インターネット字書きマンの落書き帳
祝いたい眉さんと自給自足birthdayの山ガス(眉ガス/BL)
山ガスはぴば!
というわけで、大学時代に付き合ってた眉崎×山ガスの話でバースディを祝いたいと思います。
せっかくのバースディだからね。
色々な男に祝われている山ガスみたいと思ったので、俺からは眉ガスです♥
誕生日だ! 山ガスを右に!
山ガスのこと祝いたいけど何となく、真っ正面から祝うのは気恥ずかしい。
そんな眉崎と、お祝い自給自足族の山ガスの話ですよ。
祝福しろ!
誕生日にはそれが必要じゃけんのォ!
というわけで、大学時代に付き合ってた眉崎×山ガスの話でバースディを祝いたいと思います。
せっかくのバースディだからね。
色々な男に祝われている山ガスみたいと思ったので、俺からは眉ガスです♥
誕生日だ! 山ガスを右に!
山ガスのこと祝いたいけど何となく、真っ正面から祝うのは気恥ずかしい。
そんな眉崎と、お祝い自給自足族の山ガスの話ですよ。
祝福しろ!
誕生日にはそれが必要じゃけんのォ!
『特別なシャンパン』
眉崎はケーキ屋で予約しておいたケーキを受け取った後、その足で花屋に向かい薔薇中心にアレンジメントをした花束を抱える。
まったく、花束にケーキだなんていかにもな組み合わせだ。
きっと、山田が見たら大笑いするだろう。
『なに、眉崎さん。ケーキに薔薇の花束なんていかにもホストって感じじゃん。似合いすぎて笑えるんだけど』
そういいながら茶化す姿が、瞼の億にハッキリ浮かぶ。
今はホストの時に着るような派手なスーツではないが、絶対にそう茶化すだろう。
バカにされるくらいなら、ケーキも花束もロッカーにしまっておこう。
それで、山田に取りに来させればいい。
幸いなことに、しばらく夏日が続いたのが信じられないほど、今日は秋めいている。
保冷剤はしっかり入っているから、山田が取りに来るまで腐ったりはしないはずだ。
山田は基本的に引きこもりだから、家に帰れば必ず部屋にいる。
忘れ物をしたから取りに行けとせっついてロッカーの鍵を渡せば、山田に自然にプレゼントを受け取るはずだ。
そう思って家に帰った眉崎が見たものは。
「あ、おかえりー眉崎サン」
そういいながらテーブルの上にはチキンやらケーキを並べて、口いっぱいにクリームをつける山田の姿だった。
「おい……何だよこれ」
「あー、眉崎サンおかえりー。実は僕、今日誕生日なんだよねー」
それは知っている。谷原から聞いたし、念のため山田が寝ているうちに免許証も確認している。
「でも、僕あんまり周りに祝ってくれる人っていないからさ。自分でお祝いしようと思って、ほら、コンビニのケーキに、チキンと、好きなお菓子全部買っちゃった。眉崎さんも食べていいよ」
山田に友達がいないのも知っている。
谷原とは比較的仲がいいが、友人である前に5Sのメンバーという意識が働いているのか、友人というほど深く付き合おうとしてないようだ。
ひょっとしたら誰に対しても深入りさせない性分なのかもしれない。
そういう所は、自分に似ている。
眉崎も、家族や親戚関連などの話題にはできるだけ触れてほしくないと思っているからだ。
だから自然と、他人を懐に入れるのが怖くなる。
広く浅く付き合う分には問題ないが、親友やら恋人やら、お互いの人生を少しでも背負うような関係になると一線引いてしまうのはそのためだ。
だが、この状況で一人バースディをするか!?
