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インターネット字書きマンの落書き帳

   
仲直りをするための喧嘩というもの(みゆしば)
平和な世界線で普通に恋人として付き合っている手塚と芝浦の概念です。(挨拶と幻覚の説明)

普段からわりとイチャイチャしている二人を書いているんですがね。
今回は、喧嘩をして仲直りをするまでの話です。
ま、喧嘩をしてもすぐイチャイチャするための喧嘩なのですけどね。

あーイチャイチャ。糖度糖度!
糖度をどんどん上げてこうなっ!

自然な流れで恋人が可愛い二人の話ですよ。
糖度糖度!
糖度だいすき!




『緊張と緩和』

 いくら仲がよくとも、時には些細な事で喧嘩になる事もある。
 その日、芝浦が手塚に対して口をきかなくなったのもまた些細な喧嘩の延長であり切っ掛けが何だったのかは些細な事すぎて忘れてしまっていた。
 だが芝浦は一度へそを曲げたら自分から折れる事は滅多にない。内心では手塚に嫌われるのを恐れているくせに、自分で謝ろうとすると逆に悪態をついてしまうという肝心な時に素直になれない気質であるのは手塚も心得ていた。

 喧嘩をしているというのに手塚の部屋に居座って、特に何か喋る事もなくゲームをしているのも手塚の様子が気になっての事だろう。
 大学が終ってから部屋に入り浸りの様子からすると、今日は泊まっていくのかもしれない。

(まったく、謝りたいと思っているなら素直に頭を下げればいいというのにな……)

 そうは思うが、芝浦は愛の言葉はわりとストレートに伝えるくせに、自分の非を認めたがらないという変なプライドを持っている。張らなくても良い意地を張り上手く謝れないのは自身も気にしているようで、だからこそ喧嘩をした相手の家にわざわざ様子伺いに来たりするのだろう。

(しかし、今回は喧嘩の発端が何だったかも思い出せない程の事だしな……それに、好きだの愛してるだのといった言葉を語るのは俺の方が不得手だから普段はあいつに言わせてばかりだし。こういう時は折れてやるか……)

 もう辞めにしないか。その一言できっとまたいつも通りの関係に戻るだろう。
 しかし長らく無言が続いた空気では、その一言を切り出すタイミングも難しい。

(少し空気を変えてからにするか……)

 手塚は芝浦が泊まる時に着る寝間着とタオルを出すとそれをソファーの上に置いてポンと叩いて見せた。

「芝浦、泊まっていくんだろう? だったらそろそろ風呂に入れ。明日は一限が早い日じゃなかったか?」

 芝浦が手塚の家に居座るようになってから随分と経つ。あまり他人に興味をもつ事が少ないはずの手塚も、今はすっかり彼のスケジュールを覚えてしまっていた。
 差し出された着替えを受け取ると芝浦は生返事をしながら浴室へ入っていく。
 生返事ながらも受け答えをするようになってきた、という事はそろそろ芝浦も沈黙に耐えかねたのだろう。そうじゃなくとも、芝浦はお喋りの甘えたがりなのだから沈黙は手塚より芝浦の方がよっぽど堪えているはずだ。

(風呂から出たら何か声をかけてやれればいいんだが……さて、何と言えばいいものか。俺もそこまで気が回る方でもないからな……)

 ソファーに腰掛けると手塚は口元に手をあて思案する。
 別にたいそうな言葉をかける必用がないのは分っていても、沈黙を破るには何が適切なのかと考えてしまう。

(普段はもっと自然に言葉が出た気がするが、今日は変に考えてしまうな……)

 結局、何を言ったらいいのか考えがまとまらないうちに芝浦は浴室から出てくる。
 少し大きめの袖を気にしながら首にタオルをかける芝浦の髪はまだ濡れていた。

(何だ、相変わらずせっかちな奴だな。髪が濡れたまま出てくるなんて……それとも髪が濡れてるのに気付いてないのか?)

 手塚は芝浦の隣に立つと、濡れた髪をタオルで拭く。芝浦もまた手塚の手から逃げる様子は見せず暫く大人しく頭を拭かせていたが、ふと気付いたように顔を上げた。

「なっ、何で手塚が俺の髪拭いてんだよ? ……ずっと口きいてなかった癖に」
「ん? ……あぁ、そうだったな。濡れてたからつい、自然に……悪かったな。お前が可愛いから触りたいと思って、ガマンできなかった」
「何だよそれさぁ……」

 芝浦は口でそういうがまんざらでも無い様子で笑うと、小さく頭を下げて見せた。

「ま、俺も……手塚に触って欲しいなって思ってたから……手塚が傍に来てくれた時、なんか嬉しかったんだよね。だから、ま、いいかなって……なんかゴメン。意地張って黙り決め込んでたけど、やっぱ手塚といっぱい話したいし、手塚にいっぱい触ってほしい……」

 そして手を伸ばすと、手塚と指先を絡める。
 珍しく芝浦の方から謝ってきたのも意外だがそれ以上に恋人の恥ずかしげな表情は愛しく、可愛らしいと思う気持ちが大きかったから。

「あぁ、もう下らない意地の張り合いはやめにしよう。俺もずっとお前に触れたかった。お前と話したかった……可愛いお前を放っておくのがどれだけ辛かったか分るか?」
「なぁっ……手塚、そういう事言うタイプだっけ……?」
「いいだろう、たまにはお前に好きだと言いたい……今日は、そんな気分なんだ」

 いつもより素直に、愛の言葉を紡ぐ。
 そして愛しい恋人に静かに唇を重ねるのだ。

 仲直りの気持ちと、触れたかった気持ちを伝えるために。

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インターネット駄文書き
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