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インターネット字書きマンの落書き帳

   
全ては終った、後は祈れ。(アイザックとデアンの話)
組織の月イベント楽しかったです!(挨拶)

いや、俺がグラブルを始めたとき、組織イベントが始まった頃で……。
なんか、スカルくんにベアトリクスが恥ずかしい格好させられていて 「破廉恥だなぁ」 と思っていたんで、こうして7周年記念イベントとして実装されるのを見ると感慨深いですね。

ベアトリクス破廉恥だなぁ……。

それはさておき、月イベント楽しかったので何となくクリア記念に……。
月で、デアンから一方的に友情のようなものを感じられていたなんてきっとアイザックは気付いていなかっただろうけど、全てが落ち着いた今考えたら「ひょっとしたら彼だったら」と、そんな想いに浸るアイザックの一人語りみたいな話です。

便宜上、誰かが聞いている体裁だけどグラン君orジータちゃんあたりを想定して書いてます。
でもひょっとしたらグウィンとの会話かもしれませんね。
いや、グウィンだったらこんな他人行儀には話さないか……。

今回提出する妄言なのでお納めください。




『ただ祈ることだけは許されたい』

 ……月の話かい?

 そうだなぁ……。
 僕は月の末裔として、そしてエンジニアとして自分のルーツを探るような気持ちで「故郷」に向ったつもりだったんだけど、そこにあったのは酷い管理社会でね。

 それは必用なのか、不要なのか。
 役に立つのか、立たないのか。
 コスト面は、エネルギーをどれだけ使うのか、規律に則っているか、前例はあるか……。

 そういった指標に従順でね。
 合理的といえばその通りなんだろうけど、その度が過ぎるんだ。

 一切の個というのを認めていないから、不要になったら何でも捨てる。

 僕たちの場合は、そうだな……。
 例えば長年愛用していた万年筆なんてものは、もう壊れてしまってもなかなか捨てられなかったりするだろう?

 月では、そんな感情や感慨が入る余地なんて一切ないんだよ。
 だから、愛用の万年筆でも恋人からもらったマフラーでも両親が唯一残してくれた形見のペンダントでも、所持しているのに理由がなければ破棄されてしまう。

 驚きだろう?
 しかもその考えは「モノ」だけではなく「ヒト」にも適応されるんだから驚いたどころの騒ぎじゃなかったよ。

 僕は月の末裔としてすぐにエンジニアとして迎え入れられて、必用な技術を提供するという立場に置かれたワケだけど、そこでだって役に立たなければすぐに破棄されるんだ。

 月では、合理的な判断をするためのシステムが存在していてね……。
 そのシステムは、過去の歴史や事件、月の民の行動や思考などあらゆる記録を元に最も合理的な判断を下すようになっていてね。

 僕がエンジニアとして技術を提供している最中も、月は僕の作業効率の善し悪しを判断する……月のシステム、そのお眼鏡にかなわないとなると僕も即・破棄の対象になるというワケだ。
 常に成果を監視されているようなものだから、気が抜けなかったよ。

 僕だって、曲がりなりにもエンジニアだ。
 自分の仕事に誇りはあるし、手を抜くつもりも妥協するつもりもないさ。
 だけど、月で求められた仕事は、君たちも知っての通りで……。

 ……あれは、今でも我ながら非道い事をしたと思っているよ。
 相棒は……カシウスは僕を責めたりしないけど、倫理的にも人道的にも許される事じゃないと思っている。
 例えあの場ではそうするしか無かったとはいえ、彼には本当に大変な事をしてしまったと。そう思っているし、月の民を欺くためとはいえ君たちも騙すような形にしてしまったのは申し訳ないと、心の底からそう思っているよ。
 この事に関して、僕はただ悔いる事と詫びる事しか出来ないから……。
 ……一生、そうしていこうと思う。
 例え君たちが許してくれたとしてもね。

 月という場所が感情の一切を排除し合理的である理由は何とはなしに分るんだ。
 あの場所は思った以上に資源が少ないんだよ。
 一面は新雪の積もった銀世界のようで綺麗に見えるんだけど、その殆どが鉄分の混じった岩や砂だから、とても植物を育てられるような環境じゃない。
 植物が育たないんだから、家畜の育成だって当然無理。つまり食料を生産する能力が殆どないんだよ。
 だから、エネルギーを摂取する方法は自然と限られてくる。
 味や見た目なんか二の次の固形物なんかしか、まともに食べられるものはなかったかな……。

