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インターネット字書きマンの落書き帳

   
きっと秘密があるほうが良い(みゆしば)
平和な世界線で普通に付き合っている手塚と芝浦の話です。(挨拶)

今日は、過去にむちゃくちゃDKブランドを利用して男遊びが激しかったしばじゅんちゃんが、自暴自棄だった自分の過去を思い返して悶々としちゃうような話ですよ。

業が深いので、推しに自暴自棄の過去をもたせたいタイプです。
業が深い過去をもたせたいんですよ。
破滅しそうな男を深淵から引きずり出す、そんなCPが好きなので。

最も、引きずり出した手が天使の手とは限らないんですがね。

げへへ……。

俺のフェチだけで書いているので俺のフェチと合致してる人は楽しんでくだしぁ。
合致してないひとは、今日から合致してくだしぁ!


『秘密』

 キッチンで食器を洗う手塚の背を眺めながら芝浦は何をするでもなくソファーで横になっていた。
 今日の夕食は芝浦が作ったものだからと手塚は率先して食器を洗ってくれている。
 仕事を終えてやっと戻ってきたのだから後片付けなど任せてくれれば良いと思うが「おまえが俺に何かをしたいと思うように、俺もおまえの為に何かをしてやりたい」などと言われれば断れるはずもない。賃貸アパートのキッチンはお世辞にも広くないため手伝う事もできないまま芝浦は手持ち無沙汰でいた。普段の芝浦ならゲームを始めたり本を読んだりして暇つぶしをするのだがそんな気分にもなれなかったからだ。

 芝浦は手塚の為になら何だって出来るし何だってしてやりたいと思う。もし手塚が死ねというのなら躊躇わずそうするし、彼に殺されるのならそれでもいいと心からそう思っていた。
 手塚がそこまで思っているかはわからないが、彼もまた芝浦のために何かをするのは苦ではなかったようだ。
 実際に芝浦がどんな無茶だろうと思う提案をしても手塚は驚きこそするが芝浦の身に危険が及ばない限りはそれを受け入れてくれている。

 愛されているのを感じるが、改めて実感すると嬉しくもくすぐったい気持ちにもなった。
 自分が誰かのことを好きになるとは思っていなかったし、誰かに愛されるとも思っていなかったからだ。

 だが同時に不安になる。
 かつての自分は自分に何かを与え慈しんでくれようなどと欠片も思わない相手にばかり身を委ねていた、他人からすれば汚い体なのだから。

 学生時代、芝浦は年上男に抱かれる事を遊びと称して楽しんでいた。
 それは彼自身の性的嗜好が女性よりよっぽど男性に抱かれることを好んでいたのもあるし、同年代より年上の男に魅力を感じていたこともあるだろう。有名な名門私学の男子高校生という肩書きはそれだけで興味を引くには充分だったし芝浦の容姿や仕草はいくらでも金を生んだ。

 彼が軽率な遊びに身を委ねるようになったのは、芝浦家の嫡男という重責。あるいは選択できぬ運命が敷かれていたからだろう。
 いずれは親が準備した体裁のよい伴侶をもらい、子供を作り育てまた芝浦家の跡取りとする。自分にはそのような役目がありそこに自分の思考も嗜好も一切入る余地はない。
 一生涯、誰も心から愛する事などないのだろう。
 物心ついた時に母の姿はなく、父からもモノでしか愛情を受け取ったことはない。学業に習い事にと環境は恵まれていただろうが周囲は誰しも彼を芝浦家の嫡男としてしか見ておらず芝浦淳という個人を愛そうとはしなかった。

 自暴自棄になったのは当然の結果だったかもしれない。
 刹那的に。享楽的に。日々をただ楽しんで生きて行ければそれでいい。学生時代の芝浦はそう考えるようになっていた。
 そして誰にでも金で抱かれるような生活を続けるようになっていたのだ。

 今は幸福だろう。離したくないと思う手に触れ、離れたくないと思う心をつないで今は手塚の傍にいる。 自分が愛したいと思い、相手もまた自分を愛したいと願う本当の恋人が傍にいてくれるのだから。
 だからこそ過去にそんな奇跡を信じず自棄をおこし自分を軽んじていたのが無性に腹立たしくなってくる。

