、坂上くんにプレゼントをもらいに行く風間の話をかきました。
風間望、18歳おめでとう。
また来年も18歳になろうね♥
『窓辺で笑うキミとボク』
放課後、幾分か温かな日差しが差し込む窓辺で坂上は荷物をまとめていた。
3月3日。もう三年生は卒業し、来年度に新一年生が入るまで新聞部は二年生と一年だけで活動しなければいけない。新聞部には幽霊部員も多く、積極的に部活動へ参加しているのは坂上と倉田の二人くらいだから、今月の学校新聞では自分が任される記事も増えるだろう。
責任が重くなるのは気が小さな坂上にとって憂鬱ではあったが、卒業する前に日野から「新聞部のこと頼んだぞ」なんて肩を叩かれたのだからぐずぐずと足下ばかり見ていられないだろう。
二年生へ進級したら部活の勧誘をして少しでも多くの新一年生に入部してもらい、記事にすることで学校内の新しい発見を見いだす楽しみや取材を通じて交流が出来る喜び、無事に新聞が完成した時の感動を味わって欲しい。
様々な思いを噛みしめ感慨に浸る坂上の耳に、本来ここで聞くはずのない声が響いた。
「やっほー、坂上くん。随分と難しい顔をしてるねぇ、もっと楽しそうにしてくれなきゃ困るよ。ほら、今日が何の日か忘れちゃった訳じゃないよね」
見れば窓辺で風間が微笑んでいる。
大概の高校が3月1日をもって卒業をする例に違わず、風間もつい二日前に卒業した身だ。実際は年度末まで在籍扱いになるから卒業してもまだ鳴神学園の三年生という立場が消えた訳ではないが、それでも学校に来る理由はない。
だが、坂上はどうして来ているのかという疑問よりやっぱり来たのかという諦めにも似た感情を抱いていた。というのも、風間は受験シーズンになり三年があまり学校へ来なくなる頃でも頻繁に坂上のクラスへ訪れては「実はね坂上くん、ボクの誕生日は3月3日なんだよ。祝ってくれてもいいんだよ」なんてことをわざわざ言いに来ていたからだ。
いくら風間でも卒業してから学校に来ることはないだろうと僅かに期待していたのだが、期待を裏切るほど大人げないのが風間という男だった。
そういえば、風間は結局大学へ行ったのだろうか、それとも就職したのだろうか。受験シーズンになっても頻繁に学校へ来ては自分の誕生日をアピールするついでに『前祝いで500円くれないかな』なんて、寸借詐欺みたいな真似ばかりしていたから全く聞いていなかった。
風の噂では鳴神系列の大学へ進学したとも、超名門大学に合格していたとも言われているし、公務員試験をパスして市役所勤めをするとか、テレビ局に採用され来年からはADとして働く予定だとも聞いている。本人は、自分は宇宙人だからスンバラリア星に帰って人間たちの文化を伝えるとか言っているが、どれも嘘っぽくてどれもあり得そうだと思ってしまうのが風間という男だから、結局真偽を聞けないまま卒業してしまったのだ。
「どうしたのさ、ほらほら坂上くん。プレゼント、プレゼント……ボクの誕生日プレゼントはまだかーい。くれなければずーっとつきまとっちゃうけど? 家にまでついていって耳元でずーっとプレゼントって囁いてあげてもいいけど、ないの?」
風間はプレゼント、プレゼントとリズミカルに口ずさみ身体を小さく揺らしている。背丈は坂上よりずっと大きいがまるで子供だな。坂上は内心呆れながら、鞄の中から紙袋を取りだした。
「はい、これ。プレゼントです、お誕生日おめでとうございます、風間さん」
「おぉ……!? ほほほほほ、本当に準備しておいてくれたのかい!?」
「ちゃんと500円以上のものを選びましたから、追加で500円とか言わないでくださいね」
