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インターネット字書きマンの落書き帳

   
闇は贖罪を形にはしない。(アルヤマ)
アルフレート×ヤマムラの話をしようじゃないか。
(挨拶)

いや、ぼくはわりとヤマアルを書くコトが多いんですけどね。
今回はぼくの大好きな「死体を埋める話」なので。

この手の後ろ暗い秘密を共有する時は、後ろ暗いコトでもわりと平気で出来ちゃうアルフレートくんの方がアグレッシブである方が好みなんですよね。

というわけで、今回はぼくが愛してやまないフェチズム。
大事な人と同じ秘密を共有するために死体を埋めるアルフレートくんと、アルフレートくんに死体を埋めてもらっても狼狽したままその身体を任せてしまうヤマムラさんの話! です!

みんなも推しCPで死体を埋めような!




『深淵を闇で埋めよ』

 誰の目も届かぬような闇の中で、アルフレートは一人穴を掘っていた。
 僅かなカンテラの灯りだけが揺れ辺りを照らす。
 掘り進めた穴はだいぶ深く大きくなっていた。

 もう充分だろう。
 アルフレートは大きなスコップを地面に突き刺すと、投げ出されたズタ袋の方を見た。

 中に入っているのは、男の死体だ。
 知らない男だがそいつが誰だか、何をしてきた奴なのかは一切興味がなかった。
 大事なのは、その男が「ヤマムラが殺した男」だという事、ただそれ一つだけだ。
 アルフレートは空を仰ぐと、あの時の様子を思い出していた。


 あの時、ヤマムラは呆然と床を眺め小さく震えていた。
 床には血まみれの男が倒れ伏している。
 あまりに強く頭を殴ったからだろう、倒れた男からは切れた頭や顔から止めどなく血が流れ床を赤く塗らしていた。

 アルフレートが来た時、すでにそのような状態だった。
 普段から温厚で物静かなヤマムラが一体どうして、何を言われ何をされたからそのような蛮行に及んだかはわからないし知ろうとも思わなかった。
 大事なのは、ヤマムラが「人を殺した」という事実を前に怯え、非道く狼狽しているということ。そしてそんなヤマムラを救えるのは自分しかいないということだけだ。
 震えるヤマムラの肩に触れればヤマムラは声を震わせながら訴えた。

「違うんだ、こんなつもりは……なかった、こんな事……」「どうして……どうしてこんな事に……」

 まるで譫言のように同じことを繰り返すヤマムラを安心させるように肩を抱き寄せると、無言のまま唇を重ねる。
 アルフレートに触れられようやく幾分か安心したのか、青ざめていたヤマムラの頬には少し赤みが戻っていた。

「大丈夫ですヤマムラさん。後始末は全部私がやりますから、あなたはここで待っていてください。いま、暖かい飲み物をもってきますね」

 そうしてもってきたホットワインを、ヤマムラは椅子に座り舐めるように飲み始めた。
 元々あまり大きくはない身体がいつもよりさらに小さく見える。

 そんな彼を前に、アルフレートは淡々と後始末を始めた。
 死体をズタ袋に入れ、床に残った噎せ返るような臭いを放つ血を掃除する。血の染みは完全に消える事もなく強い臭いも残ったがそこはヤーナムの街だ。 元よりこの住処も先住人が残した血の痕も多く、獣狩りを常とするこの街は血の臭いはもちろん、腐臭さえも絶えない。
 人が一人殺されたくらいで誰も驚きはしないだろうし、探すものなどいないだろう。
 それはヤマムラも分っているはずだがその上でも「人を殺した」事実に罪悪感のようなものを抱いているのだろう。

 獣狩りの狩人が狩る獣たちも、元はといえば人だ。
 即ちヤーナムの狩人たちは皆「人殺し」のようなものなのだ。

 それでも獣のすがたをした化け物とただの人とは「違う」と感じるのがヤマムラであり、理性ある人間を手にかけた事を罪だと思うのが彼の弱点であり美点であるとアルフレートは思っていた。
 そしてそんな弱さと美徳をもつヤマムラをアルフレートは何よりも愛おしく、そして清らかなものだとも思っていたのだ。

