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インターネット字書きマンの落書き帳

   
ムルソーが寝ているだけの話(リンバス)
リンバスカンパニー。
別次元の人格をかぶせると、その記憶や経験を持ち越すよ! って設定があるみたいですね。

ど、どういう事……?
と焦燥感を抱きながら、「こういう事……?」といふ話を書きました。

バラとスパナ工房のブラック社畜人格、その記憶をもちこしてブラック社畜ストレスがマッハになったムルソーが寝るのをみんなで見守る話です。

ほのぼのストーリー!
だいじょうぶ!

ドンキホーテ、ダンテ、グレゴール、ヒースクリフあたりが出ます。
ムルソーはずっと寝てます。


『社畜ムルソーの記憶』

 どこから拾ってきたかもわからぬフィクサーのバッジをピカピカに磨いたドンキホーテはそれを襟元につけると満足げな顔をしてバスに戻ってきた。

「ただいま帰りましたぞ、管理人殿!」

 ステップを踏みバスの階段をかけあがると、遅刻した事を謝る様子もなく普段通りの挨拶をする。そんなドンキホーテの大音量ボイスを留めるよう、ヒースクリフが口を塞いだ。

「むがっ、何をするでございまするかっ。ふしだらな狼藉、成敗いたしますぞっ」

 ドンキホーテは手足をじたばたさせ必死に抗議をするが、ヒースクリフの大きな手に口を塞がれ身体を押さえつけられているのもあり声にはならずもごもごとくぐもった音が微かに響くだけだった。
 どうしてこんな目にあわなければいけないのだ。ヒースクリフは短気だし怒ると同時に手が出る粗暴な男だが、意味なく理不尽にドンキホーテを押さえつけるような事はしなかったはずだ。文句を言いたげな視線を向けると、ヒースクリフは呆れと諦めの視線を奥の座席に向けた。

「他の連中が少しばかり寝かせておいてやれって言うからな。今だけ静かにしてろ、テメェのバッジ自慢なら後で聞いてやるからな」

 ヒースクリフの視線を追い座席へ目をやれば、そこにはムルソーが大きな身体を丸め横になっている姿があった。
 疲れていたのか、ドンキホーテが大声で入ってきたのにもかかわらずぐっすりと眠っている。身体は座席で眠れるように小さく丸めているが、いかんせん大きすぎるのではみ出している足はいくつかの一斗缶や段ボールが支えていた。

「どういう事でございまするか。どうしてムルソー殿はこんな所で寝ているのでありまする?」

 寝ているムルソーに気をつかう程度にはドンキホーテも空気が読める。不思議そうに座席をのぞき込みながら周囲の囚人に聞けば、ダンテがカチカチと秒針の音をたてた。

(実はさっきまでムルソーに別の人格をかぶせていたんだよ。バラとスパナ工房の裏方事務だって言ってたかな。それを元の人格に戻したら、どっぷり疲れて眠たそうにしていたから、少しだけ寝かせてあげる事にしたんだ。それじゃなくてもムルソーは普段から頑張ってくれているからね)

 ダンテの言葉に応じるよう、ファウストはムルソーへ毛布をかける。
 ムルソーの寝顔をのぞき込んでいたグレゴールは囚人を見渡すと、申し訳なさそうに頭を下げた。

「俺からも頼む、少しでいいから寝かせておいてくれ。本当、次の目的地に着くまででいいんだ。いや、俺も工房での記憶がうっすらあるんだが、いっつも仏頂面で疲れた顔して無理して、いつ寝てんだって感じのムルソーが青白い顔している姿しか見てないんだよな。たから、せめてここでくらい寝かせてやれればいいなんて、ちょっと思っちゃってな」

 こんな事をしても別世界のムルソーが報われる事はないのだろう。だが、過酷な記憶と膨大なストレスを担ったこの世界のムルソーをねぎらう事にはなるはずだ。

「わかりましたぞ、今日はこのドンキホーテ、静かにする任務に従事するでございまする」

 ドンキホーテは頷くと、普段より静かに歩きシンクレアの隣に腰掛ける。
 皆がムルソーの眠りを見守る中、バスは普段よりゆっくりと、ゆりかごが揺れるように走り出した。
 たった一時でも、一瞬の微睡みでも、安らいで眠れる時間がムルソーにもあると良い。そんな事を祈るように。

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インターネット駄文書き
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紳士をこじらせているので若干のショタコンです。
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