 学生であったが故に見れる世界が狭かったのはある。
 子供だったが故に思い込みが強すぎたことや愛されている実感がなかったというのも理由の一つだ。まだ学生であり判断力が乏しい世代の子供を大人達が食い物にする社会の闇もあり全てが芝浦のせいではない。
 だが一度でもそのような選択をしたのも自分自身だと芝浦は思っていた。

 芝浦は今まであまり挫折も後悔もしたことはなかった。愛情を与えられていたとは思えなかったが、金で得られた知識や教養は彼が学生生活を送る苦労を減らしていた。
 何をやらせてもそつなくこなし、普段から勉強は嫌というほどさせられていたからテストの点数が著しく悪い事もない。そもそも学校は大学までエスカレーター式なのだからそこまで勉強お必要としない。

 そんな芝浦がいま、深い後悔に苛まれている理由が得られなかった愛情を得てしまったからというのは何とも皮肉なことだろう。

 愛した存在だけを抱き、愛そうとした相手だけに心を寄せるようになった今、自分の過去が酷く恥ずかしく穢れているように思えた。後悔は募り、自分がこんなに幸せでいいのだろうかという不安が広がる。

 その不安を手塚に告げた事もあった 。
 どうしようもない傷と穢れを抱えた過去をもつ自分はふさわしく無いのではないか。汚いと思うのなら早めに捨てて欲しいと思ったからだ。捨てられるのならまだ傀儡としての生活に戻れるうちに捨てられたい。そうしたら愛された事など忘れ盤上の駒に戻れただろうから。

 だが手塚はそれを気にしなかった。苦しい思いをしてまで言わなくてもいいとまで告げてくれた。それから芝浦が過去の話を自虐的にする時はいつでも慈しんでくれたし、叱ってくれた。

 過去はどうでもいい。今の芝浦を愛したいのだから。
 過去の男たちをいずれ忘れてしまうほど長くともに過ごしていこう。

 あまりにも甘く、気恥ずかしく、だが幸福な言葉は過去を自虐的に語らせるのを止めた。 それでも過ごした時間が消え去る訳ではなく、時々心に暗く重い影となって現れるのだ。そういう時は言い知れない不安と焦燥、恐怖に抱かれる。やはり手塚に自分はふさわしくないのだと思ってしまう。

 手塚は優しい。苦しみを告げても許して抱きしめてくれるだろう。
 それを理解した上でなお自分の過去を自虐し語ることはきっと手塚にとって負担だ。重たい男だと思われる。いや、事実として重い男なのだがあまりそれを露見させるときっと手塚も辟易するだろう。
 今はただ手塚に見捨てられるのが何よりも恐ろしいが、募る焦燥は一人で持て余す程だから。

「な、海之。それ終わったらキスしてくれないか?」

 突然の提案に、手塚は怪訝な顔をする。だが芝浦が望むのならやぶさかではないというのは見てわかった。

「別にいいが、どうした急に」
「理由は聞かないで欲しいんだけど。ほら、秘密があるほうが恋愛ってそそるんでしょ?」

 指先を唇で触れいたずらっぽく笑えば食器を片付けた手塚はソファーで横になる芝浦の手を握ると引き寄せて体を起こさせる。 そうして起きた彼の唇に触れるだけのキスをした。

「たしかに、知らない領域があるから恋愛は面白いというのはそうだ。秘密は蜜。互いに共有の秘密があるほうが、もっとそそられると思わないか?」

 切れ長の細い目は妖艶な光を帯びて芝浦を捉える。
 だがどういう意味だろう。互い言えないような秘密を告白すれば良いのだろうか。不思議そうに首をかしげる芝浦の体を包むように抱き、繰り返しキスをする。

「だから今日は二人しか知らない秘密を作る。それでいいだろう? ……きっと、おまえの望むものはそういうもののだろうから」

 溺れるようなキスをされ芝浦の内に湧き上がる焦燥も不安も少しずつ薄らいでいく。
 その先にはただ、二人でつくる秘密への期待と幸福ばかりが広がっていた。

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インターネット駄文書き
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ネットの中に浮ぶ脳髄。
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