紙袋を受け取った風間は、それを上からのぞき込んだり横から眺めたりと、開けてもいないのに嬉しそうだ。普段から当然のように500円をせびっていたからプレゼントもまた当然のように受け取って去って行くのだろうと思ったので、こんなに喜んでくれたのは少々意外だ。
「そんなに嬉しいんですか?」
思わずそう問いかける坂上を前に、風間はその場でくるりとターンをし身体中で喜びを現すとアイドルのようにウインクしてみせた。
「そりゃぁ、嬉しいさ! 今年の誕生日は卒業式の後だろう? 卒業したら今までの仲間と会う機会はぐっと減るし、三月に入ったら就職のために引っ越しだとか大学へ通うために一人暮らしだってみんな忙しくなっちゃうじゃないか。だからねぇ、今年は誰からもプレゼントなんてもらえないし、誕生日も祝ってもらえないと思っていたんだよ」
その割には随分としつこくアピールをしていた気がするが、それも寂しさの裏返しなのだろうか。そう思いかけ、風間を気の毒に思いそうになった自分の目を覚ますよう坂上は首を振り風間の言葉を打ち消した。いつも風間は自分の顔が可愛いと思っているようなあざとい仕草で情に訴えてくるから、こちらもつい絆され優しくしてきたのだ。それで今まで何度もひどい目にあっているのだから甘い顔をしてはいけない。
「プレゼントはあげたんですから、もういいですよね」
あくまで冷静に、絆されないよう心がけながら風間に告げれば、風間は嬉しそうに頷くとプレゼントを高く上げ満面に笑みを浮かべた。
「あぁ、ありがとう! 地球を去る前に最高のお土産が出来たよ坂上くん。母星に戻ってもこれは、キミとボクの友情としてずっとずっと大切にするからね」
たかが誕生日プレゼントで何て大げさなんだろうと思う。だが風間が今まで見せたことのない程、嬉しそうに笑うから坂上も少し嬉しくなり自然と笑顔になっていた。
「僕も、今までありがとうございます。風間さんはいつも僕に大変なことばっかり押しつけて、いっぱい苦労しましたけど……風間さんと一緒にいる時は、結構楽しかったですよ。お誕生日おめでとうございます、卒業しても、お元気で……また会いましょう」
結局情にほだされてしまったが、これくらいは言ってもいいだろう。用も無いのに絡んで来てはずっと近くで遊んでいる風間は年上なのに子供みたいで扱いは大変だったけど、いないと寂しい気持ちになるのは事実なのだから。
「もちろん、また会いに来るよ。何年かかってもまた、地球の調査官としてキミたちのところに遊びにいくさ」
風間は嬉しそうに手をふると、鼻歌交じりで去って行った。
それにしても、母星にかえるお土産とは家に帰るだけなのに随分と個性的な表現だ。風間は以前から自分は宇宙人だという設定で話をすることがあったから、今日の言葉もその延長だろう。まるで今生の別れのように語る姿は随分と真に迫っていたが、風間の演技力も随分上がったということだろうか。それとも卒業したから少し感傷的になったのだろうか。
いや、そんなことを考えている場合ではない。そろそろ部室に行かないと、もう活動は始まっている時間だ。慌てて支度をして教室から出ようとする坂上と入れ替わるよう、クラスメイトの内山が入ってきた。
「あ、内山くん」
「坂上くんか……今まで一人だった? 誰かと話をしていたみたいだけど……」
「うん、先輩の風間さんと窓辺で話をしていたんだ。風間さんが誕生日だったから、プレゼントを渡してたけど」
「窓辺で……って、坂上くんも冗談を言うんだね。僕たちのクラス、教室棟の最上階、3階だよ。窓辺で対面してプレゼントを渡すとか、出来るはずないもんね」
内山に指摘され、坂上は慌てて振り返る。そうだ、ここは三階で、窓から身を乗り出して声をかけるなんてことあり得ない。
だが、確かに自分は風間と話していたのだが。
坂上が振り返った時、開け放たれた窓辺で軽やかにカーテンが揺れているだけだった。