山田は今、眉崎の家に入り浸って生活をしている。というよりも、眉崎が家に帰らせないようにしている、という方が正しいだろう。
セックスの相手をすれば、家にいてもいいという条件で山田を家に囲っているのだ。
正直なところ、眉崎もあまりいい生活をしている学生ではなかった。
5Sとしての活動で動画の人気も一定は出てきたが、その収入だけで学費と生活費は間に合わずホストをして何とか生活をしている。
住んでいるアパートはお世辞にもオシャレとはいえない古い木造アパートで、部屋だってさして広くはない。
それでも、大学からも歓楽街からも近い立地と、エアコン付きというのが山田にとっては都合がよかったのか夏の間はほとんど眉崎の家から出なかった。
そう、ほとんどだ。
大学生の夏休みは案外と忙しいというのを差し引いても、山田は自宅にも実家にも帰る様子はない。
帰るほどの家ではないのだろう。
そういう所も、親近感を抱いていた。
だからこそ誕生日を祝いたいと思い、今日はわざわざホストを休んでケーキまで買っておいたのだが、まさか自分で勝手にパーティを開くとは。
驚かせたいと思ったから黙って準備をしていてのが仇になった。
(そうだよな。俺も店の女の子から誕生日祝われて、好きでもないケーキ食わされるより自分の好きなもん食いてぇって思うし。コイツも、そういうタイプだったか)
眉崎は髪を掻き上げると、一つ大きくため息をついた。
「眉崎サンもよかったら、僕の誕生日祝ってよ。はい、チキンもポテトもあるよ。冷めてるけど」
「いらねぇよ! おまえ、俺がそういうジャンクフード嫌いなの知ってるだろ。全く……」
眉崎は冷蔵庫で冷やしておいたシャンパンを取ると、慣れた手つきで蓋を開ける。
音を立てずに開ける事もできるが、せっかくのバースディだ。記念にクラッカーを鳴らすつもりでポンと大きく音をたてれば、山田は驚いて振り向いた。
「あれ、眉崎サン。家でシャンパンなんて開けるの珍しいね。仕事でしか飲まないでしょ」
「まーな。でも、お前誕生日なんだろ。誕生日くらい特別な酒で祝ってもいいだろうが」
これは事前に準備しておいたものだ。
流石にシャンパンは冷やした方が美味いから昨夜のうちに冷蔵庫で冷やしてある。
細いグラスにシャンパンを注ぎ、グラスを山田に向ければ、山田はしばらく目を大きく見開いて呆気にとられた様子だった。
「え、えっ? 眉崎サンが僕のために? いいの? これ、結構高い奴だよね」
「誕生日なんだろ? もういい歳なんだから、この位の贅沢したってバチはあたらねーよ」
山田はグラスを受け取っても、まだ信じられない様子で目をぱちくりさせる。
そしてシャンパンが本物なのか確かめるようニオイを嗅ぐと、それを一気に飲み干した。
「うわ! 本当にお酒だ! 本物のシャンパン……え? 嘘じゃないよね? これ飲んで、酔って寝たらそのまま臓器バイヤーとかに売られるとか、そういうルールじゃないよね?」
「おまえ、俺の事なんだと思ってンだよ」
空になったグラスにシャンパンを注げば、山田は目を輝かせ嬉しそうに笑う。
「何だ、そんなにシャンパンが珍しいのか?」
眉崎も決して余裕のある生活をしてないが、山田はもっとカツカツな生活をしている。
5Sの動画編集に関わる時間が長いというのもあるだろうが、バイトのように誰かの指示を受けて仕事をするというのにあまり向いてない性格で、あまりバイトが続かないのもあるだろう。
おまけにいつも上目遣いで他人を睨み付けるような視線だから、大概のバイト先で気に入られないのだ。
だから、珍しく高価なものを口にして喜んでいるだけだと思っていた。
