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インターネット字書きマンの落書き帳

   
勘違い暴走アルフレくん。(ヤマアル)
ヤマムラ×アルフレート前提な世界観の、ブボッボボーンです。
ヤマムラさんって顔が可愛いし格好いいし性格も優しいし、これは100人の男がいたら100人全員惚れますよね!

位の強めの思い込みをしているアルフレート君が、ヤマムラの上司的な存在であるヴァルトールに対して「顔も良くて強い男! ライバル!」と勝手に思い込み、ヴァルトールさんがヤマムラに手を出さないか牽制しにいく話です。

本日も暴走機関車みたいに制御のきかない元気のいい若造味が新鮮なアルフレートくんを召し上がり下さい。
キャッキャ!
特にヤマアルに興味がない……。
そもそもBLとか男CPとか……何言ってるんだオメェは……みたいな顔をする人は触れないでおくか、今日からこの世界の住人になれよなッ!

キャッキャ!


『虚像の影より真実の光を見よ』


「そろそろきちんと言っておかなければいけませんよね……これ以上の暴挙も暴言も、見過ごすワケには行きませんから」
 アルフレートはそう口にしながら歩けば、自然と人が避けていく。
 一見大人しそうなアルフレートだったが、その内実は自身でも制御しきれぬ程の激情を秘めていたからだ。
 アルフレートを怒らせたのなら命はない。

 激昂したアルフレートを止められるのは、かつてヤーナムに現れた黒い獣か、あるいは伝説の英雄・ルドウイークが戦ったと言われる上位なる存在くらいのものだ。なんて話は、狩人たちの間でもよく話題になる。
 普段は冷静を装っているが、一度火が付いたら誰より猛々しく、そしてどんな獣よりも獰猛に荒れ狂う「血族狩り」の亡霊としてよく知られた存在だ。
 そんなアルフレートが明らかに不機嫌な顔をして歩いていれば、事情を知らぬ市民たちもその怒気に恐れ道を空ける事だろう。
 アルフレートは周囲の狩人や市民たちが自分を恐れて遠巻きに見ていた事さえ気付かぬまま、禁域の森へと向っていた。
 目的は一つ。
 連盟の長、ヴァルトールに会う為だった。
 ヤーナムの街で血族を求め情報集めに躍起になっていたアルフレートは自然とヤーナムの情勢や組織などに詳しくなっていた。
 連盟と、その長であるヴァルトールの事も当然耳にしている。
 他の街からやってきた官憲隊が、獣の病に立ち向かうも無惨に八つ裂きにされたという事。ただ一人生き残った男がいた事。それは獣を喰らい、ヴァルトールと名乗って連盟を立ち上げたという事……。
 曖昧な所もあるが、今ある連盟の長がヴァルトールであり、連盟というのは獣、あるいは狩人の中にある「虫」を潰すのが目的な独立した組織であり、連盟の長であるヴァルトール自身は間違いなく、現在(いま)のヤーナムに潜む狩人の中でも5本の指の強さであるという事はおおむね正しい情報と言っていいだろう。
 だが今のアルフレートにとって、ヴァルトールが猛く強い狩人だという事はあまり関係なかった。
 むしろ問題は……。
「連盟の長という立場で、いつもいつもヤマムラさんの傍にいられるだけで許せないというのに……私とヤマムラさんが一緒にいるとアレやコレやと文句を言ってくるなんて、いくらなんでも酷すぎます! 今日こそあの人にはしっかり言い含めておかないと……」
 ヴァルトールが、自分以上にヤマムラと親しい存在である……。
 少なくともアルフレートはそう思っているという事だった。
 ヴァルトールは、アルフレートから見ても美しいと思える男だった。
 歳はアルフレートより年上で、恐らくだがヤマムラの方がヴァルトールと歳が近いだろう。
 体格はアルフレートより小柄に見えるが、発達した筋肉は回転ノコギリを自在に操り獣を苦痛の上に狩るのに特化しているように思える。
 普段はバケツのような兜で素顔を晒す事はないが、その下には美しく白い肌と、流れるような金色の髪があるのはアルフレートも知っていた。年齢から考えても綺麗な顔と身体である。そう言っても、お世辞ではない男だ。
 だからこそ、アルフレートは焦っていた。

