インターネット字書きマンの落書き帳
わざと嫉妬心を煽るため親友をダシにするみゆみゆの話(みゆしば/BL)
平和な世界線で付き合ってる手塚×芝浦を書くものです。(挨拶を兼ねた幻覚の説明)
今回の話は、自分の下手な手料理で喜んでいる芝浦を見て「本当に俺の事好きなのかな」と感じてしまった手塚が、芝浦をわざと怒らすため雄一の話を出す、という話ですよ。
俺の趣味で芝浦は斉藤雄一のことを「雄一さん」と呼びます。
雄一のこと以前から知っているという脳内に都合のいい設定があるので仕方ないね。
二次創作、いつでも俺にとって都合がいい!
今日もそれを合い言葉に、元気出していきましょう!
今回の話は、自分の下手な手料理で喜んでいる芝浦を見て「本当に俺の事好きなのかな」と感じてしまった手塚が、芝浦をわざと怒らすため雄一の話を出す、という話ですよ。
俺の趣味で芝浦は斉藤雄一のことを「雄一さん」と呼びます。
雄一のこと以前から知っているという脳内に都合のいい設定があるので仕方ないね。
二次創作、いつでも俺にとって都合がいい!
今日もそれを合い言葉に、元気出していきましょう!
『嫉妬心燻らせて』
「おい、芝浦。夕食が出来たからそろそろゲームを切り上げてこっちに来てくれ」
カルボナーラと野菜を適当に刻んで千切っただけのサラダを並べながら手塚海之はテレビの前であぐらをかく芝浦淳へと声をかける。
すると芝浦はすぐにコントローラーを置くと目を輝かせて席へとついた。
「やった、カルボナーラ! 美味しそうにできてるじゃん。俺、あんたの作るカルボナーラすごい好きなんだよね」
芝浦は無邪気に笑うとフォークを手にとり、すぐにパスタを口いっぱいに頬張る。そして何度も幸せそうに笑い「美味しい」と言うのだった。
芝浦だったらもっと美味しいものを口にしたことがあるだろう。俗にセレブと呼ばれる立場であり、ドレスコードが必用なレストランを日常的に利用しているはずだ。子供の頃はパーティで自宅に料理人を呼んだ事もあると聞いている。
手塚の作ったダマになりかけのカルボナーラよりよっぽど美味しいものを知っているはずなのに、彼が作ったズボラなカルボナーラを最高のご馳走みたいに誉めてくれるのは嬉しかったし、美味しそうに食べるその横顔はただただ愛おしかった。
だが同時に、その愛を試したいという意地悪な思いが湧く。
芝浦を可愛いと思っているし愛おしいから大切にしたいとも思うのだが、芝浦はどうなのだろう。自分と同じくらいの愛しさを抱いてくれているのだろうか。
それともこの愛情は自分の一方通行で、芝浦は思ったより自分の事など好きでは無いのではないか。
そんな些細な猜疑心は悪戯心へと変貌し、手塚の中でみるみるうちに肥大していった。
「そうか。その料理、雄一も良く好きだと言ってたな」
肥大した悪戯心は留める事が出来ず、つい口からそんな言葉が零れる。
もちろん、芝浦が手塚と斉藤雄一の関係に嫉妬のような敵愾心のようなものを抱いているのを知っているからこそ出た言葉だ。
それをあえて自然に、芝浦のマグカップにお茶を注ぎながら何気なく言った風にしたのが気に触ったのだろう、芝浦は露骨なくらい口を尖らせるとフォークをもったまま手塚を睨み付けた。
「ちょっとさぁ、何でそこに雄一さんの名前が出るわけ? 今は雄一さん関係ないし、今は俺が美味しいって言ってるのにさぁ……手塚、時々そういう事言うよね。なに? 俺と雄一さん比べてさ……俺はあの人じゃないし、あの人の代りでもないんだけど?」
どうやらこの言葉は、手塚が思っていた以上の効果を上げたようだ。
手塚と斎藤は昔馴染みであり、親友であり、腐れ縁のような関係である。 手塚自身に思慕の感情が全く無かったかといえばそれは嘘になるが、一度も恋人のような関係にはなった事はない。
ただ、今でも斎藤雄一という存在が手塚にとって特別な友人である事は変わりなかったし、手塚と斉藤の間に芝浦の知らない思い出がいくつもある事は変えようのない事実だった。
