インターネット字書きマンの落書き帳
堕天作戦のコサイタスとシバの話です
堕天作戦が読める世界に生まれて良かった……!
なんて、電子書籍で新刊が出るたびにしみじみ思っております。
連載が実質なくなってしまった時はマジか……って落胆したもんですが、読める! 読めるぞ!
この事実だけで嬉しいもんですね。
この作品は、まだ連載してた頃に書いたコサイタスとシバの話です。
シバに対して養父・コサイタスのついてインタビューするような話ですよ。
けっこう前に書いてwebサイトに載せていたんですが、今回ブログにサルベージしました。
二次創作、いつも存在しない空間とオハナシをしている!
ジャーナリストと話している風だけど、これ会話相手は死神とかそういうのだと思います。
なんて、電子書籍で新刊が出るたびにしみじみ思っております。
連載が実質なくなってしまった時はマジか……って落胆したもんですが、読める! 読めるぞ!
この事実だけで嬉しいもんですね。
この作品は、まだ連載してた頃に書いたコサイタスとシバの話です。
シバに対して養父・コサイタスのついてインタビューするような話ですよ。
けっこう前に書いてwebサイトに載せていたんですが、今回ブログにサルベージしました。
二次創作、いつも存在しない空間とオハナシをしている!
ジャーナリストと話している風だけど、これ会話相手は死神とかそういうのだと思います。
『堕天作戦/父子哀歌』
養父(ちち)の事を、聞かせてほしい……ッスか。
そんなの、俺よりあなたの方が詳しいんじゃないんですかね。
コサイタス……戴天党の中でもおそらく最も多く殺して、最も多くを氷らせた魔人……。
世間的にはオフレコにされてる事実ですが、あなたはそれも掴んでいるんでしょう。
あの件はうっすらと戴天党(うち)も噛んでいるんだろうって思われているみたいなんで蒸し返せばあなたの身に危険が及ぶと思うッスよ。
情報を扱うってのは時に兵器にも成り得る……ペンは剣よりも強しって奴ッスね。だからこそ、慎重に扱わないと大けがの元ッスからね。
……えっ?
将軍としてのコサイタスではなく、家族としての、養父に興味があるんスか。
そういわれても……うぅん……何とこたえたらいいんスかね……。
……えぇ、確かにコサイタスは、俺の養父……になります。
小さい頃はお養父(とう)さん、と呼び慕っていた事もあるんスけど、俺と養父では成長のペースも生活スタイルも色々と違ってましたからね。
一般的な家族のイメージとは明らかに違うでしょうし、俺自身も周囲と家族の話なんてしませんから、どう表現したものかわからないッスね。ご期待に添えずすいません。
一般的な、普通の……話ではなく、俺から見た素直な感想でいいんスか。
うぅん、俺もどちらかと言えば感情の起伏が少ない方だし何事にも無頓着なんでちゃんと表現できるか分からないですけど……。
養父は、心にいつも空虚を住まわせているような……言葉が、心に届いていかないような……そういう、人でしたね。
子供の頃は養父の態度がどうにも空々しく感じられて、一緒にいると、息苦しいような……いや、気が塞ぐという程暗くなる事はなかったんスけど、見ていて辛いような、哀しいような気持ちになって……。
どうしてこの人は凍えるような心を抱いて生きているんだろう、なんて思う事もありましたね。
あぁ、辛気くさくなっちまったッスね。
あなたは俺の出自を知っているんでしょう。
俺の養父の事を知ってるくらいだから、まぁそうでしょうね。
俺は……人間ではありません。
かといって、魔人でもない。
身体のあちこちに人工臓器をつけてやっと人並みの身体になれて、魔人のように人間にはない超常現象……魔法を扱える。
人間とは違う、だけど魔人とも違う成長をして、人工臓器のメンテナンスを頻繁にしなければすぐに理性を失って息絶えてしまう、そんな脆弱な存在なんです。
そういう中で……自分ははっきりと人間ではない、だが魔人にもなれないという認識のなかで、それでも人並みに振る舞わなければいけない。
そうしなければ、俺はここにはいられない……。
俺はずぅっと、そうやって生きてきたんですよ。
普通でなければいけないという価値観に囚われて、自分というものが何なのか、何が自分らしさなのか理解できないままふわふわと生きていたところがあるんで何となく分かってしまった、といえばいいんでしょうかね。
あるいは他の連中より、より長くコサイタスという存在に関わっていたってのもあるんでしょう。
俺には、あの人がいつもヒトのフリをして他人を欺いているような、そういう感覚が伝わっていたんスよ。
魔人ってのは、産まれた時からずっと戦争だったようなもんでしょう?
