インターネット字書きマンの落書き帳
小林さんと望月くんと
イカしてる小林さんを書きたいぜ! と思って書きました。
色々な設定のツギツギをしているからガクガクユラユラ。
でも二次創作ってそういうものだよね!(首が据わってない顔で)
今回は、喧嘩っぱやすぎて自分のグループが暴走族と抗争になった!
そう聞いて飛び出してしまった望月くんを迎えに行く小林さんの話です。
信じられるか?
こいつ30年前の作品の二次創作してんだぜ……。
色々な設定のツギツギをしているからガクガクユラユラ。
でも二次創作ってそういうものだよね!(首が据わってない顔で)
今回は、喧嘩っぱやすぎて自分のグループが暴走族と抗争になった!
そう聞いて飛び出してしまった望月くんを迎えに行く小林さんの話です。
信じられるか?
こいつ30年前の作品の二次創作してんだぜ……。
『それはある種の才能である』
沼岡高校が暴走族と抗争している……。
その噂が小林政男の耳に入った時、すでに望月駿は冷峰学園を抜け出していた。
「止めようと思う間もなく消えるように居なくなっちまって……」
望月の親友である早坂良麻は申し訳なさそうに頭を下げるが、いくら早坂の腕っ節が多少は強いからといって本気で走り出した望月を止める事など出来なかっただろう。
「仕方ないですよ、悪いのは望月くんですから。全く、彼は別に頭が悪いというワケではないのにどうにも喧嘩になると一気に沸騰して真っ直ぐに突っ込んでいく……」
沼岡高校とは、かつて冷峰学園において学校同士の大きな衝突があった時、望月がその傘下にいれ支配し利用していた高校だ。
と言うと沼岡高校と望月には遺恨しかなさそうだが、望月は人懐っこく明け透けな性格もあって沼岡高校にいる不良たちとすぐに打ち解け、その関係は「支配者と従属者」といったものではなく純粋な「喧嘩好きの親友たち」のような関係である。
つまり、望月にとって沼岡高校の不良たちは喧嘩仲間であり、大事な喧嘩仲間がどこの馬の骨かも知れぬ暴走族と抗争するといったら助太刀するのが義である、と。
望月はそういう考え方をする男だった。
「……まぁ、9割喧嘩をしたいだけだと思いますが」
「そう……なんですよね。望月の奴、喧嘩をするために生活してるような奴だから」
望月の性格だと仲裁なんてする気はないだろう。
相手が誰だか知らないが勝てる喧嘩なら思いっきり暴れてくるはずだ。
「あれで冷峰四天王NO.2を自称する男ですからおめおめと負けて返ってくるような奴ではありませんし、勝てないと思ったら早々に見切りをつける賢さもあります。喧嘩をするという点では心配してないんですが……」
実際、望月はどんな派手な喧嘩をしても補導された事はない。
警察が来る前に脱兎の如く逃げ出して行方をくらます事に関してはプロ急だからだ。
誰からも呼ばれていない「かっとびのモツ」という二つ名を自称しているが、本当に韋駄天なのは間違いない。
「えぇ、俺もそこまで心配はしてないですよ。あいつ強いし、沼岡の奴らだって弱くない……沼岡の連中は望月と仲いいですから」
「……ですが、沼岡はかつて冷峰の支配にあった学校です。望月くんが懐柔したようなものですが、冷峰の支配という部分では暗澹たる感情を残しているかもしれません」
「小林さんは、沼岡高校の連中が望月を裏切って暴走族と一緒にあいつを私刑にでもかけると思っているんですか?」
「確率はほとんど『無い』と思ってますよ。でもゼロでない限りは気をつけておくべきでしょう?」
そうして歩き出す小林の背に早坂は驚きの声をあげる。
「い、行くんですか小林さん」
「当たり前でしょう、一応四天王の頭(ヘッド)は私ですから、望月くんに何かあった時は私が出ないと示しが付かないですし、彼が無事である事は確認しておかないといけませんから」
「あ、だったら俺も行きます! あいつは親友で……」
前のめりになる早坂の身体を小林は止めた。
「やめておきなさい、早坂くん。キミは別に素行が悪いワケじゃない。真面目に勉強して成績も良好だ。ここで下手に首を突っ込んだらキミの進路に影響が出ますよ」
「で、でも。あいつは俺の親友で……」
「親友だからこそ、です。望月は喧嘩バカですがバカの喧嘩好きではない……自分の喧嘩に貴方を巻き込んで、貴方の進路をフイにしてしまったらきっと後悔しますからね。こういう荒事は、私たちに任せておけばいいんですよ」
小林にそう諭され、早坂は項垂れる。
理解はしたが親友を助けに入れない事実がもどかしいのだろう。
