インターネット字書きマンの落書き帳
津詰のこと好きすぎる襟尾のせいでオッサンがラブコメ
津詰のこと大好きすぎる襟尾の話を書きました。
以前Twitterに出しておいたやつを加筆修正して、というか圧倒的に修正が多くて容量ダウンしている気がするんですが、元々の話ちょっとクドかったからこれくらいでいい気がします。
純粋に津詰に憧れていて、それでつい不躾になりすぎる襟尾とまぁでもいいか~ってなっちゃう津詰の話ですよ。
このオッサン、イチャイチャしすぎである。
一番ラブコメのオッサン……。
「がんばれ、ラブコメのおじさん……!」
オレの心の黒鈴ミヲが応援しちゃいます。
以前Twitterに出しておいたやつを加筆修正して、というか圧倒的に修正が多くて容量ダウンしている気がするんですが、元々の話ちょっとクドかったからこれくらいでいい気がします。
純粋に津詰に憧れていて、それでつい不躾になりすぎる襟尾とまぁでもいいか~ってなっちゃう津詰の話ですよ。
このオッサン、イチャイチャしすぎである。
一番ラブコメのオッサン……。
「がんばれ、ラブコメのおじさん……!」
オレの心の黒鈴ミヲが応援しちゃいます。
『梅雨時の書類仕事』
襟尾純は優秀な刑事ではあったが上司である津詰徹生に対して随分とひどい物言いをすることがしばしば見受けられていた。
「ボス、耄碌しちゃったんですか?」
「こっちの怖い顔をしたいかにも頑固親父って顔をしている方がオレの上司です」
「こんなオジサンが甘いもの好きとか、意外に見えるよね。でも甘い物、特に和菓子が好きだから差し入れはみつ豆とか大福がいいと思うな」
襟尾は人当たりが良く愛嬌のあるしゃべり方をする上に基本的に津詰に対して敬意を持って接しているからあまり気にはならないのだが、どれを取って考えても随分な物言いだろう。
オッサン扱いされるのは仕方ない。
五十歳になっても未だ現場の刑事にしがみ付く人間は珍しく、普通ならもう少し身体に負担の少ないデスクワークにうつったり陣頭指揮をとり自ら動く事を極力減らしていく人間の方が多い中、津詰は好き好んで現場へと戻ってきたのだから。
だから他の連中より年かさなのはわかっている。
働き盛りの40代や若手が多い刑事の中では浮いているというのもだ。
だがそれにしたってオジサン扱いが非道すぎるし、耄碌したか心配されるほど年寄りのつもりはない。
それでも襟尾が憎めないのは心の底からこちらを慕っていてくれているからだろう。
襟尾は津詰に対し明け透けすぎるくらいの物言いだが好意を隠す事はなく、陰口をたたく性格でもない。
「ボスはオレの憧れですから」
この言葉に嘘はなく、やれ耄碌だ呆けてるのかと言う割に津詰の手足となって働き細かい部分までよくサポートしてくれていた。
刑事の仕事は体力勝負だ。周囲には30代、40代という働き盛りの人間が多い。
津詰の前では歴戦の刑事だの経験豊富だの持ち上げて見せても影では古くさいロートルの刑事だの考えの固い昔の刑事だの悪たれをついている輩が多いのも知っていた。
それを考えれば襟尾は素直なものだ。
自分の前で堂々と津詰を「オジサン」扱いし、その上で手の回らない所をサポートしてくれているのだからコチラの前で良い人のふりをして陰口をたたくよりずっと信頼できるだろう。
あるいは襟尾も津詰を表面上は持ち上げておいて影では古くさいと笑っている連中がいるのを知っているのかもしれない。それを知って、自分のことをオッサン扱いすることで気にしてない事をアピールしているのならむしろその気遣いに感謝すべきだろう。
「なんて、アイツに限ってそこまで気ぃ使ったりしてねぇか……」
津詰は缶コーヒーを飲みながらデスクに溜まった書類を見る。
刑事は足で情報を稼ぐもの、捜査が一番大事であり現場百回が基本だとすぐ外回りに出かけるためいつでも書類は溜まりっぱなしだ。今日は雨だしそろそろ提出しなければマズイ書類もある。いくら手柄をあげた所で日々の業務をキチンとこなせてなければ上からドヤされるのは目に見えていた。
