インターネット字書きマンの落書き帳
勝手に世話をやいて勝手にキレるタイプの葦宮
何となく、勝手に津詰の家にいって勝手に世話をやく葦宮を書きたくてかきました。
不法侵入して家事してぐーぐー寝てしまう葦宮の話です。
書きたかったから書いたよ!
もう誰か書いてそうだけど俺は初めてかいたので許してください
不法侵入して家事してぐーぐー寝てしまう葦宮の話です。
書きたかったから書いたよ!
もう誰か書いてそうだけど俺は初めてかいたので許してください
『料理は肉じゃが』
刑務所では犯罪者同士に情報のやりとりをする事もある。
知識に関して貪欲であった葦宮もまた獄中でいらぬ知恵を身につけ娑婆へと放たれた罪人の一人だった。
とはいえ今は身を隠し大人しくしている立場だ。
復讐を遂げるため、今は津詰の前で善良な一市民として懸命に働いているというポーズはとらなければならない。
だがそれとは別に、津詰にひと泡吹かせてやりたい。あの男を欺いて嫌がる顔を見てやりたいという気持ちは日に日に募っていった。
だからその日、獄中で空き巣から聞いた鍵開けのテクニックを駆使し津詰の自宅に忍び込む事にしたのである。
都心から少し離れた一軒家で、津詰はいま一人暮らしだ。
本庁でも切れ者と名高い鬼刑事だった男がどんな生活をしているのか、刑事のくせに空き巣に入られる屈辱を味合わす事ができれば僥倖だ、なんてつもりで家に忍び込んだのだが、期待して入った津詰の家はおおよそ本庁の刑事にはそぐわない素朴で寂しい家だった。
今は一人暮らしで家族もなく、掃除は行き届いていない。廊下はうっすらとほこりがつもっているし、布団を見れば万年床。しかも枕元におかれた灰皿はたっぷり吸い殻が残っている有様だ。
「あの野郎、寝たばこするのか? あぶねぇなぁ、火事になったら大事だろうが死ね、バカ」
そう独りごちると次いでキッチンへと向かう。
シンクには古く湿った付近がボロボロのままぶら下がり、冷蔵庫の中には瓶ビールがいくつか冷えているだけで他に何もない。
食事は店屋で買った惣菜か出前だけで済ませているのだろう。もういい年齢だろうに出前のような油っぽく塩辛いものばかり食べていては身体を壊すだろう。それでなくても刑事という激務の中にいるのに、津詰にその自覚はないのか。あるいは早死にしてもいいくらいに思っているのかもしれない。
「くそったれ、何でこんな汚ェ家に住んでられるんだよッ!」
葦宮はついに耐えかね、家にある掃除機を取り出した。
とにかく掃除だ、部屋の空気を入れ換えてほこりっぽさを無くそう。万年床の布団は干して、洗濯機を回している間にハタキをかけ掃除機、それから拭き掃除だ。当然、灰皿も綺麗にしておく。
台所にあったボロボロの布巾は新しいものをおろしておこう。スポンジも取り替えているかあやしいものだ、口に入るものを調理する水回りが汚いのは健康に直結するから金だわしで綺麗にしておこう、研磨剤もつかって磨いておけばいいだろう。
水回りといえば風呂もだ、風呂垢だらけの風呂に入っては疲れもとれまい。
なんて掃除をしていたら洗濯が終わったから日が傾くまでは外に干しておくとして、買い物にも出よう。近所の商店街を回ってみれば八百屋も肉屋も良い素材を取りそろえているじゃないか、これで惣菜だけで済ますのは商店街が近所にある利点を生かし切れてない。
「何だあいつ、何のためにこんな立地に住んでやがるんだ、くそッ……ご近所の店主もみんないい人じゃ無ェか買い物くらいしろってんだ!」
葦宮は買った食材で手早く料理をはじめた。
豚肉にニンジン、ジャガイモと日持ちする野菜を複数買ったから冷蔵庫に入れておけば津詰でも何か作るだろう。即席だったから味付けは不安だが鍋ひとつ肉じゃがをつくっておいた、温めればすぐ食べられるはずだ。
鮮魚でも良いブリが出ていたからショウガをたっぷりいれて煮付けにしておいた。
ついでに炊飯器に米をセットしておこう。スイッチさえいれれば炊けるなら津詰でもやるだろう。
「あの野郎ほんと、世話かかるぜ……」
葦宮は電話の脇にあるメモ帳を取り出すと、几帳面そうな字でメモを書く。
『刑事ってのは身体が資本だろうがクソッタレ、自分の管理も出来なくて何が市民を守るだァ? これでも食って立派な刑事さんとやらやってろ、バーカ』
これでいい。
葦宮は満足するとフカフカになった布団をとりこみ、その上に寝転がる。
今日は随分と家事をした、少しばかり疲れたか。
