インターネット字書きマンの落書き帳
マジェとサクランボの話(ウェカマジェ)
普通に付き合っている世界線のウェカピポ×マジェントの話です。
普通に付き合ってる世界線のウェカマジェ……?
と、自分でも疑問に思いますが、ま、二次創作は自由(フリーダム)だからねッ。
Twitterでちょっとかいた「口の中でサクランボの茎を結べるマジェント」という概念の話です。
ウェカマジェ久しぶりに書くけど、まぁいいか。
という気持ち丸出しでかきました。
人生はいつも妥協!(標語)
普通に付き合ってる世界線のウェカマジェ……?
と、自分でも疑問に思いますが、ま、二次創作は自由(フリーダム)だからねッ。
Twitterでちょっとかいた「口の中でサクランボの茎を結べるマジェント」という概念の話です。
ウェカマジェ久しぶりに書くけど、まぁいいか。
という気持ち丸出しでかきました。
人生はいつも妥協!(標語)
『熟れすぎたサクランボ』
「あ、これ最後の一つ? もーらい」
マジェントはそう言うと、ローズマダーの色に染まったサクランボを口の中に入れる。
今朝のデザートとして器にいっぱいのサクランボがどっさりあったのだが、ウェカピポが泥のようなコーヒーを飲みながら新聞を読んでいる間に皆がつまんでいったのだろう。
遅く起きて来たマジェントが口にしたのが最後の一粒になっていた。
果物のような痛みやすい食べ物が食堂で出るのは珍しい。
朝食に置いてあれば自然と皆手が伸びるのだろう。
ウェカピポはそんな事を思いながら新聞を読む。
食堂にはすでに誰の姿もなく、マジェントは新聞を読むウェカピポを暫く黙って見つめていた。
一人でいても喧しい男が珍しく黙っているな。
そう思っているうちにマジェントはぱっと顔を明るくすると不意に口を開け舌を出す。
白い肌にやけに栄えて見える赤い唇から伸びる舌には、サクランボの茎が綺麗に結ばれているのが見えた。
「なぁ、見たか見たか? サクランボの茎、ちゃんと結べてただろ?」
「あぁ、そうだな」
「知ってるかウェカピポ、口の中でサクランボの茎を結べるの、キスが上手いらしいぜェ」
マジェントはそう言いながらさも楽しそうに笑う。
その言葉を聞いたウェカピポは無意識に口元を隠していた。
マジェントと最後にキスをしたのは何時だったろうか。
その時はどんなキスをしただろうか。
マジェントのキスはやや性急すぎるような所もあるが、確かにそれほど下手ではないだろう。むしろそういった面では何かと後手に回りがちなウェカピポを煽るような真似をしてつい夢中なキスをさせるのだからその点は確かに巧みかもしれない。
そんなコトを考えてしまったからだ。
「……そうか、それはよかったな」
だがそれを口にすれば元よりお調子者のマジェントがもっと図に乗るのは火を見るより明らかだ。だからわざと素っ気なく告げればマジェントは露骨に不機嫌そうに唇を尖らせた。
「何だよ、ウェカピポって相変わらず面白くねぇよなー。反応が薄いってか、いつも不機嫌そうでツマラナイって顔してるの良くないと思うぜぇー? もっとスゲーとか、ソウダヨナーとか派手に振る舞ってもいいんじゃねぇの?」
「ふん……下らないとは思うが、別段凄いとは思わん、それだけだ」
「それ! そういうトコあるよなウェカピポはよぉ~。まったく、堅物なのは知ってるけどよぉ、もっと楽に考えた方がいいと思うぜェ~」
そして椅子に深く腰掛けると、シーソーのように椅子を揺らし始めた。 口をまだモゴモゴ動かしているのを見ると、茎を捨ててはいないのだろう。ウェカピポが凄いというまで口のなかに入れているつもりなのだろうかと考えたその時、食堂にリンゴォが入って来る。
普段は別行動……というよりは別の場所で生活をしているリンゴォだが、今日は直々に呼び出しがあったのか。あるいは小屋に足りない食料などを買足しにきたのだろう。
一段落ついたから食堂で少し休憩するつもりのように見えた。
それを見つけたマジェントは嬉しそうに小声で呟いた。
「あ、リンゴォだ。久しぶりじゃ無ぇか。こっち来るの……そうだ、ウェカピポの反応ぜんぜん面白くねぇからリンゴォにも見せてやろ。サクランボの茎が口の中だけで結べたとか、リンゴォなら結構驚くぜぇー」
そしてそう言いながら立ち上がろうとするマジェントの腕を、ウェカピポはほとんど条件反射で握り留めていた。
ディ・ス・コやアクセルだったら別に構わない。
マジェントにとって彼らは友達であり悪友、そしてそれ以上には成り得ないと思っているからだ。
だがリンゴォだけは違う。
その生き方は刹那的ではあるが立ち振る舞いは常に死を覚悟している男なだけあり常に寛容で堂々として見える。
輝くような白い肌と細身だがしっかりとした体つきはウェカピポから見ても蠱惑的だ。
年上で顔の綺麗な大人の男……というのはマジェントが好むタイプの男でありだからこそリンゴォにはあまり近づけたくないと思ってしまうのは、自分以外の誰かをマジェントが好きになるのは許せないという存外に大きなウェカピポの嫉妬心からだった。
「ちょ、何すンだよウェカピポ……」
そう言いかけるマジェントと唇を重ねる。
舌を絡めて少し唇を舐ってやればさっきまでマジェントの舌にあったサクランボの茎はウェカピポの舌へと移動した。
「……どうだ、俺は茎を結べはしないがこういうキスも悪くないだろう」
ウェカピポは口の中からサクランボの茎を取り出すと、コーヒーカップの隣へと置く。 マジェントは暫く顔を赤くして口をぱくぱくさせた後。
「そういうの、ズルいだろウェカピポ、あんたはさぁっ……気のないフリして急にそういうコトするからマジで……」
震えた声でそう言いながら唇を拭う。自分から挑発するくせに不意にこられると思った以上に慌てて見せるのはマジェントの面白い所だった。
「キスは技術だけじゃない……タイミングも大事だ。そう思わないか、マジェント・マジェント? さて、コーヒーを飲んだら行くぞ。今日も細々と仕事が残ってるんだからな」
ウェカピポは残りのコーヒーを一気に飲み干しカップの中に結んだ茎を入れてから歩き出す。 マジェントは何か言いたげな顔をしながらもウェカピポに慌ててついていった。
後には新聞と、茎の入ったカップだけが残されていた。
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