インターネット字書きマンの落書き帳
学生時代に出会えていたらよかったかもね。(手芝・みゆしば)
平和な世界線で普通の恋人同士として過ごす手塚と芝浦の概念です。
(今日も元気だ1行で幻覚を説明しよう)
今回は、学生時代に恋人つくっておきたかったなーとかはなすしばじゅんちゃんとか。
学生時代に会えてたらもっと楽しかったのになーと話しばじゅんちゃんとか。
そんなしばじゅんちゃんがずーーーーーーっとかわいいみゆみゆです。
バカップルの話だな!
そうだよ!
(今日も元気だ1行で幻覚を説明しよう)
今回は、学生時代に恋人つくっておきたかったなーとかはなすしばじゅんちゃんとか。
学生時代に会えてたらもっと楽しかったのになーと話しばじゅんちゃんとか。
そんなしばじゅんちゃんがずーーーーーーっとかわいいみゆみゆです。
バカップルの話だな!
そうだよ!
『もっと早くに。もっと全てを』
今日は外食にしようと手塚に言われ、芝浦はファミレスへと来ていた。
食事の時間には幾分か早かったからかテーブルにはまだ学生の姿がちらほらと見える。
二人の座った席からすぐ見える所では恐らくカップルであろう若い学生たちが肩を寄せ合いながら教科書を覗きこみ何やら勉強中のようだ。
テストでも近いのだろう。
「いいなァ、あぁ言うのっていかにも学生って感じだよね」
メニューを見ながら芝浦は呟く。
「いや、俺さ。手塚に会うまで恋愛なんて人付き合いが面倒になるだけだと思ってたから学生時代に付き合ってた相手って特にいないんだけど……もし学生時代に恋人がいたら面白かったんじゃないかなーとは思うんだよね」
そしてメニューを眺めながら独り言のように続けた。
「休み時間に一緒に弁当食べたり、一緒に下校したりさ。準備が面倒な文化祭も恋人がいたら楽しかったかもしれないし、修学旅行とか二人で行動してたら散々行ってる京都でも違った景色が見えていたのかなーって」
饒舌に語る芝浦を前に、手塚は何とはなしに先日出席した結婚式の事を思いだしていた。
それほど親しかった相手ではないと思ったが、相手は思った以上に手塚の事を覚えていてやけに丁重なもてなしをされたのを覚えている。
その二人は高校時代からの付き合いはじめてからそのまま大学を卒業し社会人になり結婚したというカップルで、芝浦が『楽しそうだ』と憧れるような行動をまさにしてきたような二人だった。
結婚式の時は「そんなに長く一緒にいてよく飽きないものだ」と茶化しているのか僻んでいるのか分らないような事を言う輩もいたが、今でも二人は幸せそうに過ごしているから共有する思い出が多いというのもまた幸せな事なのだろう。
「だがそれは困るな」
学生の頃から付き合って思い出を深めていくというのは悪くないと思っていた。
だが手塚の口から出たのはそんな言葉だった。
「えー、何でだよ。いいじゃんそういうの、楽しそうでさー」
口をとがらせて見せる芝浦を前に、手塚も何故そんな言葉が出たのか分らず少しだけ困惑する。だがすぐに自分の本心に思い当たると真っ直ぐ芝浦の方を見た。
「当然だろう、お前が学生時代から誰か特定の恋人を作っていたら俺と会う事もなかった……お前の隣にいるのが他の誰かになっていたんだ。残念ながらそれを受け入れられるほど俺は寛容ではないからな」
そう言われ芝浦は虚を突かれたような表情になる。
そしてすぐに赤くなるとメニューの前に倒れ伏しながら。
「もー、何ですぐそういう事言うのー……もー……俺ばっか恥ずかしいじゃん……」
照れる芝浦を前に、手塚はメニューを閉じる。
「そんなに恥ずかしがるな……メニュー、決まったらオーダーするぞ。どうする?」
「んー、俺はねー、小エビのカクテルサラダとコーンクリームスープにトマトパスタ。デザートはアイスケーキね」
「あぁ、わかった」
従業員を呼ぶベルに手を伸ばしながら、手塚は漠然と思っていた。
もし芝浦が本当にもっと早く恋愛に対しての臆病さを失っていたらきっと今自分の隣にいる事はなかったのだろう。
そう思うと些細な偶然に感謝せざるを得ない。
あるいはその些細な偶然の積み重ねが運命というのだろうか。
もしそうだとしたら、変えられない運命があるというのも悪くない。
手塚はそんな事を考えながら、目の前にいる愛しい相手をやさしく見つめるのだった。
<どうでもいいオマケ>
「あぁ、でももし俺が学生の頃に出会っていても、俺と手塚って同じ学校に通えたとしたら大学だけなんだね」
食べ終わったパスタの皿をテーブルの脇に避けながら芝浦はそんな事を言う。
手塚と芝浦は歳が3つ離れている。
という事は、芝浦が中学一年生の時に手塚はすでに高校一年生。芝浦が高校一年生の時には大学生になっているという事だ。
もちろん、例え同じ学区だったとしても芝浦は名門私立のお坊ちゃんなのだから同じ学校に通える事はなかっただろう。
「そうだな、小学生だったら通えていたかもしれんが」
「だとしても、同級生じゃないからねー。一緒に修学旅行とか、文化祭とかそういう感じにはならないかー。部活で憧れの先輩……って感じでもなさそうだしね」
「何だ、そんなに俺と学生生活とやらを楽しみたかったのか?」
どちらかといえば「変わり者」として周囲から浮いた扱いになっていた手塚にとって学生時代の思い出はさして楽しいものではなかったが、処世術に長けた芝浦にはそれなりに楽しい生活だったのだろう。
そう語る表情はどこか楽しそうに見えた。
「うーん、手塚と一緒に学生やりたかったってのはちょっとあるかな? 一緒に下校デートとか楽しそうだし」
「そうかもしれないな……」
「でも、それ以上にもっと早く手塚に会いたかったってのがあるかな」
従業員がデザートを置き、かわりに空になった皿を下げる。
その姿を見送ってから、芝浦はふにゃりと笑って見せた。
「だぁって、もっと早く手塚に出会ってたら、俺たぶんキスもセックスもあんたが初めてだったと思うんだよね。アンタしか知らないってのも、最近悪くないよなーって思うんだ」
あまりに屈託のない笑顔で言われたものだから手塚は飲んでいたハーブティを吐き出しそうになる。
「何言ってるんだお前は……」
「へへー……でもま、いいかな。だって今、ムカシの相手なんて微塵も思い出せないし。だったらキスもセックスも手塚が初めてなのとあんまりかわりないかもね」
芝浦はそういい、デザートをつつく。
時々思いがけぬ事を言う男だが、それでもただ一途に自分だけを見ているこの男が、手塚はやっぱり愛おしいと思うのだった。
PR
COMMENT