放課後、幾分か温かな日差しが差し込む窓辺で坂上は荷物をまとめていた。
3月3日。もう三年生は卒業し、来年度に新一年生が入るまで新聞部は二年生と一年だけで活動しなければいけない。新聞部には幽霊部員も多く、積極的に部活動へ参加しているのは坂上と倉田の二人くらいだから、今月の学校新聞では自分が任される記事も増えるだろう。
責任が重くなるのは気が小さな坂上にとって憂鬱ではあったが、卒業する前に日野から「新聞部のこと頼んだぞ」なんて肩を叩かれたのだからぐずぐずと足下ばかり見ていられないだろう。
二年生へ進級したら部活の勧誘をして少しでも多くの新一年生に入部してもらい、記事にすることで学校内の新しい発見を見いだす楽しみや取材を通じて交流が出来る喜び、無事に新聞が完成した時の感動を味わって欲しい。
様々な思いを噛みしめ感慨に浸る坂上の耳に、本来ここで聞くはずのない声が響いた。
「やっほー、坂上くん。随分と難しい顔をしてるねぇ、もっと楽しそうにしてくれなきゃ困るよ。ほら、今日が何の日か忘れちゃった訳じゃないよね」
見れば窓辺で風間が微笑んでいる。
大概の高校が3月1日をもって卒業をする例に違わず、風間もつい二日前に卒業した身だ。実際は年度末まで在籍扱いになるから卒業してもまだ鳴神学園の三年生という立場が消えた訳ではないが、それでも学校に来る理由はない。
だが、坂上はどうして来ているのかという疑問よりやっぱり来たのかという諦めにも似た感情を抱いていた。というのも、風間は受験シーズンになり三年があまり学校へ来なくなる頃でも頻繁に坂上のクラスへ訪れては「実はね坂上くん、ボクの誕生日は3月3日なんだよ。祝ってくれてもいいんだよ」なんてことをわざわざ言いに来ていたからだ。
いくら風間でも卒業してから学校に来ることはないだろうと僅かに期待していたのだが、期待を裏切るほど大人げないのが風間という男だった。
そういえば、風間は結局大学へ行ったのだろうか、それとも就職したのだろうか。受験シーズンになっても頻繁に学校へ来ては自分の誕生日をアピールするついでに『前祝いで500円くれないかな』なんて、寸借詐欺みたいな真似ばかりしていたから全く聞いていなかった。
風の噂では鳴神系列の大学へ進学したとも、超名門大学に合格していたとも言われているし、公務員試験をパスして市役所勤めをするとか、テレビ局に採用され来年からはADとして働く予定だとも聞いている。本人は、自分は宇宙人だからスンバラリア星に帰って人間たちの文化を伝えるとか言っているが、どれも嘘っぽくてどれもあり得そうだと思ってしまうのが風間という男だから、結局真偽を聞けないまま卒業してしまったのだ。
「どうしたのさ、ほらほら坂上くん。プレゼント、プレゼント……ボクの誕生日プレゼントはまだかーい。くれなければずーっとつきまとっちゃうけど? 家にまでついていって耳元でずーっとプレゼントって囁いてあげてもいいけど、ないの?」
風間はプレゼント、プレゼントとリズミカルに口ずさみ身体を小さく揺らしている。背丈は坂上よりずっと大きいがまるで子供だな。坂上は内心呆れながら、鞄の中から紙袋を取りだした。
「はい、これ。プレゼントです、お誕生日おめでとうございます、風間さん」
「おぉ……!? ほほほほほ、本当に準備しておいてくれたのかい!?」
「ちゃんと500円以上のものを選びましたから、追加で500円とか言わないでくださいね」
紙袋を受け取った風間は、それを上からのぞき込んだり横から眺めたりと、開けてもいないのに嬉しそうだ。普段から当然のように500円をせびっていたからプレゼントもまた当然のように受け取って去って行くのだろうと思ったので、こんなに喜んでくれたのは少々意外だ。