そのせいもあったのかもしれないし、養父が特殊な産まれだったのかもしれないのでどうしてヒトのフリをしていたのかは分からないんですが……。
あの人は、ヒトらしい感情というものを殆ど持っていなかったんじゃないかと、俺は、そう思うんです。
一緒にいると、随所にヒトは、そうするものだ。ヒトは、こういう時にこういうのだろう。だからこういう反応をするはずだ。
そういう考えや自分の経験で動いているんだろうな……ってのは、俺が小さいうちから感じていたっスね。
あぁ、このヒトはの感情は作り物だ。
声も表情が、ほかの「ヒト」とは違いすぎる……ってね。
小さい頃の俺は今よりずっと弱く、誰かに保護してもらわなければ生きられない状態でしたから、より一層強く養父の言動に違和感を抱いていたのかもしれないッスね。子供のほうが多感で様々な感情の機微に気付くとも言いますから。
最も、俺にとって養父の演技はそれほど悪い事ではなかったな……と思ってます。
人間とも魔人とも違う俺をヒトの感情をもたない養父が拾ったのは、子供に対して慈悲を見せるのが普通だという演技でありアピールの一環だろうと思うんスけど、それでも俺を生かしてくれたのは事実ですし。
育ての親がそういう特殊な魔人だったからこそ、俺もヒトとしての所作を取り繕う大切さに早くに気づけたってのもありますからね。
こう振り返ってみると、俺の方が養父よりヒトの感情については理解していたかもしれませんね。
養父は演技の大切さを理論的に理解していたとは思うんですが、感情的には理解してませんでしたから。
養父から見ると、俺はメソメソ悲観的に考え過ぎなのかもしれないッスね。
でも、俺は養父が特殊だったと思ってはいないんスよ。
えぇと……確かに養父の感情は欠落していたと思います。
そうじゃなければあんなにも容易く、容赦なく、沢山の殺しなんて出来ないでしょうし……殺した後にも平然と日常生活に戻ったりはしないと、思うんですけど。
それでも人間にだって、何割かこう……感情など一切なく、自分の損得と一時の支配欲でしか物事を考えられない個体が産まれると聞いてますし、戦時下ではもっと残忍な行為に手を染める連中がいるのも知ってますんで。
そういう意味で、養父が極端に特殊な魔人だったと、俺は思えないんスよね。
それに、感情だって……。
確かにヒト並ではなかったと思ってますし、一緒に生活していてそう感じる事は少なくはなかったッス。
ただ欠落はしていたが存在していなかったのだろうといわれると、そうじゃなかった。
養父は確かに感情をもっていたと思うんですよ。
限りなくゼロに近いものだったんでしょうが、それでも決して無いものではなかった……。
絶対零度は凍てついていても、温度がない訳ではない……みたいな奴ッスね。
むしろ、こう思うんです。
ただ一つに対して自分の持ち得る全ての感情を費やしていたから、他の物事にたいして酷く無頓着だったんじゃないか……と。
……えぇ、本当はそのただ一つが息子である俺だったら嬉しかったんスけどね。
多分、養父が感情を傾けた相手は俺じゃないッスよ。
養父はずっと、太陽の光を乞うていたので……。
あぁ、俺が不死者に、あえて会わせなかった事を知ってるんスね。
えぇ、そうです。養父の望んでいるのが不死者ではなく太陽ですからね。太陽ではない不死者を見せて落胆させたくはなかったので……。
それに、俺は不死者にあまり好かれてませんでしたからね。
