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インターネット字書きマンの落書き帳

   
この手を血に染めても尽くしたいもの(ヤマアル)
端的にいっておかしいアルフレートくんをまた生み出してしまったな。(挨拶)

というワケで、ヤマムラに愛されて嬉しい。ヤマムラに尽くされて嬉しい。
だから自分もヤマムラに尽くしたいと思い、ヤマムラのために思いっきり尽くしてしまうものの尽くした方向性が全力で狂ってしまっているアルフレートくんです。

アルフレートくんをホラーにしたいのか俺は……!?
いや、でもこれは愛。愛なんですよ。俺が言うからそうなんです。愛です。




『愛しい貴方に尽くしたい』

 湿った土に触れながら、アルフレートは以前熱を出した日の事を思いだしていた。
 風邪だろう、別に大事ではない。
 そう思い普段通り血族の情報を求めていたアルフレートを無理矢理宿に押し込んで休ませたのは他でもないヤマムラであった。

「明らかに顔色が悪いのに無理をするな。些細な事で無理をすると、大事な時に出来る事もできなくなるぞ」

 ヤマムラは日当たりの良い部屋を準備して、新しいシーツをはった柔らかなベッドにアルフレートを寝かせる。
 食欲があまりないというアルフレートにパン粥を作って食べさせ、すぐ飲めるようにと枕元に水差しとコップを準備し、冷たいタオルを何度も変えてくれた。

「すいませんヤマムラさん。こんなにお世話になっているのに、私はあなたに何もしてあげられなくて……」

 平時であればヤマムラの身体を抱きしめ、キスをして感謝の気持ちを伝えていただろう。
 だが風邪をひいていては無闇に唇を交す事は出来ない。
 彼にはこの身体を差し出すのも構わないと思っているが、ヤマムラは体調が悪い相手を求めるほど野暮ではないのも知っていた。
 だからこそ、何も出来ない自分にもどかしさを覚える。
 だがそんなアルフレートに、ヤマムラは笑いながらりんごを剥いて切り分ける。

「別に気にしなくてもいい。俺がキミにしてあげたいと思ったからしているだけだからね」

 あの時は、ヤマムラが優しい男だからそう言うのだろうと思っていた。
 だが今は分る。

 誰かに、何かしてあげたい。
 そう思うのは「愛」だ。
 見返りもなく、相手に何か求める事もなく、ただ尽くしたいと思うのは限りなく純粋な愛情なのだ。

「……私も、貴方に何かしてあげたいと。そう思うんです、ヤマムラさん」

 掘り返した穴を眺め、アルフレートは微笑む。
 穴には幾つもの死体が放り込まれていた。

 この男はヤマムラに対して敵意を抱いていた男。
 化粧の派手な女はヤマムラをしつこく誘った街娼。
 大柄な男はヤマムラに難癖をつけてきた狩人……。

 死体は全てヤマムラに対して敵意を向けるか、ヤマムラに色目を使った輩でありアルフレートにとって邪魔な人間だ。
 アルフレートから見て怒りを覚える人間なのだから、きっとヤマムラも邪魔だと思っているに違いない。

「だからヤマムラさん、貴方にとって不必要なものは私が排除しますからね。あなたの人生は私が清潔にし、健全にしていきます……」

 血濡れた石槌を握りしめ、アルフレートは胸に手をあてる。
 この胸の高鳴り、身体全体を包むような温もり。それらを与えてくれたヤマムラに、愛と感謝を込めて死体の山を造ろう。

「私に出来るのはこんな事だけですけど……私もあなたに、何かしてあげたいんです」

 アルフレートは湿った土を蹴り、笑う。
 その笑顔はとても清らかであり、だからこそ歪であった。

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