インターネット字書きマンの落書き帳
手を握ってても恥ずかしくなっちゃうアルフレくん(ヤマアル)
ヤマアルの話をしようじゃないか……。(挨拶)
説明をさせてください!
ここ数年、ずっとヤマアルを産出しつづけた結果、何となくヤマアルを書かないとケツの座りが悪い体質になってしまったんです!
だから書き続けますがご容赦ください。
最も、許されなくても……書きますけどね!
神に許しなど乞うものか。
今回のおはなしは、普段よりも凜々しい狩人としてのヤマムラさんを見てドキドキしてしまうアルフレートくんの話です。
キスされるのが恥ずかしいヤマムラさんも書きたいので書きました。
書きたいから書く。
それが楽しさの秘訣ゥ……。
説明をさせてください!
ここ数年、ずっとヤマアルを産出しつづけた結果、何となくヤマアルを書かないとケツの座りが悪い体質になってしまったんです!
だから書き続けますがご容赦ください。
最も、許されなくても……書きますけどね!
神に許しなど乞うものか。
今回のおはなしは、普段よりも凜々しい狩人としてのヤマムラさんを見てドキドキしてしまうアルフレートくんの話です。
キスされるのが恥ずかしいヤマムラさんも書きたいので書きました。
書きたいから書く。
それが楽しさの秘訣ゥ……。
『握った手が温かくて』
アルフレート、こっちだ。
そう言いながらヤマムラはアルフレートの手を握ると月明かりだけを頼りに獣道を駆けだした。
禁域の森はヤーナムの地下にあるビルゲンワースの領域であり、空にはいつでも銀色の月が輝いている。かりそめの月があるとはいえ広大な地下空間にあるそこは灯りを消せば乏しい月光しか頼れる光はなく深い森も相まって慣れた者で無ければそこに道があることにさえ気づかなかっただろう。そんな細い道を明かりを灯すこともないままヤマムラは迷わず進んでいった。
「暗いが耐えてくれ、ここで灯りはまずいんだ。蛇は熱に敏感だから、あいつらを呼び寄せてしまう……普通の蛇なら人間を避けていくんだが、あいつらは血の味を覚えているからな。それに禁域に隠れ住んでる罹患者はやけに目がいい……このまま距離をとってやり過ごすぞ。いくらキミが優れた狩人でも、この場所であいつらを相手にすれば怪我だけじゃ済まないかもしれないからね」
眼前にある草を払いのけながら、ヤマムラは普段より早口でしゃべる。そうしてる最中もヤマムラの手はしっかりと握られていた。
そんな彼の背中を見て、アルフレートは自分の鼓動がどうせいようもないくらい高まっている事に気づく。そして何とも言えぬ気恥ずかしさを覚え俯くのだった。
アルフレートが普段訪れない禁域の森へと赴いたのはヤマムラの手伝いをするためだった。とはいえヤマムラが手伝いを頼んできた訳ではない。狩りの腕を鈍らせたくないと思い、ヤマムラに頼んで虫狩りに付き合わせてもらったのだ。
普段あまり足を運ばない場所であるとはいえ、全く知らない場所ではない。それにアルフレートはもともと獣狩りもしていた。ヤマムラの足を引っ張るような腕ではないと自負していたし実際狩りは上手くいっていただろう。
だが今回は少し油断した。先にいる蛇に気をとられ罠に足をひっかけてしまったのだ。
すぐさまけたたましい鳴子が響いた。禁域の森に住む罹患者たちが近づいた狩人を恐れて仕掛けた罠だろう。彼らは医療協会の者たちから逃れるために隠れ住んでいるのだが、治療法のない病は進行するばかりであり、なおかつ病が進行すれば進行するほど以前より強靱になりより凶暴になっていく。鳴子を響かせるような罠をつくる知性はかろうじて残っているが蛮行を制御するほどの理性は残っておらず、見つけ次第襲いかかってくるだろう。自分たちが狩られるかもしれないといった恐怖心ばかりが尖っていた罹患者は一人一人なら驚異ではないが集団で行動する事が多く、火炎瓶のような危険なものも平気で放り込んでくる。もし囲まれたら命が危ないということはアルフレートも当然理解していた。
鳴子が響いた時、アルフレートは一瞬躊躇した。この場に残って隠れ潜み各個撃破していくか、それともこの場から遠ざかるか。どちらが被害が少なくこの場を凌げるかを考えていたからだ。だがヤマムラは迷わずアルフレートの手を握ると半ば無理矢理引き寄せて走り出す。
「逃げるぞ、アルフレート。あいつらに気づかれたら後々面倒だ。灯りを消せ。ここはいつでも月夜だから、月明かりだけで何とか移動できるはずだ」
「で、でもヤマムラさん……」
「心配するな、このあたりの道なら抜け道を含めておおよそ把握してる……さぁ、行くぞアルフレート。こっちだ」
