インターネット字書きマンの落書き帳
ビバークするアルフレくん(ヤマアル・BL)
ヤマムラ×アルフレートの話はいつ、何度しても健康にいい!(挨拶)
健康にいい推し二人には幸せになってほしい。
そういう強い思いがあるんだけど時々はちょっと悲しい二人も書きたいよね。
という欲望も抑えられない愚かな人類、それが俺です。
今回の話は、カインハーストへ旅立つ途中、寒い中一人で寝ずの番をしていたらヤマムラさんの事を思い出してしまうアルフレートくんの話ですよ。
アルフレートくんは訓練されたビバークをしているので雪山でも大丈夫ですが、良い子は出来るだけ真似せず計画的な雪山登山などに挑戦してください!
健康にいい推し二人には幸せになってほしい。
そういう強い思いがあるんだけど時々はちょっと悲しい二人も書きたいよね。
という欲望も抑えられない愚かな人類、それが俺です。
今回の話は、カインハーストへ旅立つ途中、寒い中一人で寝ずの番をしていたらヤマムラさんの事を思い出してしまうアルフレートくんの話ですよ。
アルフレートくんは訓練されたビバークをしているので雪山でも大丈夫ですが、良い子は出来るだけ真似せず計画的な雪山登山などに挑戦してください!
『冷めた豆のスープ』
アルフレートは一人で焚き火の番をする。
歩くほどに肌を裂くような凍える風が吹き下ろし、それは目的地が近い事を暗に示していた。
せめて風を防げるような場所があれば良かったのだがこんなにも冷たい風が吹き付けるのならうっかり眠ってしまえば凍死は間違いないだろう。
焚き火を消す訳にもいかない。今夜は寝ずの番になることを覚悟しながらアルフレートは鍋を火にかけた。
カインハーストは人の住む場所ではない血族の巣窟である。 この先にはますます人の住処などはなくなり雨風を凌げる場所なども減っていくのだろう。 アルフレートはフードをかぶると鍋の中に瓶詰めのひよこ豆をぶちまけた。
食糧もあまり沢山ある訳ではないのだがここで食事まで削ってしまえば体力を消耗するばかりだ。暖かく栄養のあるものを摂っておくべきだと考えたのだ。
ひよこ豆を塩で味付けしながら乱雑にベーコンを切り落として中に入れて簡単なスープを作ると粗末な木の器へとそれを取り分け少しずつ啜った。
『美味しいか、アルフレート』
まだ熱いスープを啜った時、ふとヤマムラの言葉を思い出す。
ヤーナムで狩りで野営になればヤマムラはよくこのひよこ豆とベーコンが入ったスープを作ってくれたのだ。
『なんて、美味しい訳がないよな。豆とベーコンで塩味のスープだ。せめてトマトで煮込めればもうちょっとマシなんだろうが、ヤーナムではトマトなんて簡単には手に入らないからな』
その後決まって苦笑いをする。 各地を流浪しヤーナムへと行き着いたヤマムラは各地でした食事をよく覚えており色々な食べ物の話をしてくれたのだ。
ヤマムラ曰く、彼が生まれた土地では食事をただの栄養補給ではなく楽しみの一つとして捉えている方が多く、彼もまた異国にある珍しい食べ物や美味しかった食べ物をいくつも覚え自分でも作れるようになったらしい。 そんなヤマムラにとって豆とジャガイモくらいの野菜しか手に入らないヤーナムの食事は素朴なものに思えたのだろう。味付けも塩だけがほとんどだったから尚更だ。
もともとヤーナム周辺で生まれ育ったアルフレートにとって豆や野菜くずの食事は日常で野菜にもそれほど多くの種類があるなど知らなかったからヤマムラの語る各地の料理はおとぎ話のような夢物語に聞こえたが、それでも楽しそうに語るヤマムラを見るのは好きだったのを覚えている。
「やっぱりヤマムラさんの作ったスープの方が美味しいですね……」
以前ヤマムラがしているように見よう見まねで作ったひよこ豆のスープを前に、アルフレートは長く息を吐く。 ただ塩で作っただけのように見えたスープだったが調理の過程が違うのか、あるいはアルフレートが知らぬようなスパイスを使っていたのだろう。自分で作った塩スープはただ味気ないだけだった。
それとも一人である孤独が食事の味など感じさせぬ程に募っているのだろうか。
湧き出た思いをアルフレートは否定する。
自分は元々孤独なのだ、理解者などいなかったのだ。
ローゲリウスの言葉に触れその尊さを説いても誰一人見向きもしなかった。それどころか奇異の目で見られ診療所に行く事を勧められる事もあったほどだ。
処刑隊の装束をまとう姿は滑稽と笑われ血族を探し走り回る自分を「処刑隊の亡霊」とあざ笑う者がどれほど多かっただろう。
ヤマムラはアルフレートを笑いもせず、また否定もしなかったが自分と道を同じにはしなかった。
いや、それはいいのだ。
ヤマムラと自分とは生き方が違うのだし理解してくれなくとも否定せず送り出してくれた彼はヤーナムで出会った多くの狩人のなかでも一番優しかっただろう。
だが優しさは時に人を惑わせ覚悟を鈍らせる。
彼は優しいから処刑隊の輝きを前にして相手に情けをかけるかもしれないし、共に生きる方法があるのならそれを模索していたかもしれない。 そのような考えをもつ人間は輝きへ至る道にはたどり着けないだろうと思っていたし、そこへ向かおうとしないでほしいとも思っていた。
輝きを標としすすむのは、自分だけで充分なのだと。
だがそれでも、思い出してしまうのは仕方ないだろう。
