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インターネット字書きマンの落書き帳

   
手作りパスタをふるまう山ガスの黒ガス(BL)
大学時代に普通に付き合ってイチャイチャしているタイプの黒沢×山ガスだよ。

メチャクチャに山ガスを甘やかしている黒沢
という概念が好きなので、基本的に山ガスを甘やかしています。

甘やかして甘やかして
「僕可愛いもんね」
って言える可愛い生き物が誕生するといいね。

山ガスをとてもあざとく書くのを目標にしているので
かわいくてあざとい山ガスが生まれていればいいね!



『特別なパスタ』

 たまには僕が夕飯を作るから、黒沢サンは座ってて。

 山田からそう言われ、30分は過ぎただろう。
 キッチンから時々、ガチャンと大きな物音や「ぎゃぁっ!」という山田の悲鳴が聞こえるので、本当に大丈夫なのかと内心ハラハラする。

 ――美味いものを作らなくても別にいい。
 料理なんてできなくてもいいんだから、怪我だけはしないでくれよ。

 スマホを眺めていても、自然とキッチンへ目が行ってしまう。
 山田は普段、料理なんてやらない。コンビニやデリバリーで何でも済ませてしまうタイプだ。
 不器用という訳ではないから、やろうと思えば料理くらい問題なくできるのだろうが……。

「うわっ! わっ、わっ……」

 時々慌てる様子を見ると、助けにいくべきかと迷う。
 そうしてジリジリ時間が過ぎ、大きな器にたっぷりのカルボナーラをもって山田は姿を現した。

「遅くなってごめんね、黒沢サン。でも、パスタ……ちゃんとアルデンテってやつに、なってると思うから」

 そうして出されたカルボナーラは、少々ダマになってるものの、美味しそうにできている。
 付け合わせとして出てきたサラダも、丁寧に切られ飾り付けされているから、本当にがんばってくれたのだろう。

「ありがとうな……じゃ、いただくよ」

 くるくるとフォークで巻いて一口、パスタを食べる。
 濃厚なクリームの味と柔らかな卵の味わいに、黒コショウのスパイスがピリリときいた、正当派のカルボナーラだ。

 美味しい。
 滅多に料理をしない山田が作ったと思えば上出来だろう。

「美味しいな!」

 素直に乾燥を口にすれば、山田は安心したように笑うとテーブルに突っ伏して見せた。

「よ、よかったー。レシピ通りに作ったし、家でも何度か練習したけど、ちゃんとできたみたいで安心したよ。あ、お世辞じゃ……ない、よね?」
「あぁ、当たり前だろう。お前は心配性だな……」
「だって、黒沢サンって高いお店でご飯も食べてるでしょ? お店でプロが振る舞う料理と比べたら、素人の僕が作る料理なんてさ……」

 確かにその通り、本格的なイタリアンの店で食べる料理と比べれば、山田のパスタは家庭料理の範囲を出ない素朴なものだ。
 だが、黒沢のために練習して振る舞われたパスタは、世界でここでしか食べれない。

「嘘なんかつくか。本当に美味しいんだ」

 黒沢は優しく笑うと、パスタを口に運ぶ。
 その姿を、山田は頬杖をつきじっと眺めていた。

「……どうした、山田。お前は食べないのか? まさか、自分の分は作ってないんじゃないだろうな」
「え? ううん、あるよ。僕の分もちゃんとある。けど……今はここで、黒沢サンがおいしーって言って食べてくれる顔、いーっぱい見ておきたいんだ」

 そして山田はまた頬杖をつき、幸せそうに目を細める。

 ――本当に、この男はどこまでも俺を愛してくれる。
 何てかわいい奴なんだろう。

 フォークの先でパスタを巻く、その先に幸せそうな山田の顔が見える。
 温かく、平和で、幸せで満たされた光景に笑みを浮かべながら、黒沢は、今日はどんな「ご褒美」を与えようかと、ぼんやり考えるのだった。

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