昔でも今でも、どうにも不死者の扱いが下手で困りますよ。お互い人間じゃないんだから、わかり合えそうなものですけどね。
その不死者(ひと)の栄光は俺にとって過去の話なので、殆どが人づてにしか聞けていないんですけど……それでも俺の記憶にあるあの不死者(ひと)の……ヘリオスさんの記憶は、目映くて暖かいものでした。
人間臭く、カリスマがあり、頭が切れて行動力がある。
他の不死者と比べて何度も壊されたりしなかったのが、あの人の人格を形作っていたのかもしれませんね。
俺が会う今の不死者は大概が木偶の坊ばかり。
不死者であるからと何度も壊され頭が空っぽになってしまったり、恐れから精神が摩耗して浅慮になって自暴自棄になるような輩が多く、養父の望むような存在ではなかったので、あまり会わせたくはなかったのが本音っス。
ですが、養父に絶望してほしくなかった、というのは俺のエゴですよね。
だけど俺はやっぱり養父に傷ついてほしくなかった……。
養父には感情の欠落があったと先に言いましたが感情は無ではなかったとも言いましたよね。むしろ「太陽」に対しては信仰に近い強い執着があったのだろうと。
そう感じていましたから、養父の中にある希望を折るような真似はしたくなかったんスよ。
あぁ、でももしかしたら他の不死者を見てその中に太陽を見出したり。
あるいは絶望して、養父の心が完全に凍り付いてしまい、変わってしまったらもう俺の知る養父はいなくなってしまう……。
そういうのが、俺は恐かったのかもしれないッスね。
やっぱり、不死者と会わせなかったのは俺のエゴっスよ。
とうさんは、その……どうやって……最後を……。
あぁ……そう、そうっスか……。
いえ、それが聞ければ俺は充分っス。
ありがとうございます……。
……あぁ、一つだけ。小さい頃の話をしても、いいッスか。
俺は……ずっと人工臓器がないと生きていけない身体で、ガキの頃はもっと身体が弱くて、とにかく熱を出して寝込むって事が多かったんスよ。
そういう時、養父はいい医者に診せてくれて……殆どは医者任せだったんですけどね。
一度だけ……そう、一度だけ。 俺の身体に触れて、酷く熱くて驚いたみたいな顔をした事があったんです。
『……熱があるんだな、少し、下げてやろうか』
そういって、養父(とう)さんは冷たい手で俺に触れて……。
すると、額がすっと冷たくなって、心地よくなっていく感じがして。
あぁ、これが養父の。コサイタスの「能力」なんだと感じて……。
『体温を下げるのは、かえってよくないと……言われてるので……』
俺がそういうと、養父(とう)さんはもう触れるのを辞めてしまったんスが……。
……俺は今でもあの冷たい手が、養父(とう)さんの手で。 あんなにも冷たくて優しい手はなかったと、そう思っているんスよ。
そう……俺にとっては、そういう人。
養父は、そういう人でした。
養父(ちち)の事を、聞かせてほしい……ッスか。
そんなの、俺よりあなたの方が詳しいんじゃないんですかね。
コサイタス……戴天党の中でもおそらく最も多く殺して、最も多くを氷らせた魔人……。
世間的にはオフレコにされてる事実ですが、あなたはそれも掴んでいるんでしょう。
あの件はうっすらと戴天党(うち)も噛んでいるんだろうって思われているみたいなんで蒸し返せばあなたの身に危険が及ぶと思うッスよ。
情報を扱うってのは時に兵器にも成り得る……ペンは剣よりも強しって奴ッスね。だからこそ、慎重に扱わないと大けがの元ッスからね。
……えっ?