「ううん、別に……僕そこまでお酒って好きじゃないからさ。確かにこれ、美味しいけど……」
「けど、何だよ?」
「……それより、眉崎サンが今日、どこにも行かない方が嬉しいかな? 仕事だと思ってたからさ」
馬鹿野郎が。いくら俺でも、お前の誕生日だと知っていて仕事を入れるか。
どれだけ信用してないんだ。
いや、山田の場合、自分に自信がないのだろう。
眉崎はテーブルにシャンパンを置くと、わざとらしく大声をあげた。
「うるっせーな。仕方ねーだろ、今日はシフト入れられなかったんだからよー……あぁ、悪い山田。駅のロッカーに入れた荷物、とってくるの忘れたからお前、とってきてくれねーか?」
「えっ? なに?」
「店に行く前にもってくる予定だったんだけど、今日もう家から出たくねーから」
「えぇ……眉崎サンが行けばいいでしょ。僕だって面倒くさいんだけど」
「今日はおまえの誕生日なんだろ? 特別に俺が一緒にいて祝ってやるから、行ってこい。帰ってきたら、本気で祝ってやるぜ」
「本気って……どーだか。んー……でも、わかった。今日、一緒にいてくれるんでしょ? それなら、行ってくる」
山田は鍵を受け取ると部屋を出る。
遠ざかる足音を聞きながら、眉崎はシャンパングラスを静かに傾けた。
帰ってきたときの山田が、今よりずっと笑顔になっているよう、密かに祈りを込めて。
眉崎はケーキ屋で予約しておいたケーキを受け取った後、その足で花屋に向かい薔薇中心にアレンジメントをした花束を抱える。
まったく、花束にケーキだなんていかにもな組み合わせだ。
きっと、山田が見たら大笑いするだろう。
『なに、眉崎さん。ケーキに薔薇の花束なんていかにもホストって感じじゃん。似合いすぎて笑えるんだけど』
そういいながら茶化す姿が、瞼の億にハッキリ浮かぶ。
今はホストの時に着るような派手なスーツではないが、絶対にそう茶化すだろう。
バカにされるくらいなら、ケーキも花束もロッカーにしまっておこう。
それで、山田に取りに来させればいい。
幸いなことに、しばらく夏日が続いたのが信じられないほど、今日は秋めいている。
保冷剤はしっかり入っているから、山田が取りに来るまで腐ったりはしないはずだ。
山田は基本的に引きこもりだから、家に帰れば必ず部屋にいる。
忘れ物をしたから取りに行けとせっついてロッカーの鍵を渡せば、山田に自然にプレゼントを受け取るはずだ。
そう思って家に帰った眉崎が見たものは。
「あ、おかえりー眉崎サン」
そういいながらテーブルの上にはチキンやらケーキを並べて、口いっぱいにクリームをつける山田の姿だった。
「おい……何だよこれ」
「あー、眉崎サンおかえりー。実は僕、今日誕生日なんだよねー」
それは知っている。谷原から聞いたし、念のため山田が寝ているうちに免許証も確認している。
「でも、僕あんまり周りに祝ってくれる人っていないからさ。自分でお祝いしようと思って、ほら、コンビニのケーキに、チキンと、好きなお菓子全部買っちゃった。眉崎さんも食べていいよ」
山田に友達がいないのも知っている。
谷原とは比較的仲がいいが、友人である前に5Sのメンバーという意識が働いているのか、友人というほど深く付き合おうとしてないようだ。
ひょっとしたら誰に対しても深入りさせない性分なのかもしれない。
そういう所は、自分に似ている。
眉崎も、家族や親戚関連などの話題にはできるだけ触れてほしくないと思っているからだ。
だから自然と、他人を懐に入れるのが怖くなる。
広く浅く付き合う分には問題ないが、親友やら恋人やら、お互いの人生を少しでも背負うような関係になると一線引いてしまうのはそのためだ。
だが、この状況で一人バースディをするか!?
