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インターネット字書きマンの落書き帳

   
この命で出来なかったとしても。(ピピン殿~漆黒後日談妄言)
実は光の戦士です!(挨拶)

今回は、いち光の戦士として…紅蓮を越え、漆黒も無事に越えた今!
ピピン殿とラウバーン様の関係を考えて……お話を、書いてみました。

ピピン殿は真面目だからおくびにも出さないけど、本心としてはもっと……自分の「したいと思っている事」があったんじゃないか……・
あれだけ尊敬していたラウバーン様に対して、我慢してるんじゃないかな……。

と、あれこれ考えつつ。
漆黒を踏破した今、それを形にしてみたいと……思います!

内容として、紅蓮全部と漆黒の序盤ネタバレがありますので……紅蓮をパッチ分まで踏破した方。出来れば漆黒パッチ分まで踏破した方向けです!

なお、自ヒカセンが出ます。
ちょっとだけどね!

自ヒカセンの設定おいておきますね……!


<うちヒカセン設定>

おなまえ : シェヴァ
ねんれい : 21才(ただし自称。そう言っておけと言われている)
しゅぞく : ミコッテ♂(サンシーカー)
がいけん : 褐色白髪、片目目隠れ
せいかく : あほの子。ごはんを好き嫌いなくぱくぱく食べられる。

ゆるっとわかってればいいと思います。
わからなくてもいいと……おもいます!




『自分なら、きっとどこかでそうしている』

 ラウバーンはウルダハを去り、アラミゴ復興のため一兵卒の立場から歩み出す道を決めた。
 祖国・アラミゴの奪還はラウバーンの悲願であり、その戦いに身を投じる事が出来たことさえも喜ばしい事だったろう。その上でアラミゴの為に知恵と力を使う事が出来るのならなおさらだ。

 それが養父であるラウバーンが考え抜いて出した結論であり、女王陛下であるナナモが涙をこらえ送り出した決意からの決別だ。
 そこに異論を挟む余地などなかった。

 だが、ピピンは時に思うのだ。

 ラウバーンに信頼されたからこそ、ピピンはその跡を任された。
 不滅隊とウルダハを守る剣となる道を養父ラウバーンから次代に進む意味で託された事だって、もちろんは理解している。

 また、その任務を任されるべきは自分以外にないのも心得てはいた。
 不滅隊の面々から誰よりも信頼されているという自負もある。ララフェルの身体という大きさのハンディを背負っていても、並大抵の兵では押し負けないだけの技術も身についていた。

 もちろん、身につけたのは剣術だけではない。
 人を動かすために必要な言葉や行動についても。戦場での策略についても。己が信念のために生きて歩き続けるというのも全てラウバーンから学び、彼の望むウルダハの姿を、不滅隊がその中でどのように動くべきかも理解していた。

 ラウバーンの描いた青写真を形にする。
 その役目が果たせるのは息子であり最もラウバーンの意思を継承しているピピンの他に適任がいないという事は、もはや誰もが認める所だった。

 それに、アラミゴが解放された今ウルダハの情勢も大きく変わる。
 新しいウルダハとして歩みはじめるには、新しい体制にも柔軟に対応できるピピンの才知が最も適しているという事は、頭が固い砂蠍衆も認める所であった。

 全てにおいて、ピピンにしか出来ない事なのだ。
 だがそれらの全てを理解していてもなお、彼は思う事があった。

 どうして、ラウバーンと行く事が出来ないのだろう。
 彼の隣で再興されゆくアラミゴを見つめ、頬をほころばせる養父の姿をそばで見る事がかなわないのだろうかと。

 ピピンはウルダハの生まれであり、アラミゴとは縁もゆかりもない人間である。
 だがアラミゴという国についてはよく養父から聞き、彼が生きているうちに自分の手でアラミゴへ帰還させる事が出来たのならこれほどうれしい事はないと。それこそが自分の恩返しであろうと思っていた。
 アラミゴはピピンにとって、聞いた事こそあるが見た事はない。だが憧憬の中にある故郷であったのだ。

 その憧憬の故郷に、いつか養父と降り立つ。
 何時かなうかわからないような遠い夢だと思っていた好機はピピンが思うよりずっと早くにやってきた。
 僅かな綻びに見えた糸はみるみる強固な縄となり、綱となり、最後は紅蓮の炎となって帝国の支配を焼き尽くしたのだ。

 かくしてラウバーンは故郷へ戻り、その隣にピピンの姿はなかった。
 ピピンはラウバーンから不滅隊を、ウルダハを、ナナモの安全を託されてしまったからだ。

 ラウバーンが自ら歩んだのは、アラミゴの復興だった。
 帝国の支配を受ける前のアラミゴは暴君が支配する独裁国家だったがそれでも。いや、それだからこそラウバーンはアラミゴを良くしていきたいと思ったのだろう。
 悪しきアラミゴを知るモノとして、同じ轍を踏んで欲しくはないと。そして二度と誰かに屈する事のないような強い国を作りたいと。
 そんな理想があるのがわかる。そしてその理想へと邁進するためには、ウルダハまで背負うのは重すぎるのだ。