そうして、うとうと眠ってしまい……目が覚めた時、津詰が「どうして家にいるんだ」と散々詰め寄られひどい口げんかをすることになるのだが、それはまた別の話である。
刑務所では犯罪者同士に情報のやりとりをする事もある。
知識に関して貪欲であった葦宮もまた獄中でいらぬ知恵を身につけ娑婆へと放たれた罪人の一人だった。
とはいえ今は身を隠し大人しくしている立場だ。
復讐を遂げるため、今は津詰の前で善良な一市民として懸命に働いているというポーズはとらなければならない。
だがそれとは別に、津詰にひと泡吹かせてやりたい。あの男を欺いて嫌がる顔を見てやりたいという気持ちは日に日に募っていった。
だからその日、獄中で空き巣から聞いた鍵開けのテクニックを駆使し津詰の自宅に忍び込む事にしたのである。
都心から少し離れた一軒家で、津詰はいま一人暮らしだ。
本庁でも切れ者と名高い鬼刑事だった男がどんな生活をしているのか、刑事のくせに空き巣に入られる屈辱を味合わす事ができれば僥倖だ、なんてつもりで家に忍び込んだのだが、期待して入った津詰の家はおおよそ本庁の刑事にはそぐわない素朴で寂しい家だった。
今は一人暮らしで家族もなく、掃除は行き届いていない。廊下はうっすらとほこりがつもっているし、布団を見れば万年床。しかも枕元におかれた灰皿はたっぷり吸い殻が残っている有様だ。
「あの野郎、寝たばこするのか? あぶねぇなぁ、火事になったら大事だろうが死ね、バカ」
そう独りごちると次いでキッチンへと向かう。
シンクには古く湿った付近がボロボロのままぶら下がり、冷蔵庫の中には瓶ビールがいくつか冷えているだけで他に何もない。
食事は店屋で買った惣菜か出前だけで済ませているのだろう。もういい年齢だろうに出前のような油っぽく塩辛いものばかり食べていては身体を壊すだろう。それでなくても刑事という激務の中にいるのに、津詰にその自覚はないのか。あるいは早死にしてもいいくらいに思っているのかもしれない。
「くそったれ、何でこんな汚ェ家に住んでられるんだよッ!」
葦宮はついに耐えかね、家にある掃除機を取り出した。
とにかく掃除だ、部屋の空気を入れ換えてほこりっぽさを無くそう。万年床の布団は干して、洗濯機を回している間にハタキをかけ掃除機、それから拭き掃除だ。当然、灰皿も綺麗にしておく。
台所にあったボロボロの布巾は新しいものをおろしておこう。スポンジも取り替えているかあやしいものだ、口に入るものを調理する水回りが汚いのは健康に直結するから金だわしで綺麗にしておこう、研磨剤もつかって磨いておけばいいだろう。
水回りといえば風呂もだ、風呂垢だらけの風呂に入っては疲れもとれまい。
なんて掃除をしていたら洗濯が終わったから日が傾くまでは外に干しておくとして、買い物にも出よう。近所の商店街を回ってみれば八百屋も肉屋も良い素材を取りそろえているじゃないか、これで惣菜だけで済ますのは商店街が近所にある利点を生かし切れてない。
「何だあいつ、何のためにこんな立地に住んでやがるんだ、くそッ……ご近所の店主もみんないい人じゃ無ェか買い物くらいしろってんだ!」
葦宮は買った食材で手早く料理をはじめた。
豚肉にニンジン、ジャガイモと日持ちする野菜を複数買ったから冷蔵庫に入れておけば津詰でも何か作るだろう。即席だったから味付けは不安だが鍋ひとつ肉じゃがをつくっておいた、温めればすぐ食べられるはずだ。
鮮魚でも良いブリが出ていたからショウガをたっぷりいれて煮付けにしておいた。
ついでに炊飯器に米をセットしておこう。スイッチさえいれれば炊けるなら津詰でもやるだろう。
「あの野郎ほんと、世話かかるぜ……」
葦宮は電話の脇にあるメモ帳を取り出すと、几帳面そうな字でメモを書く。
『刑事ってのは身体が資本だろうがクソッタレ、自分の管理も出来なくて何が市民を守るだァ? これでも食って立派な刑事さんとやらやってろ、バーカ』
これでいい。
葦宮は満足するとフカフカになった布団をとりこみ、その上に寝転がる。
今日は随分と家事をした、少しばかり疲れたか。
そうして、うとうと眠ってしまい……目が覚めた時、津詰が「どうして家にいるんだ」と散々詰め寄られひどい口げんかをすることになるのだが、それはまた別の話である。
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