インターネット字書きマンの落書き帳
付き合う前に渡したチョコについて言及される話。(手芝・みゆしば)
平和な世界線で付き合っている手塚と芝浦です。(挨拶)
バレンタインデーですね。
いや、俺がバレンタインだと思っている限り、バレンタインなんだよ……。
という自己暗示を続けているのでバレンタインのネタを書きます。
バレンタインにチョコレートを渡されて、ふと「そういえば去年の今頃、芝浦からチョコもらったよな……」という事を思いだしてしまう手塚の話ですよ。
昨日の続きじゃん……。
はいそうですね。昨日の話も読んでください。(投げっぱなしジャーマン顔で)
バレンタインデーですね。
いや、俺がバレンタインだと思っている限り、バレンタインなんだよ……。
という自己暗示を続けているのでバレンタインのネタを書きます。
バレンタインにチョコレートを渡されて、ふと「そういえば去年の今頃、芝浦からチョコもらったよな……」という事を思いだしてしまう手塚の話ですよ。
昨日の続きじゃん……。
はいそうですね。昨日の話も読んでください。(投げっぱなしジャーマン顔で)
『一年後は恋人同士で』
「はい、これチョコレート。手塚あんまり甘いの好きじゃないのは知ってるけど、一応季節のものだからね」
芝浦はそう言いながら、綺麗にラッピングされたチョコレートを手塚へと差し出した。
バレンタインのためにわざわざ買っておいてくれたのだろう。
開けてみればビターチョコやナッツをふんだんに入れたチョコなど、手塚好みのチョイスがなされたチョコレートが並んでいた。
「悪いな、俺も準備してあるが……高級なものじゃないが……」
手塚もそう言いながらチョコレートを手渡した。
滅多に行かないデパ地下の人混みに押されながら選んだものだが、結局どのチョコレートがどんな味がするのなんてまったく分らなかったからネコをあしらったパッケージのものを選んだ。
気まぐれでどこか人を翻弄しようとする芝浦の態度はどこかネコを思わず所があったからだ。
「えっ? 手塚もチョコ準備しておいてくれたんだ。意外……ってか、これデパ地下とかの奴だよね? 人混みすごい所よく行ったねー。俺、手塚はそういう事しない人だと思ってた」
「お前はこういったイベントが好きだろう? それが分っているのに準備してないのは流石に悪いと思ってな……とはいえ俺はチョコの善し悪しは分らないんだが」
「いいのいいの! こういうの気持ちってやつじゃん? それに、俺この店のチョコけっこう好きなんだよねー……この店老舗のパティスリーで、このチョコ結構有名だよ」
芝浦は嬉しそうにそう言いながら、大切そうに箱に触れる。
やはりチョコレートに限らず、高級品に関しては芝浦の方が知識が上だろう。
「しかし、バレンタインであんなに人がいるとは思わなかった……ショーケースに並ぶ品も派手な色合いで落ち着かないし、客層も殆どが女性だったからどうにも居づらくて仕方なかったな……」
「あ、じゃぁ来年は二人で行く? 二人で行けばお互いに欲しいもの選べるから外れはないでしょ? ま、驚きはなくなっちゃうけど、俺ってプレゼントにあんまりサプライズはいらない主義だからどうせならお互い好きなチョコとかにしたいもんねー」
「そうだな……それも悪くないかもしれないな……」
来年も、きっと二人でいるのだから。
そう思いなら、手塚はふと去年の事を思いだしていた。
「……そういえば、芝浦。確か去年の今頃、お前は俺にチョコレートをくれたよな」
それはまだ二人が付き合う前の話だ。
手塚はその頃から今店を出している公園で占いをしており、芝浦は良く占いをしに来る常連客の一人だった。
人懐っこく色々と話してくるし、何度も来る割りに占いには興味なさそうな男だとは思っていたが、あの頃はまさか恋人になるとは思っていなかった。
最も、まったく興味のない相手ではなかったからこうなるのも必然だったのかもしれないが。
「えっ!? そんな事覚えてんの!? マジで?」
「当たり前だろ、去年の事だ。それに、男からチョコレートをもらう事はあれが初めてだったからな……」
手塚はそう言いながら、もらったばかりのチョコレートに手を伸ばす。
そして薄いビターチョコを咥えると。
「……ところで、あの時くれたチョコレートは義理だったのか? それとも本気だったのか?」
そう聞いて見る。
それは普段から手塚を振り回す芝浦に対してのちょっとした悪戯心のつもりだったが、芝浦は少し俯いて一瞬困ったような表情を見せると、すぐに不適に笑って見せた。
「さ、どうだったかな? どうだったと思う?」
そして手塚のくわえていたチョコを齧る。
唇が微かに触れた気がした。
「……ま、教えてあげるつもり無いけどね」
端を齧ったチョコの味を確かめるよう唇を舐める芝浦を見て、手塚も無意識に自分の唇を舐る。
今となればどっちだっていいし、どうだっていい。
ただ、隣にこの笑顔がある事だけが嬉しかった。
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