インターネット字書きマンの落書き帳
綺麗なお兄さんが妖艶すぎた話(ヤマアル)
ヤーナムの狩人は過酷である。
獣狩りをすればその血に酔い、自身も獣になってしまうからだ……。
なんてモノローグをイメージしつつ、獣狩りにより血に飢えた狩人状態になってしまい、そのまま近くにいた「金髪で美貌の青年」に何やかんやしてしまうヤマムラ=サンの話です。
えっちな話してますか!
エッチな話してます!
獣狩りをすればその血に酔い、自身も獣になってしまうからだ……。
なんてモノローグをイメージしつつ、獣狩りにより血に飢えた狩人状態になってしまい、そのまま近くにいた「金髪で美貌の青年」に何やかんやしてしまうヤマムラ=サンの話です。
えっちな話してますか!
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「名を知るものと知らぬもの」
ヤーナムの狩人は獣狩りの時、なるべくこまめに休憩をとるように良く言われる。
これは獣狩りに集中しすぎると存外に摩耗しているというのもあるが、立て続けに獣を狩ると血に酔って理性を失い人間らしい感情……常識、道徳、倫理といったものの制御が出来なくなってしまうという事も大きかっただろう。
「獣……獣め、何処に行った。今、手負いであるはず……何処へ、何処へ……」
ヤマムラは呼吸を整える暇も惜しそうに周囲の様子を伺う。
血走った目ばかりをぎょろぎょろさせ装束はすっかり獣に返り血で濡れたその姿はきっと他人から見たら借れこそが獣に見えただろう。
「何処に……」
返り血を拭うのも億劫そうに抜き身の千景を構えれば、蝶番の錆びたドアが開く音が聞こえた。
ヤーナムの獣は獣とはいえ元々は人だ。知性を残している例はあまり聞かないが家屋に隠れ潜むという事はままある。
「そっちか!?」
音の方を振り返れば、風に吹かれたのかドアが開く小屋が見える。
廃屋ではなく定期的に誰かが出入りしているようで、ヤーナムから離れた場所にあるにしては綺麗な建物に見えた。
とはいえ木造の掘っ立て小屋である事にはかわりない。
ヤマムラは千景より血を滴らせながら注意深く小屋へと近づいた。
吐息がする。獣のとは違うようだが何かいるのは確かだ。
狩人か。こんな場所にいるのか。あるいは獣の罹患者が隠れ住んでいるのだろうか。
蝶番を軋ませながら開いたままのドアに迎えば、小屋の中からまだ年若い青年が現れた。
「また、風に吹かれて開いて……あ、あぁ、狩人さん。居らっしゃってたんですね。この小屋は休憩所で、私も少し休ませてもらっています……ただ蝶番が錆びていてすぐドアが開いてしまうんですよね……」
青年は人の良さそうな笑顔を向ける。
「ひどい血ですね……怪我はして無いですか? 輸血液が無いなら私がいくつか分けられますのでお渡ししましょう。さぁ、小屋にどうぞ。長く狩りを続けていると獣性に理性が飲まれてしまいますからね……」
青年が何をいっていたのか、どんどん理解が覚束なくなる。
血に飲まれ始めているのだ。理性では抑えられない激情が身体を突き抜ける。
殺すか、犯すか。
獣のような衝動は目の前に立つ青年をただ蹂躙するだけにある玩具のようにしか思わせず、殆ど無意識にその首へと噛みついていた。
「な、にをするんですか……止めて下さい!」
青年は逃げるように小屋に飛び込むが、壊れた扉を閉める事は出来ずヤマムラは構わず室内へ踏み込む。
乏しい灯りの中でも青年のもつ金色の髪とくすんだ翠の瞳はやけに妖しく輝く。
見知らぬ顔だった。いや、どこかで見ていたかもしれないが顔は覚えていない。
「やめ、やめてくださっ……」
男は抵抗するも勢いに任せたヤマムラに抗う事も出来ず、床へと組み伏せられる。
服を脱がせば白い肌の上に生々しい焼き印の痕が見える。
見た事のない紋様だが、それがヤマムラの刻む淀みのカレルと近しいものに見えた。
(カレルを刻んでいる……見た事のないカレルだが、こいつも狩人か。抵抗してこないのは気になるが獣狩りの昂ぶりくらい知っているだろう……)
露わになった肌に噛みつき、しみ出した血を舐り、その身体を貪り尽くす……。
血に汚れた姿のまま男の身体を趣くままに陵辱する。
男は存外なほどに抵抗しなかった。身体を見る限り手練れの狩人に思えたのでもっと強く抵抗をすると思っていたのだが、ヤマムラの鬼気迫る表情に気圧されしたのか、あるいはヤマムラが人間だったから手を出したらマズイと思ったのかもしれない。
何にせよ抵抗されないのならやりやすい。
「やめ、やめてください……いけません、こんな、ところで……」
時折男はそう懇願して見せた。ヤマムラの理性と良心に訴えているようだったが、血に酔った狩人の前にそんな願いなど何の意味もない事は男も知っているだろう。
むしろそのように弱々しく頼まれれば余計に昂ぶる。
ヤマムラをはじめとした狩人たちの奥に秘められた激情は敵を倒した達成感であり、打ち勝ったという支配感が多くを占める。
それは性交においても同様で相手を半ば強引に床に伏せ一方的に貫くような労りも思いやりもない立場を理解(わか)らせるための行為がより一層狩人を、ヤマムラを昂ぶらせた。
「や、めっ……ぁ……」
男の吐息は艶めかしく、拒めば拒むほどヤマムラは高まる。
白い肌が紅潮し、拒んでいるにも関わらず身体は吸い付いてくるように馴染むのもまたヤマムラを喜ばせた。
「止めさせたいのなら、もっと本気になってみろ……出来ないのか?」
ヤマムラの顔に歪な笑みが浮ぶ。
平時のヤマムラであれば他者にこんな言葉を決して吐く事はないのだが血を浴びその匂いに浮かされると口調も行為も蛮行に及びがちになった。
「そんな、ひどい事……あなたはこんなひどい真似をする人なんですか」
「どうとでも言え。どうせ行きずりの相手だ、すぐに忘れるだろう」
髪を掴み相手を床に押しつけたまま、思う存分快楽を貪る。
陶酔と恍惚の最中、男は力ない声で言った。
「や、めてください。やめて……やめてください、ヤマムラさん……」
ヤマムラの手が止まる。
知らない男だ。見た事はあるかもしれないが覚えのない顔だ。少なくとも会話を交した事もない。
だが男は自分の「名前」を知っていた。何故、どうして。その疑問がヤマムラの理性を現実へと引き戻す。
「……お前、誰だ? どうして俺の名前を知っている?」
そう指摘され、それまでしおらしく抱かれていた男は悪戯のバレた子供のように笑うと、ヤマムラと身体を重ねたまま妖艶に目を細めた。
「さぁ、何ででしょうね。ふふ、興がそれてしまいましたか? ……でも、いいじゃないですか。今は一時、この時間を楽しみましょう。血と昂揚に満ちた狩人の酔いに身を任せ、暴力と蛮行で獣のような交尾をする……そんな一夜をね」
身体を重ねたまま、名を知らぬ男はヤマムラと唇を重ねる。
どこかうすら寒い感情は消えぬまま、意識は再び快楽へと溺れて行くのだった。
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