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インターネット字書きマンの落書き帳

   
迷子になったアイツと俺と。(手芝・みゆしば)
推しCPの受けが~迷子になるとすぐ悪漢に絡まれる~。(挨拶)

というワケで、ちょっとはぐれたらすぐに悪い虫に絡まれてしまう芝浦くん概念です。
平和な世界で付き合っている手塚×芝浦が普通の恋人同士として過ごす。
ただそれだけの平和なハナシですよ。

平和バンザイ!
この手のしばじゅんちゃん絡まれハナシ一杯錬成してるんだけど、ほんと、好きなんですわ。

ホントいうとこのまま攫われて乱暴されて欲しいんですわ。
いやもうホント。ダメですか。そうですね!




「他とは違う男」

 芝浦が顔を上げた時、先に進んでいたはずの手塚の姿はもうどこにもなかった。

「あれっ? ……俺がちょっと目を離してる間に先に行っちゃったのかな」

 不意にメールが届いたから、その返事をするため少しの間だけ足を留めたつもりだった。
 メールを書くのは慣れているからすぐに終ると思って下を向いたのだが、芝浦が思っているよりも長く視線を外していたようだ。
 何も言わずに立ち止まったから、手塚も気付かず先に進んでしまったのだろう。
 これだけ人の流れがあれば、後ろで芝浦が立ち止まっていても気付かないのは仕方ない。

(まぁいっか……目的地は一緒だし。今から追いかけても何とか間に合うでしょ)

 はぐれたとはいえ、芝浦はさして焦ってはいなかった。
 この周辺は良く遊び歩いている場所だし、今日は手塚と行く方向が同じだったからだ。

(ちょっとのつもりだったけど……よく考えたら、格ゲーでもレースゲーでも1分も止っていればボコボコにされるもんね……ちょっと声かけておいたほうが良かったかな)

 そんな事を思いながら、急ぐ事もなく芝浦は歩き出す。
 同じ場所を目指しているのなら必ず会えると思っていたし、途中で気付いた手塚が戻ってくるかもしれないとも思っていたからだ。
 だが芝浦は失念していた。

「ちょっとキミ、いいかなー?」

 突然肩を掴まれたかと思うと、人の少ない路地へと少し強引に引きずられる。
 痛いと思うのと、何ごとかと思うのとで困惑しているうちに、たちまち数人の男たちに囲まれていた。
 見知らぬ顔だ。だがいかにも遊び慣れた風の軽薄そうな連中である。

「何するんだよ、まったく……俺、ちょっと急いでるんですけど」

 捕まれた手をふりほどこうとするが、男は強い力で握ったまま離そうとしない。
 仮に離してもらえても、後ろに控えた男二人までふりほどいていくのは難儀だろう。

「いいだろ、どうせ一人なんでしょ? 可愛いね、高校生?」
「ちょ……ナンパ? マジで? ……顔と身体で分るでしょ……俺、男だからさ。そういうの……」
「分ってて声かけてンだって。同族は見て分るっての……ボク、嫌いじゃないでしょこういうのさ」

 背後に回った男が、芝浦の肩を掴み笑う。
 芝浦も決して背が低い方ではなかったが、周囲の男たちは皆彼より体格がよく見えた。

(あー、しくじった。俺って昔からこうなんだよなァ……)

 そう、芝浦は自分がこういったアクシデントに巻き込まれやすい性質である事をすっかりと失念していたのだ。
 トラブルメーカー……とは少し違うのだろうが、芝浦は昔から一人でいるとよからぬ輩に囲まれたり、連れ去られたりしそうになる事が多かった。
 だからこそ学生時代は送迎の車は欠かせなかったし、使用人の送り迎えがほぼ必須の生活をしていたのだ。
 成人してからはぐっとそれが減ってはいるのだが……。

(油断してたな……そういえばこの通り、そういう奴のナンパも多いんだっけ。というか、こいつ等に簡単に股開きそうって思われんの心外なんですけど? 俺ってそんな安っぽく見える?)

 頭の中では漫然とした考えばかりが巡る。

「経験ないなら丁寧にしてあげるからさァ」
「キミみたいな可愛い子だったら優しくするし……」
「楽しめるオモチャも一杯あるからさ、どうかな? ホテル代の心配とかしなくていいから」

 そうしてる間にも男は甘ったるい声で、まるで子供をあやすように話かけてくる。
 コッチを高校生だと思っていてもなお、言いくるめてホテルに連れ込もうとするような輩に普通に断っても素直に開放してくれるとは考えにくかった。

「……いやいや、俺、べつに興味ないし」
「嘘でしょー、こんな可愛い顔してんのに勿体ないって。それに見れば分るんだよね、キミの身体どっちかというと男好きする身体だもん」
「あー、興味ないっての、お前等にってことね? わかる? ……ホテル代奢られるだけで身体預けるほど軽い男じゃないし。だいたい、お前たちさっきからヤる事しか話してないでしょ? そんなつまんない男と一晩ご一緒するの、願い下げなんだよね」