雄一は手塚の親友であり、それ以上の関係には成り得ない。
それをハッキリ理解していても、過去の手塚を知っており手塚とは長い付き合いである事が芝浦の嫉妬心を激しくかき立てるのだろう。
これで雄一が偏屈な天才肌だったりエキセントリックで突拍子もない事をしでかすタイプの人間だったらそれでも芝浦の嫉妬はまだ落ち着いていたに違いない。
だが斉藤雄一という人物は人当たりが良く愛嬌があり、誰に対から見ても好青年と呼ぶに相応しい人物だった。
芝浦の事も実の弟のように親身に接しており、他人を信用せず好き嫌いの激しい性格である芝浦も雄一のことは悪く言えないようになっていた。
それ故に芝浦からして見ても、ライバル視をし、敵愾心を抱き、嫉妬心に駆られても嫌いになれる人間ではないジレンマがあるのだろう。
「悪かった。雄一と比べるつもりはなかったんだが……」
「嘘だろ、めちゃくちゃ比べてたし……ホント、手塚ってそういう所分かってないよね」
テーブルに肘をつき、芝浦は深いため息をつく。
お坊ちゃま育ちで普段から食べ方はやけに綺麗な芝浦がテーブルに肘をつくというのは、それほど動揺しているという事だろう。少し悪戯心を出しただけのつもりだが、やはり思った以上に心に堪えているようだ。
悪戯心を出して少しからかってみたつもりだが、本気で怒らせるのは本意じゃない。
だがすっかり臍を曲げてしまった芝浦をなだめるには、曖昧な言葉や誤魔化しは通じないだろう。
手塚は真っ直ぐ芝浦を見る。
「そうだな、俺はたしかに無粋で空気が読めない所がある。だから正直に言うとな……あんまりおまえが嬉しそうに食べるから、少し……試してみたいと思った、悪かったよ」
「何いってんの? 意味わかんないんだけど」
「おまえほど舌が肥えてるのに、俺なんかの料理をそんなに喜んで食べてくれるお前を可愛いと思ったから……俺の思いが一方通行ではないのを、確かめたかった、と言えばいいのか……」
「回りくどいんだよ……ハッキリ言えって」
「つまり、その……何だ。悪いと思ったんだが……雄一の名前を出せばお前が嫉妬してくれるんじゃないかと思って……お前が嫉妬してくれるか確かめたくて、あんな事を言ったんだ。悪かった。嫉妬をさせようとはしたが、嫌われるのは本意じゃない……」
一度言った事は取り返せないが、これで少しでも自分の思いは伝わっただろうか。恐る恐る芝浦の顔を見れば、芝浦はポカンと口を開けたまま目を丸くして手塚を見ていた。
そうかと思うと。
「ははっ、何それマジで言ってんの? えっ? ……手塚そんな事思うんだ? 嘘だろ……ってか今そういう事いう? 正直に言う? えっ……というか手塚マジで空気読めないよね? 確かめなきゃわかんない? 俺のほうがいつもお前の100倍くらい好きって言ってるのに不安になるの? ……信じられないんだけど」
やや早口でそうまくし立てた。その口ぶりはいかにも呆れたような色が見え隠れするが、照れているのか顔はやや赤い。
「悪かった。あまり、こういった冗談は得意じゃないからな……下手な真似はするんじゃなかった」
「あんたが冗談下手なのなんて知ってるって。けどさぁ、こんなに下手ってある?」
「だが、おまえに嫌われたくないのは本当だ……お前に愛されているのか心配になるのも、お前の事を愛おしいと思っているのも……」
「わっ、わかったから! もういいから! 心配しなくても嫌いにならないしっ。ていうか、あんたが嫌いになっても絶対嫌いになってやらないからな!」
芝浦の顔はますます赤くなっていく。
こういう時は何と言ってやれば、芝浦を恥ずかしがらせずに安心させられるのだろうか。余計な事を言ったらもっと芝浦を恥ずかしがらせてしまうような気がしたし、また下手な事を言って彼に嫌われるのはもっと避けたい。
だが話すのは元々あまり得意ではないから、手塚は芝浦の頭を撫でると。
「……それなら、良かった」
ただ一言の本心を告げる。