スープを啜るアルフレートに毛布をかけ、『寒くはないかな』と心配そうに問いかけるあのやさしい笑顔をどうして忘れる事ができようか。
あの時はいつだって寒くなかった。何もしなくとも隣にいて手を握ってもらえるだけで充分すぎるほど幸福だったのだから。
だが今は風が冷たく凍える程に寒い。
「早くこの寒さに慣れないといけませんよね。すべて雪に隠して置いていかないと……」
アルフレートは誰に聞かせるともなくそう独りごちる。
暖かなスープはすっかり冷め切っていた。
アルフレートは一人で焚き火の番をする。
歩くほどに肌を裂くような凍える風が吹き下ろし、それは目的地が近い事を暗に示していた。
せめて風を防げるような場所があれば良かったのだがこんなにも冷たい風が吹き付けるのならうっかり眠ってしまえば凍死は間違いないだろう。
焚き火を消す訳にもいかない。今夜は寝ずの番になることを覚悟しながらアルフレートは鍋を火にかけた。
カインハーストは人の住む場所ではない血族の巣窟である。 この先にはますます人の住処などはなくなり雨風を凌げる場所なども減っていくのだろう。 アルフレートはフードをかぶると鍋の中に瓶詰めのひよこ豆をぶちまけた。
食糧もあまり沢山ある訳ではないのだがここで食事まで削ってしまえば体力を消耗するばかりだ。暖かく栄養のあるものを摂っておくべきだと考えたのだ。
ひよこ豆を塩で味付けしながら乱雑にベーコンを切り落として中に入れて簡単なスープを作ると粗末な木の器へとそれを取り分け少しずつ啜った。
『美味しいか、アルフレート』
まだ熱いスープを啜った時、ふとヤマムラの言葉を思い出す。
ヤーナムで狩りで野営になればヤマムラはよくこのひよこ豆とベーコンが入ったスープを作ってくれたのだ。
『なんて、美味しい訳がないよな。豆とベーコンで塩味のスープだ。せめてトマトで煮込めればもうちょっとマシなんだろうが、ヤーナムではトマトなんて簡単には手に入らないからな』
その後決まって苦笑いをする。 各地を流浪しヤーナムへと行き着いたヤマムラは各地でした食事をよく覚えており色々な食べ物の話をしてくれたのだ。
ヤマムラ曰く、彼が生まれた土地では食事をただの栄養補給ではなく楽しみの一つとして捉えている方が多く、彼もまた異国にある珍しい食べ物や美味しかった食べ物をいくつも覚え自分でも作れるようになったらしい。 そんなヤマムラにとって豆とジャガイモくらいの野菜しか手に入らないヤーナムの食事は素朴なものに思えたのだろう。味付けも塩だけがほとんどだったから尚更だ。
もともとヤーナム周辺で生まれ育ったアルフレートにとって豆や野菜くずの食事は日常で野菜にもそれほど多くの種類があるなど知らなかったからヤマムラの語る各地の料理はおとぎ話のような夢物語に聞こえたが、それでも楽しそうに語るヤマムラを見るのは好きだったのを覚えている。
「やっぱりヤマムラさんの作ったスープの方が美味しいですね……」
以前ヤマムラがしているように見よう見まねで作ったひよこ豆のスープを前に、アルフレートは長く息を吐く。 ただ塩で作っただけのように見えたスープだったが調理の過程が違うのか、あるいはアルフレートが知らぬようなスパイスを使っていたのだろう。自分で作った塩スープはただ味気ないだけだった。
それとも一人である孤独が食事の味など感じさせぬ程に募っているのだろうか。
湧き出た思いをアルフレートは否定する。
自分は元々孤独なのだ、理解者などいなかったのだ。
ローゲリウスの言葉に触れその尊さを説いても誰一人見向きもしなかった。それどころか奇異の目で見られ診療所に行く事を勧められる事もあったほどだ。
処刑隊の装束をまとう姿は滑稽と笑われ血族を探し走り回る自分を「処刑隊の亡霊」とあざ笑う者がどれほど多かっただろう。
ヤマムラはアルフレートを笑いもせず、また否定もしなかったが自分と道を同じにはしなかった。
いや、それはいいのだ。
ヤマムラと自分とは生き方が違うのだし理解してくれなくとも否定せず送り出してくれた彼はヤーナムで出会った多くの狩人のなかでも一番優しかっただろう。
だが優しさは時に人を惑わせ覚悟を鈍らせる。
彼は優しいから処刑隊の輝きを前にして相手に情けをかけるかもしれないし、共に生きる方法があるのならそれを模索していたかもしれない。 そのような考えをもつ人間は輝きへ至る道にはたどり着けないだろうと思っていたし、そこへ向かおうとしないでほしいとも思っていた。
輝きを標としすすむのは、自分だけで充分なのだと。
だがそれでも、思い出してしまうのは仕方ないだろう。
スープを啜るアルフレートに毛布をかけ、『寒くはないかな』と心配そうに問いかけるあのやさしい笑顔をどうして忘れる事ができようか。
あの時はいつだって寒くなかった。何もしなくとも隣にいて手を握ってもらえるだけで充分すぎるほど幸福だったのだから。
だが今は風が冷たく凍える程に寒い。
「早くこの寒さに慣れないといけませんよね。すべて雪に隠して置いていかないと……」
アルフレートは誰に聞かせるともなくそう独りごちる。
暖かなスープはすっかり冷め切っていた。
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