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インターネット字書きマンの落書き帳

   
栄光はキミの中にあり、俺の中にはない。(ヤマアル)
アルフレートくんの死体をヤマムラさんが見つける話です。
正直このシチュエーション何回も書いてるんですけど、アルフレートくんが輝きを抱いて死んでいるという事実が尊いがすぎるので何度でも書きたいんですよね。

だから何度でも書いてしまいます。
そう、私もまた輝きに導かれてしまったのかもしれません……。


『輝きに死ぬか、影を引きずり生きるか』

 ヤマムラがその場所に訪れた時、すでに彼の身体は冷たくなっていた。
 凍てつく寒さの中で、永久に続く闇に包まれた彼は輝きを示す碑の前で息絶えていたのだ。

 何で。どうして。
 まだ若く未来を望めたはずの彼は死ななければならなかったんだろうか。

 人は言う。
 彼は亡霊だったと。

 すでに記憶から忘れ去れさられた処刑隊の装束を身に纏い、ヤーナムには殆ど存在しなくなった血族を追いかけて。
 とうの昔にいなくなったローゲリウスの甘ったるく薄っぺらい言葉がまるで生きる全てだったかのように這いつくばるよう血族を求め、雲を掴むようなカインハーストへの行き方を求めて。

 殆どの人間が獣に怯えるか狩りに狂うかし心を壊すヤーナムにいるのにも関わらず決して惑わず、そして酔わず。
 誰に対してもいたって普通に優しい笑顔で話かける彼は普通だからこそ歪み、狂っていた。

 狂っているとか普通とか、誰がそれを決めてるんでしょうか。
 私からするとこの街の人間は誰しも狂っていますよ。
 ですが同じ狂人であるのなら、成すべき事を成すために狂うのと何もせず狂うのとでしたら、私は成し遂げるために狂います。
 成し遂げるためなら、狂ってでも見せますよ。

 まだ温もりがあった頃の彼が穏やかにそんな事を語っていたのを覚えている。

 ただ真っ直ぐに輝きを求めていた。
 彼はすでに正気の沙汰ではない執着を抱き、異常なほど潔癖に血族を嫌い、ただローゲリウスという人間の言葉だけが清らかなものだと信じそれを全てとして生きていた。

 自分に生きるための言葉を与えてくれた顔も知らぬ「師」の名誉を回復させるために。

 だからそう、最初から分っていたはずだ。
 志を遂げた彼が輝きを求め至る境地というものを。

 分っていたが、ヤマムラは彼に寄り添う事を決めた。
 彼がまだ年若く、世界の限界を知り命を諦めてしまうにはまだあまりにも世間知らずなのも知っていた。
 もしこのヤーナムから出て世界を見渡せばあるいは新しい生き方も出来たかもしれない可能性があったのも分っていた。

 だがそれでもヤマムラは、処刑隊の輝きを取り戻すために生きる彼のそのままの姿を愛した。
 彼と語るのはいつも他愛もない話であり、彼に求められれば唇も肌も重ねる。

 カインハーストに向う事も、夢や幻を追いかけてるとヤマムラは思わなかった。
 あるいは彼なら見つけて、そして向う事が出来るだろうとどこか信じていたのだ。

 そして彼は見つけ、そこで輝きを取り戻し、輝きに導かれ、今は冷たくなっている。
 その身体を抱きしめた時、ヤマムラは笑っていた。

「あぁ、そうだ。それでいい。本当は俺もそうなるべきだった」

 顔いっぱいの笑顔を浮かべ、半ば狂気に満ちた笑い声を漏らすヤマムラを見たものはきっと彼が狂ったか血に酔ったかに見えただろう。

 輝きに導かれ、彼は死んだ。
 その冷たい身体は他人から見ればただの肉塊にすぎなかっただろう。
 だがその姿はヤマムラにとっても紛れもなく「輝き」だったのだ。

 己の成すべき事を成し遂げて、そしてその命を終える。
 魂に輝きを抱いたまま、その命を最も美しいままで閉ざしてしまう姿はあるいはヤマムラ自身が求めていた生き方そのものだったのかもしれない。

 仇敵を追い、その仇討ちを果たしても生き延びてしまったヤマムラにとって今の生は怠惰か、あるいは悔恨か。生き延びてしまった事そのものが後悔だったのか。
 それは誰も分らない。

 ただヤマムラはすでに冷たくなった骸を抱いたまま笑い続けていた。
 彼は確かに輝きだった。その輝きの欠片を求めるように。

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