自然と笑顔になる手塚を上目遣いで見ると、芝浦は手塚の手に触れて「もういいから」と小声で告げた。
「わかった、わかったから食べちゃおうって。手塚の料理なら冷めても美味しいけどさ、暖かい方がもっと美味しいもんな」
芝浦は顔を赤くしたまま、再びパスタを頬張る。
その姿を見て、手塚はつまらない不安や悪戯心がわき出す自分の気持ちを恥じた。
こんなにも無邪気な笑顔をどうして疑ったりしたのだろうと。
そして改めて思うのだ。
こんな日常が、ずっと壊れずに続くようにと。
「おい、芝浦。夕食が出来たからそろそろゲームを切り上げてこっちに来てくれ」
カルボナーラと野菜を適当に刻んで千切っただけのサラダを並べながら手塚海之はテレビの前であぐらをかく芝浦淳へと声をかける。
すると芝浦はすぐにコントローラーを置くと目を輝かせて席へとついた。
「やった、カルボナーラ! 美味しそうにできてるじゃん。俺、あんたの作るカルボナーラすごい好きなんだよね」
芝浦は無邪気に笑うとフォークを手にとり、すぐにパスタを口いっぱいに頬張る。そして何度も幸せそうに笑い「美味しい」と言うのだった。
芝浦だったらもっと美味しいものを口にしたことがあるだろう。俗にセレブと呼ばれる立場であり、ドレスコードが必用なレストランを日常的に利用しているはずだ。子供の頃はパーティで自宅に料理人を呼んだ事もあると聞いている。
手塚の作ったダマになりかけのカルボナーラよりよっぽど美味しいものを知っているはずなのに、彼が作ったズボラなカルボナーラを最高のご馳走みたいに誉めてくれるのは嬉しかったし、美味しそうに食べるその横顔はただただ愛おしかった。
だが同時に、その愛を試したいという意地悪な思いが湧く。
芝浦を可愛いと思っているし愛おしいから大切にしたいとも思うのだが、芝浦はどうなのだろう。自分と同じくらいの愛しさを抱いてくれているのだろうか。
それともこの愛情は自分の一方通行で、芝浦は思ったより自分の事など好きでは無いのではないか。
そんな些細な猜疑心は悪戯心へと変貌し、手塚の中でみるみるうちに肥大していった。
「そうか。その料理、雄一も良く好きだと言ってたな」
肥大した悪戯心は留める事が出来ず、つい口からそんな言葉が零れる。
もちろん、芝浦が手塚と斉藤雄一の関係に嫉妬のような敵愾心のようなものを抱いているのを知っているからこそ出た言葉だ。
それをあえて自然に、芝浦のマグカップにお茶を注ぎながら何気なく言った風にしたのが気に触ったのだろう、芝浦は露骨なくらい口を尖らせるとフォークをもったまま手塚を睨み付けた。
「ちょっとさぁ、何でそこに雄一さんの名前が出るわけ? 今は雄一さん関係ないし、今は俺が美味しいって言ってるのにさぁ……手塚、時々そういう事言うよね。なに? 俺と雄一さん比べてさ……俺はあの人じゃないし、あの人の代りでもないんだけど?」
どうやらこの言葉は、手塚が思っていた以上の効果を上げたようだ。
手塚と斎藤は昔馴染みであり、親友であり、腐れ縁のような関係である。 手塚自身に思慕の感情が全く無かったかといえばそれは嘘になるが、一度も恋人のような関係にはなった事はない。
ただ、今でも斎藤雄一という存在が手塚にとって特別な友人である事は変わりなかったし、手塚と斉藤の間に芝浦の知らない思い出がいくつもある事は変えようのない事実だった。
雄一は手塚の親友であり、それ以上の関係には成り得ない。
それをハッキリ理解していても、過去の手塚を知っており手塚とは長い付き合いである事が芝浦の嫉妬心を激しくかき立てるのだろう。
これで雄一が偏屈な天才肌だったりエキセントリックで突拍子もない事をしでかすタイプの人間だったらそれでも芝浦の嫉妬はまだ落ち着いていたに違いない。
だが斉藤雄一という人物は人当たりが良く愛嬌があり、誰に対から見ても好青年と呼ぶに相応しい人物だった。
芝浦の事も実の弟のように親身に接しており、他人を信用せず好き嫌いの激しい性格である芝浦も雄一のことは悪く言えないようになっていた。