億劫だが仕方ない。それに書き仕事だって刑事の業務である。
そろそろはじめるかとペンを手に取れば襟尾は津詰のそばへと来て溜まった書類に目をやった。
「うわー、すごい書類ですねボス。手伝いましょうか?」
「何だエリオ、オマエは終わったのか……」
「はい、オレはいつも帰る前に書類はマメに整理してますんで。それにしてもボス、ため込みましたねー。ボスひょっとして夏休みの宿題前日にぜんぶ片付けるタイプですか」
うずたかく積まれた書類を前に襟尾は感心したように言う。彼は仕事のあと少し書類を書いているといったが、最近の津詰は捜査がおわるとくたくたで一刻も早く家に帰りたいのが本音だった。 やはり若さによる体力差が如実に表れるのだろう。
「まったく、その若さが羨ましいぜ……悪ぃな、俺みたいなオッサンが上司だとオマエも苦労するだろ」
襟尾と同年代の同期たちは先輩にあたる人間は30代後半か40代半ばくらいまでの人間があたることが多い。襟尾は率先して津詰と組むのを望んだとはいえ例外といえるだろう。
そもそも警察では50を過ぎると早期退職の準備をはじめる者が多いのだ。背負うものが多い刑事なんて因果な商売をつづける方が珍しい。せっかく移動したのにわざわざ激務の刑事に戻ってきたのなら尚更だろう。
津詰の言葉に、襟尾は愛嬌たっぷりの笑顔を向けた。
「そんな事ないですよ、オレはボスに憧れて刑事になったんですからボスの近くにいられて光栄ですから」
「本当かぁ? 他の奴らより若くもねぇし体力もねぇ、経験だけで辛うじてこの仕事にしがみついてるようなもんだけどな、俺は」
「オッサンだからいいんじゃないですか。ボスのいぶし銀の魅力、鋭い眼光、経験から導き出される刑事の勘、全部格好いいですよ」
襟尾は目を輝かせながらそんな事を言うと、すぐに津詰を見て笑った。
「あ、でも誤解しないでください。オレがボスのこと好きなのは別にボスがオッサンだからじゃないです。ボスがボスだから好きなんですよ」
そして津詰が溜めに溜めた書類のなかから自分が書いても大丈夫そうなものを見繕うと
「こっちはオレがやりますから、ボスも今日は頑張って書類片付けちゃいましょうねー」
片手にたっぷりの書類を抱え明るく笑って手を振った。 津詰はそんな襟尾が自分の椅子に座るまで見送った後に。
「……オッサンじゃなくて、俺が? 最近の若ェやつは随分と簡単に好きとか言うもんだな。まったく、一瞬ドキッとしちまったじゃねーか。若い証拠かもな」
つい、そう呟く。
何にせよ、きっと自分と襟尾とは良いコンビとして仕事ができているのだろう。
襟尾純は優秀な刑事ではあったが上司である津詰徹生に対して随分とひどい物言いをすることがしばしば見受けられていた。
「ボス、耄碌しちゃったんですか?」
「こっちの怖い顔をしたいかにも頑固親父って顔をしている方がオレの上司です」
「こんなオジサンが甘いもの好きとか、意外に見えるよね。でも甘い物、特に和菓子が好きだから差し入れはみつ豆とか大福がいいと思うな」
襟尾は人当たりが良く愛嬌のあるしゃべり方をする上に基本的に津詰に対して敬意を持って接しているからあまり気にはならないのだが、どれを取って考えても随分な物言いだろう。
オッサン扱いされるのは仕方ない。
五十歳になっても未だ現場の刑事にしがみ付く人間は珍しく、普通ならもう少し身体に負担の少ないデスクワークにうつったり陣頭指揮をとり自ら動く事を極力減らしていく人間の方が多い中、津詰は好き好んで現場へと戻ってきたのだから。
だから他の連中より年かさなのはわかっている。
働き盛りの40代や若手が多い刑事の中では浮いているというのもだ。
だがそれにしたってオジサン扱いが非道すぎるし、耄碌したか心配されるほど年寄りのつもりはない。
それでも襟尾が憎めないのは心の底からこちらを慕っていてくれているからだろう。
襟尾は津詰に対し明け透けすぎるくらいの物言いだが好意を隠す事はなく、陰口をたたく性格でもない。
「ボスはオレの憧れですから」