 師であるローゲリウスには至らないまでも、己のためではなく誰かのため。
 復讐という理由ながら他人のためにヤーナムに来て復讐を遂げた後もヤーナムのために狩りを続ける。
 血の医療に縛られたという理由があったとしてもそんな危険な真似は普通できる事ではない。それを普通に、当たり前のように行えるヤマムラの精神にはヤーナムにはない風のような心地よさを感じていた。

 その風は常に自分の傍にあってほしい。
 そうする事で自分もまたより清らかになり、この街を清潔にする事が出来るだろうから。

 だから、彼の為に死体を始末する事はさしたる苦労を感じなかった。
 二人だけの秘密を共有できれば僥倖だ。ヤマムラがそれに恩を感じてくれるのなら尚更良い。

 深く掘った穴にズタ袋を放り込めば、微かにうめき声がした。
 ヤマムラは「殺してしまった」と思ったようだが、どうやらまだ息があったようだ。
 元よりこのヤーナムに住む人間は血の医療に手を出しているため簡単に死ぬコトが出来なくなっている。この男もまた地下下水道に蠢く理性のない肉塊のようにギリギリの所で生きているのだろう。
 このまま埋めてしまってもいいが、なまじ生命力の強い奴だと土を掘り返し出てくるかもしれない。 街から離れたこの場所なら誰かに見つかる事もなく野犬が食い散らかしてくれるだろうし、そもそも人の生き死にに興味があるまともな市民はいないような街だがそれでも可能性は潰しておいた方がいいだろう。

 アルフレートは呻く男の頭を勢いよく石槌で叩きつぶすと、返り血を拭いながら微かに笑った。

「……あなたにはちゃんと死んでもらわないと困るんです。ヤマムラさんをあまり不安にさせたら可愛そうですからね」

 完全に動かなくなるのを確認し、死体を埋め終わったのは夜半過ぎだったろう。
 ヤマムラはもう寝ているだろうと思いながら宿へと戻り血と土を洗い流して部屋へ入ればベッドに座り項垂れたままのヤマムラがいた。

「あ、アルフレート……戻ったのか……」

 どこか力ない様子でアルフレートを見るヤマムラの目はどこか虚ろだった。
 窓を開け換気をしていても相変わらず室内は血の臭いは残ったままでそれがますます陰気にさせる。

「もういいでしょう。これ以上窓を開けていても冷えるだけですよ」

 アルフレートは窓を閉めるとヤマムラの隣に座る。
 きっとヤマムラは聞きたい事も沢山あっただろう。だが今は何も言わせたくないし、何よりきちんと「始末」した「ご褒美」が欲しかったからアルフレートは半ば強引にヤマムラと唇を重ねるとそのままベッドに押し倒す。

「アル……フレート、あの、男は……」

 辛うじてそう問いかけるヤマムラの言葉を唇で留めるとアルフレートは妖しく笑う。

「ぜんぶ……全部終りましたよ、ヤマムラさん。今日のは悪い夢だったんです、だから……残りは良い夢を見ましょう。私が……そのようにしてあげますから……」

 ヤマムラは最初こそ何か言いたそうな視線を向けていたが、唇を重ね舌を絡めるうちにアルフレートの身体へ陶酔していく。 この身体の全てはいま、アルフレートのものだ。いずれ心もそうなるだろう。

(そうしたらきっと、私はもっと清らかになれる。この人の心と、師の志。両方を手に入れる事が出来れば、私はきっと……)

 きっともっと清らかになれる。この街を清潔にする事ができる。
 その願いがエゴであり打算的なものである事にアルフレート自身が気付いているかどうかは分らなかったが。

「アルフレート……俺は……」
「静かに……忘れて、忘れてください……今は私の事だけを思って……ヤマムラさん……」

 ただヤマムラに自分だけを見て欲しいと思っていたのは嘘ではなかった。
 そんな彼の思いに答えるよう、ヤマムラもアルフレートに己の全てを預ける。

 夜明けが近づく最中、二人はただ夢中になり抱き合い求め合っていた。
 全ての罪も業も、洗い流すかのように。

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インターネット駄文書き
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