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インターネット字書きマンの落書き帳

   
夢で抱いた相手、後の恋人である。(手芝・みゆしば)
平和な世界線で、いずれ付き合う事になる手塚と芝浦の話です。(挨拶)

いずれ付き合う事になるので、まだ付き合ってないんですし……。
すでに付き合っている頃の話を何度も書いているCPではあるんですが、ちょっとまだ付き合ってないけどお互い意識はしている初々しい頃を書いてみたくなって……やった!
反省も、後悔もしていないッ!

そう二次創作はいつも俺がやりたかったからやった!
反省はしたとしても、後悔はしない……。
そのスタンスで生きていこうな!

今回は、夢で芝浦くんを抱いてしまいひどく同様しているけどそんなのをおくびにも出さない手塚くん概念です。



『夢で乱れて』

 ベッドに沈むその男は、どこか妖しい笑みを浮かべていた。
 服を着ていた時は細身だと感じていたが露わになった身体は思ったより筋肉の張りがありやや幼い顔立ちに反して雄の身体をしている。

「いいよ、俺さ。アンタになら何されてもいいし……どうされたって別にいいから……」

 甘い言葉を囁かれ、手塚は自分の理性が融けて行くのが分る。
 気付いた時は夢中になってその身体にむしゃぶりついていた。

「性急だな、アンタ……でも……」

 男は唇を舐め、手塚の頭を抱く。
 その温もりに誘われるよう、手塚はますますその身体に溺れていくのだった。

 ・
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 ・

 目覚めてすぐ、手塚は今見た光景が夢か現実か曖昧なままでいた。
 だが全て夢だと気付き、深く息を吐く。

「あんな夢を見るなんて……」

 欲求不満が溜っているのだろうか。それにしても男を抱く夢を見るのは初めてだ。
 気持ちとして、男性相手に友情より恋慕の情に近いものを抱いた事はある。今でも親友である雄一に対する気持ちは友情よりもそちらの方が近い気がしていた。
 だが恋人関係になった相手は女性だし、肉体関係に至る相手も基本的には女性だ。
 男に対する感情は憧れに留まっており性欲までは抱かないものだと思っていたのだが……。

「……いや、夢は夢だからな」

 起きてすぐはあまりの衝撃に自分でも感情の処理が出来ないでいたが、徐々に現実の空気を吸い冷静になってくる。
 夢は夢で、現実の自分が抱いている感情とは違う。
 たまたま自分の無意識に眠る欲求の一部が形になって出ただけであり抱いた相手が男か女かはあまり関係ない。
 夢診断でも、同性と関係をもつ夢は相手に憧れや自分のもたないものを相手に見ている。という結果だったはずだ。
 そう、たかが夢なのだ。現実ではない。
 それは理解しているのだが……。

「だが、あの顔。あの身体は……どうもな……」

 顔は曖昧で思い出せないが、あの姿はどこかで見たような気がする。
 最も裸を見た相手ではないはずだ。男と身体の経験になった事が一度もなかったワケではないが、以前抱いた相手とはあまりに違いすぎる。何よりあの雰囲気はどこかで見た気がした。

「気のせいだと思うが……」

 手塚は徐ろに立ち上がると身支度を調える。
 今日は暖かい日だから、日中から店を出してもいいだろう。
 そんな事を考えながら。

 ・
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 ・

 思ったより客入りが良く、手塚がようやく休めたのは14時を少し過ぎた頃だった。
 そろそろ一端店を閉めて食事に出るかと考え始めた時とその男が現れたのは殆ど同時だったろう。

「占い師さーん、今日はもう店終い?」

 片手を上げ手塚を呼び止めるのは、最近すっかり常連となった芝浦淳という名の大学生だった。
 彼はとりわけ占いに興味があるという様子ではなく、むしろ手塚に大学の愚痴を聞いてもらうなど手塚と話す事を目的に来ているような所がある。

「あぁ、芝浦か……」

 その姿を見て、手塚は内心動揺していた。
 背格好や顔立ち、雰囲気、イメージする身体のライン。全てが夢で見たあの男と一致していたからだ。

「食事に出ようと思っただけで店終いというワケではない。占っていくのか」
「あ、別にいいよ。食事なら出直すし……というか、飯食いにいくなら一緒にどう、占い師さん。俺このあたりならランチでも軽食でもファストフードでも色々知ってるけど」

 芝浦は笑顔のまま話しかけてくる。無邪気なその姿は純粋に好意で誘ってくれているのだろう。だが今の手塚にとって、その純粋さがかえって後ろめたく思えた。

「いや、いい。誘ってもらって悪いが今日は一人で食べたい気分なんだ」

 より正確に言えば、今芝浦と食事をしても彼を気にして味どころじゃないような気がしたからだ。

「ふーん。ま、別にいいや。じゃ、占い師さん今度気が向いたら一緒にご飯行こうよ。占い師さんには普段から結構お世話になってるから、おごるからね」

 芝浦は笑顔で手を振り、その場から去って行く。
 その背を見送るうち、自分が酷く落胆している事に気付いた。
 落ち込んでいる、とまでは言わないが機会を逃したような気がしていたのは確かだった。

「……気にしてる? 俺が? ……あいつと食事に行けなかったからか」

 自分の気持ちに、手塚は困惑した。
 一緒にいられない事を寂しいと思っているのだとしたら、芝浦はただの客ではなくなっているという事なのだろうか。
 もしそうだったとして、自分は芝浦に対してどう接したいのだろう。

「いや、深く考えるのはやめだ。あんな夢を見たから少しおかしくなってるんだろうな……」

 感情に振り回されるのはらしくない。
 手塚は軽く頬を叩くと店を片付け、食事のために街へ出た。

 この二人が恋人として付き合うようになるまで、もう暫く時間を要する事になる。

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