この言葉に嘘はなく、やれ耄碌だ呆けてるのかと言う割に津詰の手足となって働き細かい部分までよくサポートしてくれていた。
刑事の仕事は体力勝負だ。周囲には30代、40代という働き盛りの人間が多い。
津詰の前では歴戦の刑事だの経験豊富だの持ち上げて見せても影では古くさいロートルの刑事だの考えの固い昔の刑事だの悪たれをついている輩が多いのも知っていた。
それを考えれば襟尾は素直なものだ。
自分の前で堂々と津詰を「オジサン」扱いし、その上で手の回らない所をサポートしてくれているのだからコチラの前で良い人のふりをして陰口をたたくよりずっと信頼できるだろう。
あるいは襟尾も津詰を表面上は持ち上げておいて影では古くさいと笑っている連中がいるのを知っているのかもしれない。それを知って、自分のことをオッサン扱いすることで気にしてない事をアピールしているのならむしろその気遣いに感謝すべきだろう。
「なんて、アイツに限ってそこまで気ぃ使ったりしてねぇか……」
津詰は缶コーヒーを飲みながらデスクに溜まった書類を見る。
刑事は足で情報を稼ぐもの、捜査が一番大事であり現場百回が基本だとすぐ外回りに出かけるためいつでも書類は溜まりっぱなしだ。今日は雨だしそろそろ提出しなければマズイ書類もある。いくら手柄をあげた所で日々の業務をキチンとこなせてなければ上からドヤされるのは目に見えていた。
億劫だが仕方ない。それに書き仕事だって刑事の業務である。
そろそろはじめるかとペンを手に取れば襟尾は津詰のそばへと来て溜まった書類に目をやった。
「うわー、すごい書類ですねボス。手伝いましょうか?」
「何だエリオ、オマエは終わったのか……」
「はい、オレはいつも帰る前に書類はマメに整理してますんで。それにしてもボス、ため込みましたねー。ボスひょっとして夏休みの宿題前日にぜんぶ片付けるタイプですか」
うずたかく積まれた書類を前に襟尾は感心したように言う。彼は仕事のあと少し書類を書いているといったが、最近の津詰は捜査がおわるとくたくたで一刻も早く家に帰りたいのが本音だった。 やはり若さによる体力差が如実に表れるのだろう。
「まったく、その若さが羨ましいぜ……悪ぃな、俺みたいなオッサンが上司だとオマエも苦労するだろ」
襟尾と同年代の同期たちは先輩にあたる人間は30代後半か40代半ばくらいまでの人間があたることが多い。襟尾は率先して津詰と組むのを望んだとはいえ例外といえるだろう。
そもそも警察では50を過ぎると早期退職の準備をはじめる者が多いのだ。背負うものが多い刑事なんて因果な商売をつづける方が珍しい。せっかく移動したのにわざわざ激務の刑事に戻ってきたのなら尚更だろう。
津詰の言葉に、襟尾は愛嬌たっぷりの笑顔を向けた。
「そんな事ないですよ、オレはボスに憧れて刑事になったんですからボスの近くにいられて光栄ですから」
「本当かぁ? 他の奴らより若くもねぇし体力もねぇ、経験だけで辛うじてこの仕事にしがみついてるようなもんだけどな、俺は」
「オッサンだからいいんじゃないですか。ボスのいぶし銀の魅力、鋭い眼光、経験から導き出される刑事の勘、全部格好いいですよ」
襟尾は目を輝かせながらそんな事を言うと、すぐに津詰を見て笑った。
「あ、でも誤解しないでください。オレがボスのこと好きなのは別にボスがオッサンだからじゃないです。ボスがボスだから好きなんですよ」
そして津詰が溜めに溜めた書類のなかから自分が書いても大丈夫そうなものを見繕うと
「こっちはオレがやりますから、ボスも今日は頑張って書類片付けちゃいましょうねー」
片手にたっぷりの書類を抱え明るく笑って手を振った。 津詰はそんな襟尾が自分の椅子に座るまで見送った後に。
「……オッサンじゃなくて、俺が? 最近の若ェやつは随分と簡単に好きとか言うもんだな。まったく、一瞬ドキッとしちまったじゃねーか。若い証拠かもな」
つい、そう呟く。
何にせよ、きっと自分と襟尾とは良いコンビとして仕事ができているのだろう。
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