将軍としてのコサイタスではなく、家族としての、養父に興味があるんスか。
そういわれても……うぅん……何とこたえたらいいんスかね……。
……えぇ、確かにコサイタスは、俺の養父……になります。
小さい頃はお養父(とう)さん、と呼び慕っていた事もあるんスけど、俺と養父では成長のペースも生活スタイルも色々と違ってましたからね。
一般的な家族のイメージとは明らかに違うでしょうし、俺自身も周囲と家族の話なんてしませんから、どう表現したものかわからないッスね。ご期待に添えずすいません。
一般的な、普通の……話ではなく、俺から見た素直な感想でいいんスか。
うぅん、俺もどちらかと言えば感情の起伏が少ない方だし何事にも無頓着なんでちゃんと表現できるか分からないですけど……。
養父は、心にいつも空虚を住まわせているような……言葉が、心に届いていかないような……そういう、人でしたね。
子供の頃は養父の態度がどうにも空々しく感じられて、一緒にいると、息苦しいような……いや、気が塞ぐという程暗くなる事はなかったんスけど、見ていて辛いような、哀しいような気持ちになって……。
どうしてこの人は凍えるような心を抱いて生きているんだろう、なんて思う事もありましたね。
あぁ、辛気くさくなっちまったッスね。
あなたは俺の出自を知っているんでしょう。
俺の養父の事を知ってるくらいだから、まぁそうでしょうね。
俺は……人間ではありません。
かといって、魔人でもない。
身体のあちこちに人工臓器をつけてやっと人並みの身体になれて、魔人のように人間にはない超常現象……魔法を扱える。
人間とは違う、だけど魔人とも違う成長をして、人工臓器のメンテナンスを頻繁にしなければすぐに理性を失って息絶えてしまう、そんな脆弱な存在なんです。
そういう中で……自分ははっきりと人間ではない、だが魔人にもなれないという認識のなかで、それでも人並みに振る舞わなければいけない。
そうしなければ、俺はここにはいられない……。
俺はずぅっと、そうやって生きてきたんですよ。
普通でなければいけないという価値観に囚われて、自分というものが何なのか、何が自分らしさなのか理解できないままふわふわと生きていたところがあるんで何となく分かってしまった、といえばいいんでしょうかね。
あるいは他の連中より、より長くコサイタスという存在に関わっていたってのもあるんでしょう。
俺には、あの人がいつもヒトのフリをして他人を欺いているような、そういう感覚が伝わっていたんスよ。
魔人ってのは、産まれた時からずっと戦争だったようなもんでしょう?
そのせいもあったのかもしれないし、養父が特殊な産まれだったのかもしれないのでどうしてヒトのフリをしていたのかは分からないんですが……。
あの人は、ヒトらしい感情というものを殆ど持っていなかったんじゃないかと、俺は、そう思うんです。
一緒にいると、随所にヒトは、そうするものだ。ヒトは、こういう時にこういうのだろう。だからこういう反応をするはずだ。
そういう考えや自分の経験で動いているんだろうな……ってのは、俺が小さいうちから感じていたっスね。
あぁ、このヒトはの感情は作り物だ。
声も表情が、ほかの「ヒト」とは違いすぎる……ってね。
小さい頃の俺は今よりずっと弱く、誰かに保護してもらわなければ生きられない状態でしたから、より一層強く養父の言動に違和感を抱いていたのかもしれないッスね。子供のほうが多感で様々な感情の機微に気付くとも言いますから。
最も、俺にとって養父の演技はそれほど悪い事ではなかったな……と思ってます。
人間とも魔人とも違う俺をヒトの感情をもたない養父が拾ったのは、子供に対して慈悲を見せるのが普通だという演技でありアピールの一環だろうと思うんスけど、それでも俺を生かしてくれたのは事実ですし。
育ての親がそういう特殊な魔人だったからこそ、俺もヒトとしての所作を取り繕う大切さに早くに気づけたってのもありますからね。
こう振り返ってみると、俺の方が養父よりヒトの感情については理解していたかもしれませんね。
養父は演技の大切さを理論的に理解していたとは思うんですが、感情的には理解してませんでしたから。
養父から見ると、俺はメソメソ悲観的に考え過ぎなのかもしれないッスね。
でも、俺は養父が特殊だったと思ってはいないんスよ。
えぇと……確かに養父の感情は欠落していたと思います。
そうじゃなければあんなにも容易く、容赦なく、沢山の殺しなんて出来ないでしょうし……殺した後にも平然と日常生活に戻ったりはしないと、思うんですけど。