 ヤマムラの身近に美しく、包容力もあり、強く、そして話も会う人間がいるというのだ。しかもしれがヤマムラから見ると上司のような存在なのだ。
 ヤマムラはアルフレートを裏切るような男ではない。真面目で、純朴で、誠実で、そして律儀な人だから、アルフレートに対して愛を囁いたのならそを裏切る真似はしないだろう。
 だがヴァルトールは信用ならない。
 ヤマムラよりも上の立場であり、狩人の中でも屈指の実力者でもあるヴァルトールがその立場で、その力で強引にヤマムラを我が手に収めようとしたのなら……。
’(ヤマムラさんだって無理矢理……そうじゃなくても、ヤマムラさんは優しいから情に流されると弱い所があるし……とにかく、ヴァルトールさんにはちょっとキツく言っておく必用があるはずです。あの人の恋人は、私なんですから……)

 自然と禁域の森を歩む足が速くなる。
 連盟は禁域の森を隠れ蓑にして活動しており、その中でもいくつか隠れ家やアジトと言われる場所をもっているのだが、ヴァルトールはその日最も最寄りの風車小屋で暖を取っていた。
 最近は狩りに出るより、連盟の意志を継ぐ同士が現れないかとたき火の前で過ごす事が増えていると聞いていたが、今日も狩りには出ないつもりなのかスキットルに入ったウイスキーを飲みながら、読書に勤しんでいるようだった。
「見つけましたよヴァルトールさん! ……ヤマムラさんにアプローチするのは金輪際やめて頂きますか! ヤマムラさんは私の大切な人なんですから、そういうのは迷惑です!」
 ヴァルトールを見つけるなり開口一番そう告げれば、ヴァルトールは飲んでいたウイスキーを勢いよく吹き出す。
 燻っていたたき火が一瞬、大きく火柱を上げた。

「いきなり現れたと思ったら、何を言ってるのだ貴公は。おかしい奴だとは思っていた、とうとう狂ったのか?」

 真顔でアルフレートを見据えるヴァルトールに対し、アルフレートは引く様子を見せずさらに語気を強める。

「私はマトモですよ。狂っているのはこの街ですから。……とにかく、ヤマムラさんに色目を使っても無駄ですから。私のヤマムラさんにあんまりちょっかいかけないでくださいよ。いくら貴方の顔が綺麗で、美しい金髪で、狩人として優れていて、ヤマムラさんと歳が近くて、話が会う事があったとしても……私は貴方に負けるつもりはないですし、ヤマムラさんを譲るつもりは無いですから!」

 早口でそうまくし立てると、アルフレートは少し気が晴れたのか胸を張って得意気に笑う。
 一方のヴァルトールは深いため息をつくと、鼻の頭を掻く。

「いや、貴公が俺の事を綺麗な男だと評価していたのも、優れた狩人だと評価していたのも、ヤマムラと親しいと思ってくれていたのも少々意外だったな。いや、驚いた。貴公はもっとプライドが高い小僧だと思っていたから、他人を認めるなんて事しないと勘違いしていたな」
「だっ、誰が小僧ですか。確かに貴方より年下ですけど……」
「だが、同士ヤマムラの事を俺が奪うなどと……そんな考えを貴公が抱いているとしたら、それはいらぬ心配というものだよ」
「何でですかっ……実際、ヤマムラさんは貴方とよく話してるじゃないですか……一緒にいる時間も私よりずっと長いんですよ。それなのに……」

 不服そうに唇を尖らせるアルフレートを横目に、ヴァルトールは唇を濡らすようウイスキーを舐めた。

「確かにな。俺は同士ヤマムラと仕事の話をしなければならんから、必然的にいる時間も長くなる。が……貴公は知ってるのか、アルフレート。同士ヤマムラが俺の前で、どれだけお前の話をしているのかを」
「えっ?」

 驚き、目を見開くアルフレートを前に、ヴァルトールは続けた。

「昨日はアルフレートが俺の作った卵焼きを美味しそうに食べてくれたんですよ。この前はアルフレートが送った花を飾ってくれたんですよ。アルフレートのために買った香水の瓶を、アルフレートはずっと眺めていたんですよ……いつもこんな感じで笑いながら貴公の話を聞いているこっちの身にもなってみろ? ……貴公を見て、嫌味の一つでも言いたくなるというものだろう」