「そう気に病まないでください。望月くんは貴方が喧嘩の助太刀をするよりも、貴方が平穏に過して帰りをまっている方が彼は喜びますよ。その憤りは戻って来た望月くんにぶつけてやってください……あぁ、木下と平が何か言ってきたら『小林が話をつけにいったから大丈夫だ』と伝えておいてください。彼らが来ると一層面倒になる……すでに面倒事なんですから、これ以上の面倒はゴメンですよ」
そうぼやきながらも、小林は足早に進んでいく。
その姿を見ながら、やはりあの人は面倒見のよい性分だと早坂は思うのだった。
小林が沼岡高校についた時、暴走族はすでに撤収しており騒ぎは殆ど収まっていた。
「望月くん、いるんでしょう? ……3秒数えます。それまでに出て来たら説教は控えましょう。ですがその前に出なかったら……」
まだどこかざわつく人の中で小林が声高に宣言をし指折り1秒数えれば望月が飛び出すとすぐに頭を下げて見せた。
「すいまっせん小林さん! いやー、仲間がヤられてるって聞いたら居ても立ってもいられなくって」
「そうだと思いましたよ。怪我は?」
「俺は見ての通り殆どしてないですよ。相手は知りませんけど、二度とこの学区には近づかないくらいシめておきましたって。いやー、やっぱ勝った喧嘩は気持ちいいっすねー」
望月はそう言い、コロコロと笑う。
この明るさ、無邪気さが多くの不良たちを引きつけるのだ。
裏表もなくただ真っ直ぐに喧嘩だけが好きという分りやすい気質は、社会的には「はみ出し物」扱いされがちな不良たちにとって珍しいくらいに純粋だからだ。
「まったく、望月くんの浅慮は今に始まった事じゃ無いですが喧嘩になりそうです、行きます、の脊髄反射は何とかしてください。貴方が出たら、私も出ないと示しがつかないでしょう」
「いいじゃないっすか。あ、もっと粘れば小林さんとタッグで喧嘩できたのか! もうちょっとゆっくり殴れば良かったかなァ」
「そういう話はしてませんよ。だいたい、これがもし沼岡の罠で、貴方をおびき出して暴走族(ゾク)と連んで貴方を私刑(リンチ)にする計画だったらどうするんですか」
小林の言葉に、沼岡高校の面々は鋭い視線を向ける。
自分たちが「裏切る」と思われていたのが不愉快だったのだろう。
だが望月は小林の前で笑うと、平然と言ってのけた。
「そんなの、別に全然問題なっし! 俺は沼岡高校の皆とは本気で友人(ダチ)だと思ってるし、友人(ダチ)が俺を裏切るって事は、友人(ダチ)にとって俺を裏切らなきゃいけない位ヤバイ状態だったって事でしょうが。それならま、仕方ないかなーって思ってるんですよ。何つーのかな。俺、友人を信頼してるんです。それで、俺の信頼の基準は『こいつになら裏切られてもいいな』って奴なんで。あいつらが困って迷って裏切ったんなら、俺ぁそれ受け入れますよ」
屈託のない笑顔だった。腹の底からそう思っているんだろう。
それを聞いて、涙を浮かべながら望月を見る生徒も多い。
不良は多く誰からも信頼されない。故に望月のように真っ直ぐ信じてくれる仲間というのは嬉しいものなのだろう。
「はぁ、望月くん。貴方は底抜けの喧嘩バカですね」
「そりゃ、喧嘩するために生活してますんで」
「……でもその真っ直ぐさが、時々羨ましく思いますよ」
小林はそう告げると望月に肩を貸す。
「あ、小林さん。大丈夫ですって……」
「本当は立ってるのがやっとなんでしょう? ……彼はこのまま私が預かります。沼岡高校の皆さん、良くしてくださりありがとうございます。これからも冷峰の望月をよろしくお願いしますね」
「ちょ、小林さんっ! 俺のカーチャンみたいな事言わないでくださいって……」
二人のやりとりを見て、周囲の生徒は笑い出す。
酷い喧嘩をしたばかりだというのにそこにはやけに暖かい空気が流れていて。
(こういう所が、望月くんの人望なんでしょうね。全力で殴り合って、終ったら最後は皆が笑っている。彼は……そういう事が出来る男だから……)
だからこそもっと、大切にしてほしいと思っていた。
どんな相手とやりあっても気付いたら相手を懐柔してしまう愛嬌はある種のカリスマであり、酷い喧嘩をした後でより仲を深める事など普通は出来るものではない。
希有な才能なのだからこれを喧嘩ではない道でもっと生かして欲しいものだと。
望月はきっと、喧嘩じゃない世界でもそういう事が出来るのだから。
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