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インターネット字書きマンの落書き帳

   
存在しない処刑隊の記憶(ヤマとアル)
CPというより、アルフレートくんが一方的に『処刑隊ってこんなに素晴らしいものなんですよ』と語る話ですんで、ヤマアルとかアルヤマじゃなく「ヤマムラとアルフレートくん」って感じの話ですよ。

アルフレートくんが主にしゃべり続けているんですが、お察しの通りだいぶ「イ」ってらっしゃっておりますが、仕方ないよねッ!

当管理人はアルフレートくんの事を基本的に「正気にて大業ならず」「処刑隊とはシグルイなり」のスタンスでお送りしています。


『彼の見た輝きは何だったのか』

 時々アルフレートは穏やかに微笑みながら語るのだった。

「ローゲリウス師はその時、温かな手で私の頭を撫でながら言ったんですよ」

 彼が穏やかに微笑んでいる時に語られるのは殆どが幼い頃に会った処刑隊の記憶についてだった。
 アルフレートがまだ物心つくかつかぬかといった童の頃の記憶だという。

 ローゲリウスは細みで長身の、髭を蓄えた壮年の男だったという。
 僅かにウェーブあるプラチナブロンドの長髪を伸ばしたままローブ姿で処刑隊を導く姿は雄々しいが、本人は狩りをする事はあまり無かったようだ。

「師は、血族の血で自分の手を汚すような戦い方をする人ではありませんでしたから」

 ハーブティを啜りながら、アルフレートは恍惚とした表情を向ける。
 アルフレートにとって師は最も清らかであり崇高な存在である。
 きっとそれは永遠に変わる事はないのだろう。

「師はビルゲンワースの秘術をいくつか会得していたようですが、戦うのは勇敢な処刑隊の隊士たちでした。ローゲリウス師の輿を担ぎ、灰色の装束と金のアルデオを身につけて行進する姿ときたら勇猛で、威厳があり……ヤーナムでは聖歌隊のように狩人として隊を率いる事もあるようですが、最も荘厳で最も美しかったのは処刑隊の行進でしたよ」

 目を輝かせやや喰い気味に語るその姿はヒーローに憧れる少年そのものだったろう。
 話を聞きながらヤマムラは自分が少年の頃、やはりこんな風に憧れた英雄がいたのを思い出していた。

「血族を狩り、血飛沫を浴びて戻って来た処刑隊を恐れて出迎えるヤーナムの市民は少なかったようです。でも、私は父母に頼んで彼らの帰りも見に行かせてもらいました。不浄なる血族を狩り、この街を清らかにする隊士たちの姿は確かに血濡れていましたが、それは獣狩りの狩人と比べよっぽど美しく見えたのです」

 今日のアルフレートはいつもより饒舌だった。
 ローゲリウスに対する尊敬も、処刑隊に対する憧憬も紛れもなく本物のだったろう。

 だが、だからこそ言えなかった。

 処刑隊は、アルフレートが産まれるよりずっと前からすでに存在していないという事も。
 ローゲリウスはすでにヤーナムでも記憶が薄れる程過去の人物だという事も。

「今はもう失われていますが、私もあのような輝きに包まれて……処刑隊の一人として、迎えられたいものです」

 半ば溶けたような表情を向け、アルフレートは語る。

『アルフレート、それは本当にキミの記憶なのか?』

 ヤマムラはそれを聞けないでいた。

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