 養父の重荷を肩代わりする事こそが今の自分ができる最大の恩返しなのだという事も、全てわかっていた。
 それでも、ラウバーンの事を思うと心が霧に包まれたような嫌な気持ちになるのだった。

 本当にこれで良かったのだろうかと思う自分がいる。
 もっと養父のため、ラウバーンのために出来る事があったのではないかと思う自分がいる。  解放者のしてきた事と比べれば、自分の働きなど小さいものではないかと卑下したがる自分がいる。
 本当は自分も行きたかったのだと子供のようにせがむ自分もいる。 
 だが今、ウルダハでの仕事を全て投げ出すような無責任な事が出来ない自分もいる……。

 様々な自分が顔を出しては不満を述べ、その暗い気持ちに触れるたびに考えてしまうのだ。  本当に、これで良かったのだろうか、と……。

「おまえは、迷い立ち止まるような事はないのか?」

 イシュガルドでは英雄と呼ばれ、アラミゴでは解放者と呼ばれる男にそう問いかけたのは、自分の中にある無数の感情があふれだしそうだったからだろう。
 その時、件の英雄はゆるやかに微笑んでから告げた。

 心が悲しみに苛まれて歩むのを止めようと思った事は何度だってあるということ。
 だけどその隣にはいつだって誰かがいて、背中を優しく押してくれたということ。
 そんな優しい誰かの全てを救う事は、とうとう出来なかったということ。

 英雄だとか解放者だとか大仰な名前で呼ばれていても、やはり一人の人間だ。
 迷い、悩み、苦しんで、それでも前へ進んでいく。
 進んでいく事が、残された自分の役割なのだと思っているから。この先にある未来を1秒でも長く見ていくのが、自分の勤めだと思っているから。

 だから彼は、迷っても悩んでも苦しいと思っても、時に涙をこぼしても前に進んでいけるのだと言った。

「それに、おれは知ってるんだ。世界は、ここ一つだけじゃないんだって」

 さらに続けて、彼は語った。
 ここではない世界のコトを。

 光に満ち、光が唾棄される世界で「もう一人の自分」とも言える存在と出会ったこと。
 またその場所に、亡くした戦友(とも)の面影をもった相手が生きて、仲間たちや良き友と過ごしていること。

「あるいはそう、魂が巡って、また別の肉体に宿る事だってあるんだってさ……そうなると、以前のコトは全く覚えてないみたいで、かなり無理矢理思い出させないといけないみたいなんだけど……」

 それでも、魂は巡りまた大地へと戻ってくる。
 同じ魂が同じ大地に戻ってくる事なんてきっと奇跡のような確率だろうが。

「それでも、俺は思うんだよね。たとえこの人生でかなわなかった願いだとしても。死んだらこれっきりで、もしもの世界なんて存在しない。それがわかっていたとしても……今のおれが出来なかった事が、どこか別の世界のおれがやってくれるかもしれない。あるいは生まれ変わった時、今度こそは出来るかもしれないって。そう思うとさ、可能性って無限大だよね」

 屈託無く笑いながら話す彼の姿はいつもと変わらなかったが、その言葉は妙に腑に落ちて、ピピンの中にあるわだかまりが解けて消えるような気がした。

 そうだ、自分の今ではまだ出来ないが、「いつか」出来るかもしれないのだ。  
 それは10年後かもしれないし、20年後かもしれない。だが命をつないでいればラウバーンと並んでアラミゴの町並みを眺める事は不可能などではないだろう。

 もし、自分の一生でそれがかなわなかったとしても別の世界にいる自分はきっと、やはり同じように養父を支え彼の片腕となりともに戦っているに違いない。
 もしそうでなかったとしても、自分が一生を終えた後。
 再びラウバーンの傍に生まれ、今度は故郷を同じとして、二人で平和なアラミゴの街を眺めながら「平和すぎて退屈だ」なんて軽口を交わす。  

 そんな未来もあるのかもしれない。

 そう、この人生でかなわなかったとしてもまた別の世界で、別の生き方で、養父と歩める事だってあるかもしれないのだ。
 自分だったらどんな場所で、どんな姿をしていても、きっと養父を探し見つける自信ならあるのだから。

「そうか、そうだな……可能性は、いつでも。どこにでもある……か」

 それならば、今は養父に託されたウルダハを守り抜くのが自分の役目なのだろう。
 養父とともにアラミゴを再興するのは今ここにある自分ではなかったとしても、世界のどこかにいる自分が。あるいはこれからどこかに現れる自分がきっと成し遂げてくれるのだろうから。

 心持ち軽くなった表情で、ピピンは前を向く。
 いずこかにいる自分に残りの思いを託して、今ある自分の役目を全うするために。

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インターネット駄文書き
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