「そんなに嬉しいんですか?」
思わずそう問いかける坂上を前に、風間はその場でくるりとターンをし身体中で喜びを現すとアイドルのようにウインクしてみせた。
「そりゃぁ、嬉しいさ! 今年の誕生日は卒業式の後だろう? 卒業したら今までの仲間と会う機会はぐっと減るし、三月に入ったら就職のために引っ越しだとか大学へ通うために一人暮らしだってみんな忙しくなっちゃうじゃないか。だからねぇ、今年は誰からもプレゼントなんてもらえないし、誕生日も祝ってもらえないと思っていたんだよ」
その割には随分としつこくアピールをしていた気がするが、それも寂しさの裏返しなのだろうか。そう思いかけ、風間を気の毒に思いそうになった自分の目を覚ますよう坂上は首を振り風間の言葉を打ち消した。いつも風間は自分の顔が可愛いと思っているようなあざとい仕草で情に訴えてくるから、こちらもつい絆され優しくしてきたのだ。それで今まで何度もひどい目にあっているのだから甘い顔をしてはいけない。
「プレゼントはあげたんですから、もういいですよね」
あくまで冷静に、絆されないよう心がけながら風間に告げれば、風間は嬉しそうに頷くとプレゼントを高く上げ満面に笑みを浮かべた。
「あぁ、ありがとう! 地球を去る前に最高のお土産が出来たよ坂上くん。母星に戻ってもこれは、キミとボクの友情としてずっとずっと大切にするからね」
たかが誕生日プレゼントで何て大げさなんだろうと思う。だが風間が今まで見せたことのない程、嬉しそうに笑うから坂上も少し嬉しくなり自然と笑顔になっていた。
「僕も、今までありがとうございます。風間さんはいつも僕に大変なことばっかり押しつけて、いっぱい苦労しましたけど……風間さんと一緒にいる時は、結構楽しかったですよ。お誕生日おめでとうございます、卒業しても、お元気で……また会いましょう」
結局情にほだされてしまったが、これくらいは言ってもいいだろう。用も無いのに絡んで来てはずっと近くで遊んでいる風間は年上なのに子供みたいで扱いは大変だったけど、いないと寂しい気持ちになるのは事実なのだから。
「もちろん、また会いに来るよ。何年かかってもまた、地球の調査官としてキミたちのところに遊びにいくさ」
風間は嬉しそうに手をふると、鼻歌交じりで去って行った。
それにしても、母星にかえるお土産とは家に帰るだけなのに随分と個性的な表現だ。風間は以前から自分は宇宙人だという設定で話をすることがあったから、今日の言葉もその延長だろう。まるで今生の別れのように語る姿は随分と真に迫っていたが、風間の演技力も随分上がったということだろうか。それとも卒業したから少し感傷的になったのだろうか。
いや、そんなことを考えている場合ではない。そろそろ部室に行かないと、もう活動は始まっている時間だ。慌てて支度をして教室から出ようとする坂上と入れ替わるよう、クラスメイトの内山が入ってきた。
「あ、内山くん」
「坂上くんか……今まで一人だった? 誰かと話をしていたみたいだけど……」
「うん、先輩の風間さんと窓辺で話をしていたんだ。風間さんが誕生日だったから、プレゼントを渡してたけど」
「窓辺で……って、坂上くんも冗談を言うんだね。僕たちのクラス、教室棟の最上階、3階だよ。窓辺で対面してプレゼントを渡すとか、出来るはずないもんね」
内山に指摘され、坂上は慌てて振り返る。そうだ、ここは三階で、窓から身を乗り出して声をかけるなんてことあり得ない。
だが、確かに自分は風間と話していたのだが。
坂上が振り返った時、開け放たれた窓辺で軽やかにカーテンが揺れているだけだった。
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