山田は今、眉崎の家に入り浸って生活をしている。というよりも、眉崎が家に帰らせないようにしている、という方が正しいだろう。
セックスの相手をすれば、家にいてもいいという条件で山田を家に囲っているのだ。
正直なところ、眉崎もあまりいい生活をしている学生ではなかった。
5Sとしての活動で動画の人気も一定は出てきたが、その収入だけで学費と生活費は間に合わずホストをして何とか生活をしている。
住んでいるアパートはお世辞にもオシャレとはいえない古い木造アパートで、部屋だってさして広くはない。
それでも、大学からも歓楽街からも近い立地と、エアコン付きというのが山田にとっては都合がよかったのか夏の間はほとんど眉崎の家から出なかった。
そう、ほとんどだ。
大学生の夏休みは案外と忙しいというのを差し引いても、山田は自宅にも実家にも帰る様子はない。
帰るほどの家ではないのだろう。
そういう所も、親近感を抱いていた。
だからこそ誕生日を祝いたいと思い、今日はわざわざホストを休んでケーキまで買っておいたのだが、まさか自分で勝手にパーティを開くとは。
驚かせたいと思ったから黙って準備をしていてのが仇になった。
(そうだよな。俺も店の女の子から誕生日祝われて、好きでもないケーキ食わされるより自分の好きなもん食いてぇって思うし。コイツも、そういうタイプだったか)
眉崎は髪を掻き上げると、一つ大きくため息をついた。
「眉崎サンもよかったら、僕の誕生日祝ってよ。はい、チキンもポテトもあるよ。冷めてるけど」
「いらねぇよ! おまえ、俺がそういうジャンクフード嫌いなの知ってるだろ。全く……」
眉崎は冷蔵庫で冷やしておいたシャンパンを取ると、慣れた手つきで蓋を開ける。
音を立てずに開ける事もできるが、せっかくのバースディだ。記念にクラッカーを鳴らすつもりでポンと大きく音をたてれば、山田は驚いて振り向いた。
「あれ、眉崎サン。家でシャンパンなんて開けるの珍しいね。仕事でしか飲まないでしょ」
「まーな。でも、お前誕生日なんだろ。誕生日くらい特別な酒で祝ってもいいだろうが」
これは事前に準備しておいたものだ。
流石にシャンパンは冷やした方が美味いから昨夜のうちに冷蔵庫で冷やしてある。
細いグラスにシャンパンを注ぎ、グラスを山田に向ければ、山田はしばらく目を大きく見開いて呆気にとられた様子だった。
「え、えっ? 眉崎サンが僕のために? いいの? これ、結構高い奴だよね」
「誕生日なんだろ? もういい歳なんだから、この位の贅沢したってバチはあたらねーよ」
山田はグラスを受け取っても、まだ信じられない様子で目をぱちくりさせる。
そしてシャンパンが本物なのか確かめるようニオイを嗅ぐと、それを一気に飲み干した。
「うわ! 本当にお酒だ! 本物のシャンパン……え? 嘘じゃないよね? これ飲んで、酔って寝たらそのまま臓器バイヤーとかに売られるとか、そういうルールじゃないよね?」
「おまえ、俺の事なんだと思ってンだよ」
空になったグラスにシャンパンを注げば、山田は目を輝かせ嬉しそうに笑う。
「何だ、そんなにシャンパンが珍しいのか?」
眉崎も決して余裕のある生活をしてないが、山田はもっとカツカツな生活をしている。
5Sの動画編集に関わる時間が長いというのもあるだろうが、バイトのように誰かの指示を受けて仕事をするというのにあまり向いてない性格で、あまりバイトが続かないのもあるだろう。
おまけにいつも上目遣いで他人を睨み付けるような視線だから、大概のバイト先で気に入られないのだ。
だから、珍しく高価なものを口にして喜んでいるだけだと思っていた。
「ううん、別に……僕そこまでお酒って好きじゃないからさ。確かにこれ、美味しいけど……」
「けど、何だよ?」
「……それより、眉崎サンが今日、どこにも行かない方が嬉しいかな? 仕事だと思ってたからさ」
馬鹿野郎が。いくら俺でも、お前の誕生日だと知っていて仕事を入れるか。
どれだけ信用してないんだ。
いや、山田の場合、自分に自信がないのだろう。
眉崎はテーブルにシャンパンを置くと、わざとらしく大声をあげた。
「うるっせーな。仕方ねーだろ、今日はシフト入れられなかったんだからよー……あぁ、悪い山田。駅のロッカーに入れた荷物、とってくるの忘れたからお前、とってきてくれねーか?」
「えっ? なに?」
「店に行く前にもってくる予定だったんだけど、今日もう家から出たくねーから」
「えぇ……眉崎サンが行けばいいでしょ。僕だって面倒くさいんだけど」
「今日はおまえの誕生日なんだろ? 特別に俺が一緒にいて祝ってやるから、行ってこい。帰ってきたら、本気で祝ってやるぜ」
「本気って……どーだか。んー……でも、わかった。今日、一緒にいてくれるんでしょ? それなら、行ってくる」
山田は鍵を受け取ると部屋を出る。
遠ざかる足音を聞きながら、眉崎はシャンパングラスを静かに傾けた。
帰ってきたときの山田が、今よりずっと笑顔になっているよう、密かに祈りを込めて。
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