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インターネット字書きマンの落書き帳

   
射貫くような言葉は照れくさいものな。(ヤマアル)
付き合ってまだ日が浅いヤマムラさんとアルフレート君概念です。
(説明を一行で済まそうとするタイプの俺)

今回はちょっとサックリとした感じなんですが。
こう、愛する事をストレートに表現するまだ若くて初々しいアルフレートくんと、結構年かさなんで簡単に愛を囁く事が出来なくなってるヤマムラさんの話ですよ。

先週は闇フレートくんを書いたので今週はもそっと軽い感じでいきたいね。




「言葉がなくとも心があれば」

 ヤマムラが帰って来たのを見ると、アルフレートはすぐに彼の元へ走り寄って抱きしめる。

「お帰りなさいヤマムラさん! 私の愛しい人」

 そして躊躇いもなく告げるアルフレートを前に、ヤマムラはすぐに耳まで赤くしてみせた。

「あ、あぁ、ありがとうアルフレート。嬉しいよ」

 顔を赤らめたままヤマムラは照れくさそうにアルフレートから離れる。
 ヤマムラと付き合い初めてまだ日は浅いが、キスもしてればお互いの身体も知っている仲だ。
 今更恥じらう所はないと思うのだが、抱きしめて愛の言葉を交すといった風習にはどうしても慣れないようだった。

「嬉しいのは分りましたから、私にも言ってくれませんか? 愛してますって。私だってそう言われた方が嬉しいですから」

 頬を膨らませながらアルフレートが言えば、ヤマムラはさらに困惑したような顔をする。
 そして狩装束を脱ぎながら。

「そうは言うけどね。俺くらいの歳になると、キミのように真っ直ぐ言葉を紡ぐのがどうにも上手くいかなくなるものなんだよ」

 そう告げ、装束をコート掛けに引っかけた。

「何というんだろうね……俺が言葉にするとどうも薄っぺらい気がするというか、俺の内にある思いを伝えるのに適切な言葉を、俺はまだ知らないというか……うん、キミみたいに真っ直ぐに情熱的に思いを伝えるのが、この年になるとえらく気恥ずかしいんだ」
「ヤマムラさんの言葉が、薄っぺらいなんて思いませんよ」

 アルフレートは頬を膨らませたまま椅子に腰掛ける。
 その様子を見ながら、ヤマムラは穏やかに笑っていた。

「キミがそう思ってくれるのは嬉しいけどね。愛しているとか、キミに恋をしているとか、キミに夢中だという言葉では、キミを形容する事が俺には出来ないんだ。うぅん、何といえばいいのか……うん、素直にそして真っ直ぐにそう言えない。大人になると、ひねくれてしまうんだろうな」
「だったら、もっと子供に戻ればいいじゃないですか」
「それができないから大人は面倒臭いんだよ」

 だけど、と唇だけ動かすとヤマムラは腰掛けるアルフレートを後ろから抱きしめる。

「や、ヤマムラさん?」

 不意に抱きしめられ困惑するアルフレートを前に、ヤマムラはその髪を優しく撫でた。

「あぁ、だけど……今、キミのこの髪が。この身体の温もりが、全て俺のためにあると思うのは嬉しいし、幸福だ……愛の言葉を囁くのはどうにも照れくさいから、今はこんな言葉だけで勘弁してくれないか?」

 そしてその髪に優しく口づけをする。
 触れる肌が、耳をくすぐる言葉が、髪に触れる唇が。全て暖かくて愛おしく、それは辞書にあるどんな愛の言葉より尊く思えたから。

「……許してあげます。愛の言葉じゃなくてもあなたは、私のほしい言葉をくれる」

 アルフレートはヤマムラの頬に触れ、自然と唇を重ねる。
 愛の言葉を紡ぐのが不器用でも、愛を示してくれるのならそれはきっと幸福な事だろう。
 二人はそれを静かに噛みしめていた。

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