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インターネット字書きマンの落書き帳

   
津詰に「大丈夫? おっぱいもむ?」って言い出す襟尾の話
Twitterに垂れ流しておいた津詰と襟尾の話をブログにもupしておきますね。
再利用(リサイクル)って奴だな……エコでキュートだな。

今回は、捜査に進展がなくイライラしている津詰に「おっぱい揉みますか!」って聞いてくる襟尾という概念です。

おっぱい揉む? って聞く男のこと好きかい?
今日から好きになろうぜ!

Twitterにupした奴より若干加筆して新しいのをかいた気持ちになっています。

ちなみに、ここで出てるプリンはパステルのなめらか~なプリンをイメージしてます。
パステルのプリンみたいになめらか~なプリンは1980年代まだ存在してなかったんだよなァ~と思うとスイーツの進化も色々あるんだな~って思いますね。(作文)


『大丈夫? おっぱい揉む? って言い出す襟尾』

 事件の捜査というのは決して華々しいものではない。 靴をすり減らして歩き目撃証言を集め、地べたを這い回って証拠を掴むという地味な作業が何日も続くのも珍しい事ではなく、まる一日歩き通しても何の成果がないなんて事も日常茶飯事だ。
 ミステリ小説のような奇想天外トリックもなければ時代劇のような勧善懲悪もない。あるのは犯罪に巻き込まれ悲しむ人々の姿であり例え犯人を逮捕しても一度打ち込まれた悲しみの楔は二度と抜ける事などない。それを思うと決して報われるような職業ではないだろう。
 津詰徹生は刑事として長いキャリアを経て散々とそれを理解していたはずだったが、もう一週間走り回り聞き込みを続けた事件になんら進展がないと流石に気持ちも塞ぎはじめていた。
 休みなく捜査を続けているというのにまだ事件が解決しないうちから新しい事件が舞い込んでくるのだから尚更だ。

「ボス、元気ありませんね。プリンでも食べて元気出しましょ」

 襟尾純は屈託ない笑顔を見せるとガラスの器に入ったプリンを差し出す。
 これは下町の小さなケーキ屋の主人が作ったプリンで非常に滑らかで口に入れれば甘さが溶けていくような不思議な食感のものだった。
 甘党だがどちらかといえば和菓子派で普段ならプリンよりあんみつを好む津詰だがこのプリンだけは別である。襟尾からそれを受け取ると、紙蓋を剥がしすぐに一口頬張れば心地よい甘さが身体全体に染み渡っていった。
 おかげで疲れは随分と和らいだが心の奥底に潜む焦燥感は消えないままだ。
 このプリンを食べてもまだ焦る気持ちが募るとは、思ったより疲れが溜まっているのかもしれない。

「ボス、どうしたんですか。せっかくプリン買ってきたのにぜんぜん美味しそうって顔してないみたいですけど」

 襟尾もプリンを食べながら津詰の顔をのぞき込む。強面であまり表情を変えない津詰の感情を確実に読み取れるのは捜査一課でも襟尾くらいのものだろう。

「美味しくないんだったら俺が食べましょうか?」

 かと思ったら食べかけのプリンへと手を伸ばしてきた。
 心配しているのではなくプリンが欲しかっただけだろうか。とにかくプリンを奪われるのは阻止しなければ。

「いやいやいや、やらねぇよ? というかお前、俺が喰ったプリンとか喰えるのかよ」
「大丈夫です、俺はそういうの気にしませんから」
「俺が気になるんだよなぁ……いやいやいや、お前も少しは気にしたほうがいいぞ、誤解されるからな……疲れている時の甘いものってのは有り難いんだが、捜査に進展がないのがちぃとばかり気になってな」

 実際は気になっているのは少しどころではないのだが、それを口にしたところで詮無き事だろう。さらにプリンを食べながら自然とため息が出る。

「確かにそうですよね……ボスでも進展がないとやっぱイライラするもんなんですね」
「当たり前だろ。事件があるってのは辛ェ目にあった誰かがいるって事だ。上は検挙率やら何やら数字でしかモノを見ないヤツが多いが、一件一件が人生にいらねぇ傷を負う事になった人間の数だと思うとやりきれねぇよな」

 津詰はまた深いため息をつく。
 その様子を見て、襟尾は急に名案を閃いたかのような顔をした。

「そうですね……じゃぁボス、俺のおっぱい揉みますか?」
「いやいやいやいや、揉まねぇよ? 急に何言ってんだおまえ? いや……揉まねぇよ?」

 あまりに唐突な提案に、津詰は思わず二度、丁重なお断りを入れる。だが襟尾は嬉々としながら背広を脱ぐと自分の胸をポンと叩いて見せた。

「実はですね、先日先輩方と飲みに誘われたとき、大きい胸に顔を埋めたり揉んだりすると心が安らぐと聞いたんですよ」
「そうか……ってまたえらいヤツと飲みにいったもんだな。交友が広いのはいいがちったぁ友達選べ。妙な趣味に目覚めても知らねぇよ」
「そいつが言うには胸から癒やし効果が出ているらしいですよ。ほら、俺は結構鍛えてますから胸もデカいと思うんで、揉んだり埋めたりしていいですよボス! デカければOKなら、俺の無目もだいぶ癒やし効果あると思いますから」
「だから揉まないし埋めもしねぇって言ってるだろ。おまえどうなってんだ? それたぶん女の胸って前提だろ。おまえの胸は確かにデカいが前提から間違えているんじゃねぇか」

 再度、丁重なお断りを入れる津詰を前に襟尾は唇を尖らせて不満そうな顔をする。

「揉まないんですか? 顔を埋めてもいいんですよ?」
「何度も言わせんじゃねぇ、揉まないし埋めねぇよ。例えおまえが女でもそんな事ぁしねぇっての」
「そんなァ俺のおっぱいに魅力がないとでもいうんですか!? ……こうなったら必ずボスに俺の胸にある魅力を伝えてみせます」
「いつも思うがお前のいらない努力いったい何なんだ? いかなる修練を積んでも決しておまえの胸を揉まないい埋めないからいつも通りのお前でいてくれねぇかな……いや、いつも通りだからそんなこと言うのか。そうだな、オマエの通常営業がそれだもんな」

 そうして話しているうちに津詰は心の重荷が随分と和らいでいる事に気付く。
 襟尾の発言はほとんど天然で狙ってしているものではないのだろうが津詰が知らぬうちに抱いていた緊張や焦燥などがほぐれるような言葉を投げかけてくれるのだ。例え本人が意識していなくとも津詰を心配し気にかける気持ちは本物なのだから襟尾の言葉は気が紛れるのだろう。
 最もその自由すぎる発言は他の刑事たちには少々手に余るようで襟尾が津詰と組んでいるのも優秀だが御しがたい奔放な発言のせいが大きいのだが。

「まぁいい、これ喰ったらもう少し聞き込んでみるぞ」
「わかりましたボス、今日は1000人にでも聞き込みしてやりますよ」

 襟尾は相変わらず無邪気に笑う。
 その笑顔を眺め、津詰はガラス瓶に残ったプリンをかき集め口に入れるのだった。

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