 今考えると、あの固形物も元は何だったのか…。
 いや、考えるのはよしておくよ。
 あんまり楽しくない考えにしかならなそうだからね。

 こっちに来て皆の影響で……月の民やカシウスはフォッシルとか言ってたね。
 フォッシルの影響でカシウスが料理に執着した理由、今ならはっきりわかるよ。
 味も見た目も良く、暖かい料理というのはやっぱり最高だってね。

 月の民は……僕らのように食事、というのは基本的にとらないらしい。
 カシウスも、こっちに来るまで食事を不合理だと思っていたみたいだろう。
 必用な栄養……エネルギーは合成された栄養剤を注射したりするのが普通で、固形物すらとらない事も珍しくないそうだ。
 むしろ、あえてそういった固形物をとるのは嗜好品に分類されたりして、一定の戦果がなければ得られないような仕組みみたいだね。

 ……あぁ、厳しい環境だよ。
 だから月の民ってのは、適合手術という月の生活に対応した身体に改造されるのが普通みたいだよ。
 とはいえ、この適合手術も単純に月での生活……。
 こっちより少ない空気や重力、乏しい食料でも生きていける身体になるってだけでもないらしい。

 キミたちも会っただろう、月の戦士たち……。
 異常な第六感に優れてキミたちの精神に介入したり、岩でも鉄でも、それでこそ機神でも平気で食べてみせたりなんて、そういった特殊な能力を得る為に身体を限界まで改造しているんだよ。
 そういった一流の戦士たちが産まれるまでにいくつの犠牲があったのか……。

 いや、こんな事考えても詮無い事だね……。
 それに、月の民から侵攻を止めるという大義名分があったとはいえ、こっちでも多くの犠牲を払って兵器を開発していたのは事実なんだ。
 その点で、僕らも月の民もどっこいどっこいさ。

 ……争い、ってのはそういうものだからね。
 
 そういえば、月に対抗する兵器はデアンを止めるのに使ったんだってね。
 聞いたよ
 まさか彼までこっちに来ているとは思わなかったし、君たちが彼を止めてしまうとも思っていなかったけどね。

 ……デアンは、僕にとっては少し不思議なヒトだったんだ。
 いや、他の面々が個性的すぎたってのは確かなんだけどね。
 何せこっちの考えを見通せるような奴や、しょっちゅう僕の腕を齧っては美味しい美味しいと笑っている子が常に傍にいたものだから、心安まる日なんてなかったんだけど、デアンはその中でも落ち着いていて、少しは話しやすかったというか……。

 デアンも月の民だから、あくまで合理的に。客観的に僕を評価し監視する。
 そして必用とあらば迅速に始末するために傍にいたんだろうとは思うんだけど、あの場では会話が成立するだけでも奇跡みたいなものだったから、僕の話を聞いて、理解した上で色々と話をしてくれていたから……。

 勿論、デアンは月の民であり月の機関に所属する民だ。
 機関が世界を滅ぼす意向でありデアンはその意思に賛同し動く限りは敵だってのは理解しているけど、僕個人としてデアンは……何といえばいいんだろうな。

 ……時と場所が違えばあるいは、もっと語り合えていたかもしれない。

 まったくそう思わなかった、と言えば嘘になるからね。
 僕が見たデアンはすでに適合手術を受けていて、驚異的な身体能力をもち数年は食事も睡眠も不要で戦い続ける事が出来るなんて人の常識を飛び越えたムチャクチャな存在で、それは月にとって単なる強力な兵器の一つに過ぎなかったんだろけどさ。

 そうなる前の彼は、どんなヒトだったんだろう……。
 少しだけ、そう思ってるのも事実なんだよ。

 彼には色々と、僕のワガママを聞き入れてもらったのもあったからね。
 敵だったとはいえ、その恩義に何も報いる事が出来なかったのが少しだけ心残りなのかもしれないな。

 うん……。

 あぁ、一つ、僕も聞いていいかな。
 キミは直接見てないかもしれないけど、デアンの事だ。
 彼は、その……最後、どう……どう、だったのかなって。

 その……何というのかな……。
 せめて苦しまずに逝けたのかな……って……。

 ……えっ?
 彼は、最後笑っていたのかい?

 そう……そう、そうか……そう……。
 いや、ありがとう。変な事を聞いてごめんよ。それを聞いただけで、もう充分だ。

 そうか……彼は最後、笑っていたのか……。

 ……願わくば、彼がこの世界を見て美しいと思ってくれたことを。
 そしてこの美しい世界に融けて逝けた事にほんの一欠片でも喜びや幸福、安らぎに近い想いを抱いていればいい。

 最善をつくした僕に出来る事はもうただ一つだけ。
 後は祈れ……。

 そう、後はただ祈る事だけさ。

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インターネット駄文書き
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