それ故に芝浦からして見ても、ライバル視をし、敵愾心を抱き、嫉妬心に駆られても嫌いになれる人間ではないジレンマがあるのだろう。
「悪かった。雄一と比べるつもりはなかったんだが……」
「嘘だろ、めちゃくちゃ比べてたし……ホント、手塚ってそういう所分かってないよね」
テーブルに肘をつき、芝浦は深いため息をつく。
お坊ちゃま育ちで普段から食べ方はやけに綺麗な芝浦がテーブルに肘をつくというのは、それほど動揺しているという事だろう。少し悪戯心を出しただけのつもりだが、やはり思った以上に心に堪えているようだ。
悪戯心を出して少しからかってみたつもりだが、本気で怒らせるのは本意じゃない。
だがすっかり臍を曲げてしまった芝浦をなだめるには、曖昧な言葉や誤魔化しは通じないだろう。
手塚は真っ直ぐ芝浦を見る。
「そうだな、俺はたしかに無粋で空気が読めない所がある。だから正直に言うとな……あんまりおまえが嬉しそうに食べるから、少し……試してみたいと思った、悪かったよ」
「何いってんの? 意味わかんないんだけど」
「おまえほど舌が肥えてるのに、俺なんかの料理をそんなに喜んで食べてくれるお前を可愛いと思ったから……俺の思いが一方通行ではないのを、確かめたかった、と言えばいいのか……」
「回りくどいんだよ……ハッキリ言えって」
「つまり、その……何だ。悪いと思ったんだが……雄一の名前を出せばお前が嫉妬してくれるんじゃないかと思って……お前が嫉妬してくれるか確かめたくて、あんな事を言ったんだ。悪かった。嫉妬をさせようとはしたが、嫌われるのは本意じゃない……」
一度言った事は取り返せないが、これで少しでも自分の思いは伝わっただろうか。恐る恐る芝浦の顔を見れば、芝浦はポカンと口を開けたまま目を丸くして手塚を見ていた。
そうかと思うと。
「ははっ、何それマジで言ってんの? えっ? ……手塚そんな事思うんだ? 嘘だろ……ってか今そういう事いう? 正直に言う? えっ……というか手塚マジで空気読めないよね? 確かめなきゃわかんない? 俺のほうがいつもお前の100倍くらい好きって言ってるのに不安になるの? ……信じられないんだけど」
やや早口でそうまくし立てた。その口ぶりはいかにも呆れたような色が見え隠れするが、照れているのか顔はやや赤い。
「悪かった。あまり、こういった冗談は得意じゃないからな……下手な真似はするんじゃなかった」
「あんたが冗談下手なのなんて知ってるって。けどさぁ、こんなに下手ってある?」
「だが、おまえに嫌われたくないのは本当だ……お前に愛されているのか心配になるのも、お前の事を愛おしいと思っているのも……」
「わっ、わかったから! もういいから! 心配しなくても嫌いにならないしっ。ていうか、あんたが嫌いになっても絶対嫌いになってやらないからな!」
芝浦の顔はますます赤くなっていく。
こういう時は何と言ってやれば、芝浦を恥ずかしがらせずに安心させられるのだろうか。余計な事を言ったらもっと芝浦を恥ずかしがらせてしまうような気がしたし、また下手な事を言って彼に嫌われるのはもっと避けたい。
だが話すのは元々あまり得意ではないから、手塚は芝浦の頭を撫でると。
「……それなら、良かった」
ただ一言の本心を告げる。
自然と笑顔になる手塚を上目遣いで見ると、芝浦は手塚の手に触れて「もういいから」と小声で告げた。
「わかった、わかったから食べちゃおうって。手塚の料理なら冷めても美味しいけどさ、暖かい方がもっと美味しいもんな」
芝浦は顔を赤くしたまま、再びパスタを頬張る。
その姿を見て、手塚はつまらない不安や悪戯心がわき出す自分の気持ちを恥じた。
こんなにも無邪気な笑顔をどうして疑ったりしたのだろうと。
そして改めて思うのだ。
こんな日常が、ずっと壊れずに続くようにと。
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