そうして手を握ると、迷う事なく夜道を駆けだすその背はいつもより大きく思えた。
(どうしてでしょう、私は……ただ、手を握って走ってるだけだというのに……)
最初は追っ手が迫っているかもしれないという危機感から鼓動が高まっているのだろうと思った。だがアルフレートにとって罹患者など他愛もない存在だ。殺し慣れた的だ。
罠に驚いて躊躇はしたが冷静さを取り戻した今ならたいした相手ではないというのはわかっている。もし追いつかれてもこちらは狩人が二人もいるのだからよほど多勢じゃない限りさして苦もなく倒せるはずだ。
それを理解してもなお心臓の高鳴りがおさまらないのは、握った手が温かいからだ。
ヤマムラの手を握り返し彼の背中を見つめながら獣道を走り、アルフレートは何となく宿での会話を思い出していた。
あの日、ヤマムラが部屋で一人なのを確認するとアルフレートは真っ先に飛びつき抱きついた。 驚きつつもよろけそうになりながらアルフレートの体を受け止めるヤマムラの体にすがりつくとアルフレートはキスを雨のように降らす。
愛しいヤマムラにどれだけキスをしても足りないと思っていたが、ヤマムラは真っ赤になるとアルフレートの体を押しのけた。
「ま、まってくれアルフレート! そんなたくさんのキスをされたら溺れてしまうだろっ。キミは、もうすこし。その……恥じらいがあったほうがいい」
ヤマムラはいつもそう言いながらキスした後を袖口で拭う。
「何で拭くんですか、もー。私のキス、汚いですか?」
「そ、そうじゃないが……」
「それに、私からしないとヤマムラさんはいつもキスしてくれないじゃないですか」
アルフレートは頬を膨らませながら訴える。実際にアルフレートの言う通りヤマムラはキスをするのも抱きしめるような事も愛をささやくことさえもあまり積極的にするタイプではなかった。それがヤマムラの性格からなのか彼の育った土地の文化なのかはわからなかったが。
「そういわれても、慣れないんだこういうのは……恥ずかしい」
ヤマムラはしょんぼりと肩を丸めながら小声でいう。自分よりずっと年上の男が色恋沙汰の話になるとまるで乙女のように初々しい表情を見せるのがアルフレートにはたまらなく愛しく思えたから本心ではそこまで怒っていないのだが、あまりに可愛いヤマムラの姿を見ていると無性にいじめたい気持ちが募ってきてしまうのもまた事実だった。
「そんなに恥ずかしがる必要ないでしょう? キスなんて何度もしてるじゃないですか。それどころか、もっとえっちな事もするくせに」
だからわざと意地悪く、挑発的に告げる。するとヤマムラはますます赤くなりすっかり俯いてしまった。やはり愛しいが、あまりいじめて怒らせてしまうのは本意ではない。
「なんて、冗談ですよ。ふふ……ヤマムラさんのそういう可愛いところ、私は好きですから」
アルフレートが笑うと、ヤマムラはようやく顔を上げた。
「可愛いだなんて、おじさんの事をそんな風に言うのはキミくらいなものだよ」
「でも、かわいいです。ヤマムラさん……好きですよ」
そうして、二人は唇を重ねる。ヤマムラはそれを避けようともしなかったしキスの後も袖で拭う事もなかったがずっと恥ずかしそうな顔をしていたのは今でもはっきりと覚えている。
あの時は本当にヤマムラのことを可愛いと思ったし、キス一つで真っ赤になるなんて随分とはにかみ屋だとも思ったものだ。
だが今の自分はどうだろう。
いつもより強く手を握られている、それだけで心臓が飛び出そうなほど高鳴っているではないか。 普段と違うヤマムラの凜々しい横顔と大きく見える背中を前に恥ずかしい程戸惑っているし、そんな彼が頼もしいとも思っている。これではまるで恋する乙女そのものじゃないか。
「……これじゃあ、キスで照れているヤマムラさんのこともう馬鹿にできないですね」
一人つぶやくアルフレートの方をヤマムラは振り返る。
「どうした、何か言ったか?」
「いえ、何も……あ、あの。ヤマムラさん、無理はしないでください……夜の森は危険ですから……」
「心配するな。あと少しで安全な場所につく……蛇もいないし出入り口が近いから罹患者はよってこない。そこまでもう少し頑張れるな?」
ヤマムラの問いかけに頷くと、アルフレートは俯いた。心臓の高鳴りをおさえるためと、すっかり赤くなった顔をごまかすために。
それでも暖かく愛しい手を離さないよう握りしめて。
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