 芝浦の言葉に、男は目を丸くする。
 不遜な物言いと明らかな拒絶の言葉にやや驚いている様子だった。

(あー、俺ってやっぱり大人しそうに見えるからこういう系の奴に声かけられるのかー……結構強く言うと驚く奴多いもんな……でも、驚いてるんなら今のうち……)

 男の手が緩んだのを確認し、芝浦はその手をふりほどく。

「じゃ、俺その気は全然ないんで。お誘い頂かなくても結構です、っと。それじゃ」

 そしてそう言い捨てて去ろうとしたのだが、その肩を別の男は離そうとしなかった。

「……ちょっと、言ったよね。俺、その気ないって」
「あー、言ったね。でもお兄さんたちも、できればキミみたいな可愛い子、逃がしたくないんだ」

 男はそう言いながら、芝浦のブレスレットに触れる。

「キミ、結構お金持ちのお坊ちゃんだろ? ……自然に身につけてるものが目に見えて『良い品』だもん。逃がしたいワケないだろ?」

 どうやら中々の目利きが混じっていたようだ。
 芝浦にとって普段、普通に身につけているアクセサリーがどれだけの値段がするかなんて考えてもいなかったが、それを見て羽振りの良さを推し量る輩も少なからずいるのだろう。

(あぁ、そっか。気付いてなかったな……香水とか、アクセサリー……目立つようにつけてないつもりだったけど、見る奴が見るとやっぱ分っちゃうんだ……俺が変な奴に声かけられるのも、若いのにこういうの着けてるから? 気をつけないとな……)

 そんな事を考えているうちに、男の手はますます強く肩に食い込む。

「……痛いんですけど。辞めてくんないそういう乱暴な奴さ、嫌いなんだよね」

 逃れようとすればするほど、男は手の力を込めているようだった。

「ヤる気ないって言ってるだろッ……諦めろよ、いい加減にさ。カッコ悪いよそういうの」
「わかってる。けどさ、こっちもキミみたいな上玉逃したくないんだよね」

 どうもこの男だけは引く気がないようだ。
 無理矢理でも連れ込んで裸にすれば勝ちとでも思っているのかもしれない。

(すこし手荒でも引き離さないとダメな感じ? あー、でも喧嘩はしたくないんだよな。ってか、流石に3人もいるの分が悪い? でもこのまま黙って連れて行かれるのはもっとナシだよね……)

 暴力に出るのはスマートではない。常々そう思っているが、そうも言っていられなさそうだ。少なくとも相手は蛮行に訴えてでもこちらを連れていきそうな雰囲気がある。
 覚悟を決めて抵抗するかと思ったその時。

「……すまんな、そいつは俺のツレだ」

 何処からか一人の男が現れると、男たちの中から芝浦の身体を引き寄せ抱き寄せる。
 それが手塚なのだという事は、その腕とにおいとですぐ分った。

「あ、手塚ッ。来てくれたんだ……」
「振り返ったらお前がいなくてな。先に行ってても良かったんだが……」

 と、そこで男たちを一瞥すると。

「来て良かったようだな。どうやら、俺のツレが迷惑をかけていたようだ」

 やや威圧的に、男たちへ向く。
 手塚はどちらかといえば線が細く屈強な男ではないのだが、静かに淡々と言い聞かせるような口調で威圧的に振る舞われると何とも言えない迫力が出るのだ。
 手塚はあまり過去の事を語ろうとはしないが、その言葉や雰囲気からかなりの修羅場を経験し乗り越えてきたのだろうと、芝浦は何となく思っていた。

「……帰るぞ」

 男たちは誰ともなくそう告げ、二人の前から去って行く。
 何とか事を荒げる事なく済んだようだ。

「ありがと、手塚」
「いや……はぐれていたのに気付かなくてな。お前は何かこう……昔から巻き込まれやすいというか、そういう所があるから心配で戻ってみたが、正解だったようだな。大丈夫だったか?」
「ん、大丈夫。ちょっと肩とか腕とか捕まれたけど……」

 と、そこまで言って芝浦の目から涙がこぼれ落ちる。

「えっ? あれ……?」

 自分でも気付かないうちに、思っていた以上に恐怖を抱いていたのだろう。
 男たちの前で泣いてしまえば弱さを見せ、かえってつけ込まれる。そう思い気丈に振る舞っていたつもりだったが、手塚の顔を見て安心したのだろうか。

「ごめ、ちょ……まって。なんか……涙とまんない……」

 自分でもどうしていいのか分らず流れる涙に戸惑っていれば、手塚はハンカチを差し出してそれで顔を拭う。

「いい。泣き止むまで傍にいる……安心しろ。もうお前を一人にはさせないから……」

 手塚は芝浦の身体を優しく抱きしめると、その涙を全て受け止める。
 その温もりに包まれて、芝浦は改めて思うのだ。

 手塚はいつでも芝浦の欲しい言葉と、欲しい温もりをくれる。
 他の男と違う、特別な存在なのだと。

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インターネット駄文書き
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ネットの中に浮ぶ脳髄。
紳士をこじらせているので若干のショタコンです。
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