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インターネット字書きマンの落書き帳

   
相手が実は初めてじゃなかった話(アルヤマ)
昨日は初心なアルフレート君を書いたので、今回はそれなりに経験のあるアルフレートくんです。
いや、経験のあるというか……こう、アレですね。

ヤマムラさんはきっと自分が初めての相手に違いない!(男とするのは)
そう思って抱いてみたら、実は自分が初めてではなかった事実を知り想像以上にショックを受けてしまうアルフレートくんの話です。

ユニコーンアルフレートくんかな!?

そんな、相手が初めてじゃなくてくっそ凹んでしまうアルフレくんとそれを見て狼狽えるヤマムラさんです。

何だこれ……と思っても寛大に見てくれ。
俺が……書きたかったんだ……!




『知らない相手に嫉妬して』

 アルフレートは椅子に深々と腰掛けると、大きなため息をつく。
 その様子を、ヤマムラはただ心配そうに眺めていた。

「すまん、アルフレート。その……君がそういう事を気にするとは思っていなくて……」
「いえ、ヤマムラさんのせいじゃないです……私が狭量だったというか……ただ、勝手に思い込んでいて理想を抱いていただけですから」

 口ではそう語るが落胆しているのはどうしようもない事実であり、その程度の事で落胆している自分がよりアルフレートの事を惨めにした。
 アルフレートがこんなにも落ち込んでいるのは他でもない。

「……本当に悪かったと思っているよ。まさか、その……俺が男とも初めて寝るワケではない事を君がそんなに気にするなんて……」

 ヤマムラの言葉通り、今夜初めて抱いたヤマムラの身体がすでに男を知っていたという事実があまりに想定外であり、またそれを知ったアルフレート自身がひどく衝撃を受けているという事実に感情がついていかず、ただただ落ち込んでいたのだ。

「い、いえ。ヤマムラさんは私より年かさですしッ……魅力的な方ですから、経験があっても不思議ではないんですよ、ね……」

 だが、アルフレートの知るヤマムラは純朴な男だった。
 色恋沙汰には何となく無縁そうであり、そういった話題になると顔を赤らめながら話を反らそうとする姿はいかにも初心に思えたため、セックスなんて穢れた事を軽率に誰かとするようには思えなかった。
 ましてや他の男の下で喘ぎ淫らな姿を見せていたなんて、想像も出来なかったのだ。
 一体誰が、どのようにヤマムラの身体を貪り、戯れつくしたのだろうと考えるだけで狂いそうになる。

「ごめん……つい、俺も口が滑って……」

 ベッドの中でお互い激しく抱き合って溶け合ううち、自然と交していた言葉の流れでふっとその話題になった。色恋沙汰や夜の話となると非道く初心な反応をしていたヤマムラが、やけに慣れた様子で準備を終えていたのが気になってしまったのだ。
 ヤマムラも、アルフレートがこんなにも気にすると思っていなかったんだろう。嘘をつく必用もないと思い事実を口にした結果、アルフレートが思いの外気にしてしまった……。

 他愛も無い痴話げんかといえばそうだ。
 ヤマムラにとって過去の話であるし、仕方ない事だとも思う。
 アルフレートだって男を抱くのも初めてではないのだからそこはお互い様だ。

 全て頭では理解しているのだが、感情の整理が追いつかないでいた。

「本当にすいません、分っているんです。分っているんですが……ッ」

 情けないやら恥ずかしいやら、色々な感情が交じって上手くは言えないがただ割り切れない気持ちばかりを引きずる。
 ヤマムラの事を嫌いになる事はない。むしろ好きであるからこそ、嫉妬心が燻っていた。

「何といったらいいのか……俺も、よくわからない。だけど、アルフレート……これだけは聞いてくれ……いや、こんな事を伝えても気休めになるかはわからないけど……」

 ヤマムラはベッドから身体を起こすと、アルフレートの方を向く。
 今し方まで散々とアルフレートの身体を受け入れていたのだから立って傍に歩める程には回復していないのだろうが、まるで傍に寄り添っているように優しい声だった。

「……俺は、君としたこの一夜が一番の夜だった。それだけは……覚えておいてくれると嬉しいかな」

 恥ずかしそうに告げるヤマムラは真っ直ぐにアルフレートの姿だけを見つめている。
 嘘が苦手な人だから、全て本心からだろう。
 まだ感情の整理は追いついていなかったし、この嫉妬深い性格も簡単に治る者ではないだろう。だけどそれでも……。

「ありがとございます。私も、貴方が今までで一番愛しい人ですよ」

 それでも、今はヤマムラの思いが嬉しかったから気持ちの整理がついたらもっと強く彼を抱こうと心に決める。
 過去の誰かの事などもう、思い出せない身体にするために。

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