それでも人間にだって、何割かこう……感情など一切なく、自分の損得と一時の支配欲でしか物事を考えられない個体が産まれると聞いてますし、戦時下ではもっと残忍な行為に手を染める連中がいるのも知ってますんで。
そういう意味で、養父が極端に特殊な魔人だったと、俺は思えないんスよね。
それに、感情だって……。
確かにヒト並ではなかったと思ってますし、一緒に生活していてそう感じる事は少なくはなかったッス。
ただ欠落はしていたが存在していなかったのだろうといわれると、そうじゃなかった。
養父は確かに感情をもっていたと思うんですよ。
限りなくゼロに近いものだったんでしょうが、それでも決して無いものではなかった……。
絶対零度は凍てついていても、温度がない訳ではない……みたいな奴ッスね。
むしろ、こう思うんです。
ただ一つに対して自分の持ち得る全ての感情を費やしていたから、他の物事にたいして酷く無頓着だったんじゃないか……と。
……えぇ、本当はそのただ一つが息子である俺だったら嬉しかったんスけどね。
多分、養父が感情を傾けた相手は俺じゃないッスよ。
養父はずっと、太陽の光を乞うていたので……。
あぁ、俺が不死者に、あえて会わせなかった事を知ってるんスね。
えぇ、そうです。養父の望んでいるのが不死者ではなく太陽ですからね。太陽ではない不死者を見せて落胆させたくはなかったので……。
それに、俺は不死者にあまり好かれてませんでしたからね。
昔でも今でも、どうにも不死者の扱いが下手で困りますよ。お互い人間じゃないんだから、わかり合えそうなものですけどね。
その不死者(ひと)の栄光は俺にとって過去の話なので、殆どが人づてにしか聞けていないんですけど……それでも俺の記憶にあるあの不死者(ひと)の……ヘリオスさんの記憶は、目映くて暖かいものでした。
人間臭く、カリスマがあり、頭が切れて行動力がある。
他の不死者と比べて何度も壊されたりしなかったのが、あの人の人格を形作っていたのかもしれませんね。
俺が会う今の不死者は大概が木偶の坊ばかり。
不死者であるからと何度も壊され頭が空っぽになってしまったり、恐れから精神が摩耗して浅慮になって自暴自棄になるような輩が多く、養父の望むような存在ではなかったので、あまり会わせたくはなかったのが本音っス。
ですが、養父に絶望してほしくなかった、というのは俺のエゴですよね。
だけど俺はやっぱり養父に傷ついてほしくなかった……。
養父には感情の欠落があったと先に言いましたが感情は無ではなかったとも言いましたよね。むしろ「太陽」に対しては信仰に近い強い執着があったのだろうと。
そう感じていましたから、養父の中にある希望を折るような真似はしたくなかったんスよ。
あぁ、でももしかしたら他の不死者を見てその中に太陽を見出したり。
あるいは絶望して、養父の心が完全に凍り付いてしまい、変わってしまったらもう俺の知る養父はいなくなってしまう……。
そういうのが、俺は恐かったのかもしれないッスね。
やっぱり、不死者と会わせなかったのは俺のエゴっスよ。
とうさんは、その……どうやって……最後を……。
あぁ……そう、そうっスか……。
いえ、それが聞ければ俺は充分っス。
ありがとうございます……。
……あぁ、一つだけ。小さい頃の話をしても、いいッスか。
俺は……ずっと人工臓器がないと生きていけない身体で、ガキの頃はもっと身体が弱くて、とにかく熱を出して寝込むって事が多かったんスよ。
そういう時、養父はいい医者に診せてくれて……殆どは医者任せだったんですけどね。
一度だけ……そう、一度だけ。 俺の身体に触れて、酷く熱くて驚いたみたいな顔をした事があったんです。
『……熱があるんだな、少し、下げてやろうか』
そういって、養父(とう)さんは冷たい手で俺に触れて……。
すると、額がすっと冷たくなって、心地よくなっていく感じがして。
あぁ、これが養父の。コサイタスの「能力」なんだと感じて……。
『体温を下げるのは、かえってよくないと……言われてるので……』
俺がそういうと、養父(とう)さんはもう触れるのを辞めてしまったんスが……。
……俺は今でもあの冷たい手が、養父(とう)さんの手で。 あんなにも冷たくて優しい手はなかったと、そう思っているんスよ。
そう……俺にとっては、そういう人。
養父は、そういう人でした。
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