 知らなかった。
 普段ヤマムラとは別の仕事をしており、狩りの手伝いであっても逢瀬であっても二人きりで過ごす事が多かったから、ヤマムラが自分以外の誰かの前でも自分の話をしているなど、思ってもいなかったからだ。

「や、ヤマムラさん。そんなに私の事を……」
「飯か獣の話じゃなければ、貴公の話しか知らないんじゃないのか。あの男は……それだというのに俺のような無粋な輩が入って来る心配をするとは、貴公は脳天気な男だな」
「そ、そんなの。知りませんでしたから! ヤマムラさん、そんな事言ってませんでしたし……」
「確かに、同士ヤマムラはそういった事を大っぴらに話す男ではないだろうな。だが、俺の話に心当たりがないワケでもあるまい。さぁ、分ったら俺なんかと油を売ってる場合じゃないのではないか? 同士ヤマムラは今日、休暇を入れている。今頃貴公を探しているのではないかね?」
「あ……あっ、あの……」
「元より俺は同士ヤマムラに唾をつけるつもりは毛頭ない。そんな隙さえも貴公とヤマムラの間には無いのだろう? ……行き給えよ。そして存分に楽しむといい。後で胸焼けするほどの惚気を聞かされる覚悟はできているからな」

 アルフレートは狼狽しながらも、ヴァルトールへ頭を下げる。

「わ、わかりました。あの、す、すいません。ミスター・ヴァルトール。私は、とんでもない誤解を……」
「いいから行き給え。貴公を求めているのは俺ではないだろう?」
「は、はい! ……ありがとうございます」

 アルフレートは顔をあげると、大慌てでヤーナムの街へと戻っていく。その背中を眺めるとヴァルトールは。

「いや、我ながらお節介だな」

 ウイスキーを飲むと、そう独りごちるのだった。

 ヤーナムの街に向い、市内を走り、酒場を覗いた後、アルフレートがいつも祈りを捧げる碑の前で、ようやくヤマムラを見つけた。
 ヤマムラもアルフレートを探してあちこち歩き回っていたのだろう、アルフレートの顔を認めた瞬間、柔らかな笑顔になる。

「アル、どこに行ってたんだ。いつもの所にいないから随分と探したんだよ」

 ヴァルトールの言う通りだ。
 この人の視線も言葉も愛情も、全て自分に注がれているというのにどうして他人を嫉んだりしたのだろう。
 あるいはあまりにヤマムラが真っ直ぐに自分を見てくれているから、心配になってしまったのかもしれない。
 アルフレートは自己肯定感が実のところあまり高くはない。それ故に自分が深く愛されているという事実を容易に受け入れる事が出来ず、つい疑心暗鬼に陥ってしまうのだ。
 だがやはりそれはいらぬ心配であり、自分はまさにどこにも居ない鬼や蛇に怯えていただけのようだ。

「すいません、ヤマムラさん。私、貴方に悪い事をしました」
「えっ? そうなのか。俺は……何かされたような記憶はないんだが……何時の話だ、それは」
「えっと、それは上手く説明できないんで。あの、代りに……」

 アルフレートはそこで、耐えかねたようにヤマムラの身体へと飛びついて抱きついた。
 突然抱きつかれたヤマムラは一瞬よろけるが、すぐにアルフレートを抱き留めて、その顔を見据える。
 真っ直ぐなその目に嘘偽りは一切なく、ただアルフレートの姿だけを映し出す。

「あの、代わりに……今日は、いっぱい可愛がってくれませんか……? 私も、ヤマムラさんの事、一杯愛しますから……愛してます、ヤマムラさん」
「な、何か急だな……でも……」

 ヤマムラは少し驚き、戸惑っては見せたものの軟らかい笑顔を浮かべる。

「ありがとう、アルフレート。俺もキミの事を愛しているよ」

 アルフレートの頬に手が伸び、自然と唇が重なる。互いの肌を確かめながら、アルフレートの空回りはようやく留まる。
 暖かな身体に抱かれ、幸福に包まれながら。

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東吾
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インターネット駄文書き
自己紹介:
ネットの中に浮ぶ脳髄。
紳士をこじらせているので若干のショタコンです。
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