インターネット字書きマンの落書き帳
迷子になった貴方と私。(ヤマアル)
人混みでヤマムラさんとはぐれてしまったアルフレートくんが一人でとにかくテンパってしまう話です。
人混みでアルフレートくんとはぐれたヤマムラさんは、冷静に探すか、見つからなかったら先に帰って待ってたりしそうだな……と思うんですが、アルフレートくんは「はわわわわわ……」ってなっちゃいそうだよね……。
はわわわ……なアルフレートくんは可愛いね……!
そう思って書きました。
はわわわ……なアルフレートくんをみんなで愛でていきましょうね。
人混みでアルフレートくんとはぐれたヤマムラさんは、冷静に探すか、見つからなかったら先に帰って待ってたりしそうだな……と思うんですが、アルフレートくんは「はわわわわわ……」ってなっちゃいそうだよね……。
はわわわ……なアルフレートくんは可愛いね……!
そう思って書きました。
はわわわ……なアルフレートくんをみんなで愛でていきましょうね。
「迷子になったキミと」
アルフレートが振り返った時、傍にいたはずのヤマムラの姿はもう見えなくなっていた。
「ヤマムラさん……?」
てっきり後を付いてきているものだと思い先に進んでいたが、知らない間にはぐれていたのだろうか。
人のごった返す市場の中だから人波に飲まれてはぐれてしまう事も容易に考えられた。
「ヤマムラさん? いないんですか……」
はぐれてしまいそうになる程離れてしまったのなら、声をかけてくれればいいのに。
あるいは露店に気を取られ視線を向けているうちにはぐれてしまったのだろうか。
ヤマムラは自分よりずっと年上の良い大人だし、ヤーナムに来てまだ間もないひよっこというワケでもない。
市場の道のりは知っているだろうし、ヤーナムの何処が危険でどこが安全なのか。どこなら異邦の狩人でも嫌がられずに商売してくれるのかなどは知り尽くしているだろうから別にアルフレートの案内がなくとも買い物くらいはできるのは分っていたのだが。
(どうしよう、私のせいだ……私がよく確認をしないで先に進んでいたから……)
つい、そう思ってしまう。
子供ではないのだから心配する必用なんてないとは分っていても。
(ヤマムラさんは良い人だから悪い狩人に騙されてついて行ってしまうかも……そうなったら、私のせいだ……今日、私が買い物に行こうと言い出したりしなければ……私がちゃんと手を繋いで歩いていればこんな事には……)
自責の念にばかりかられてしまう。
アルフレートは頑なな性格ゆえに予期せぬアクシデントに対して必要以上に混乱し、焦り、自分の至らなさに罪悪感を抱くような所があったのだ。
実際、アルフレートが買い物に誘わなくともヤマムラは一人でも買い出しに行っていただろうし、手を繋いで歩くのはヤマムラが恥ずかしがっただろうが今のアルフレートにそんな事を考える余裕などはない。
(どうしたら……? 大きい声で呼ぶ? そんな事をしたらかえって私とヤマムラさんがはぐれたのを周囲に教えてしまう結果になるのでは……誰かに聞きながら歩く? いや、それだって怪しまれる……こういう時、どうするのが正解なんでしょう……)
焦れば焦る程、視野が狭くなる。
はぐれてしまっても、ヤマムラは帰る宿が決まっているのだから見つからなければそこに迎って待っていればいいだけだ。
あるいは、アルフレートならいつも決まって帰る前に碑に向い祈るという日課があるのだから、そこにヤマムラがいるかもしれない。
そういった考えは一切抜け落ちていた。
(……どうして、どうして言ってくれないんですか……声をかけてくれれば、私だって立ち止まったのに。何か気になるものがあったのなら、止ってくれと言えば私だって止ったのに。あの人はいつだってそうなんです……私には何も言わないで、困らせてばかりで……)
焦燥は怒りに変わっていた。
もちろん、こんな事でヤマムラに対し怒りを抱くのはお門違いだというのは分っていたのだが、それでも何かに対して怒りを向けていなければ、冷静でいられなかったのだ。
この精神状態がすでに冷静さを欠いているとも言えるが。
(とにかく、何かしないと。でも、何をしたら……何から……)
口元に手をやり思案するアルフレートの肩を、不意に誰かが叩く。
振り返ればそこには笑顔を向けるヤマムラが立っていた。
「すまんすまん、ちょっと目を離したら思いがけない程キミが先に進んでいて、追いつくのに手間取ってしまったみたいだな。でも、キミが立ち止まってくれて助かった。キミは他の人より頭一つは背が高いから、立ち止まっていてくれれば何とか捕まえられるからね……」
それから、ヤマムラが何を喋っていたのかはよく覚えていない。
『どうして私から目を離したりしたんですか』
『気になるものがあったら一声かけてください』
『はぐれたと思ったら声をかけてください』
言いたい事は沢山あったはずなのに、それは全て言葉になる前に消えていき、ただ。
「ヤマムラさん……良かった。良かった……」
ただ安堵の気持ちだけに包まれる。
アルフレートはほとんど無意識にヤマムラを抱きしめていた。
「ど、どうした。アル……まったく、アルは心配症で甘えん坊だな……」
そんなアルフレートの頭をくしゃくしゃと撫でると、ヤマムラもまたアルフレートを抱きしめ返す。ヤマムラの体温を感じながら、アルフレートはようやく安心である幸福を噛みしめるのだった。
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