インターネット字書きマンの落書き帳
壊れたオメガを見つけたので。(ネロさンとかアルファとか)
はい、話の内容からオメガのネタバレコンテンツになっております!
オメガをクリアしてない状態だったら、ここから先は読まないでねッ!
以上、親切なヒカセンからのネタバレ注意喚起終了です。
ここから先はサックリと、作品内容を説明しておきますよ。
旅に出たアルファとオメガ。
だけどオメガの調子がイマイチ悪くなってなんかジタバタしているのを見つけたネロさンが、オメガを直してあげる話です。
オメガのネロさんたるや魔女っ娘だったり古女房だったりアルファ&オメガの保護者だったり忙しいですネ!
俺はアルファとオメガの保護者であるネロさンが好きです。
保護者属性のネロさンが見れるコンテンツは、オメガだけ!
「壊れたオメガと赤いおじさん」
ギラバニアの風を受け旅だってから、一体どれだけの月日が経ったのかアルファは知らない。
だが過ごしてきた日々の中で、アルファは初めて立ち止まりただ困惑をしていた。
いつも隣を歩き、一緒に過ごしてきた良き友であり良き相棒であるオメガが急に動かなくなってしまったからだ。
オメガは機械仕掛けの人形でしかない。
本物のオメガ、その外見を模して作られた存在であり、人間らしい意志も動物のように感情を見せる事はない。
だがそれでも、アルファにとって機械仕掛けのオメガは大切な友人でありともに旅してきた仲間であった。
その仲間が、今は歩こうとしない。
動かなくなったと先に書いたが、実際のところは「うまく動け無くなった」という方が正しいだろう。
細く複雑な部品を組み合わせた足のギアがかみ合っていないのか、それともモーターに寿命が来たのかは見た目では分らない。
だが今のオメガは歩こうとしてもまるで足がもつれたように不器用な歩みをみせ、すぐに転んでしまうのだ。
ひっくり返ったオメガは、足をしばらくジタバタと動かした後、ジィーッ……という機械音とともにすぐに動かなくなってしまう。
こんな事は一緒に旅していて初めての事だったため、アルファはただ狼狽える事しかできないでいた。
アルファに機械を直すような知識はない。
そもそもアルファは相棒であるオメガの事を機械と認識しているかも怪しかったし、もし直すだけの知識があったとしても手ではなく翼しかもたないアルファは繊細なパーツをいくつも使ったオメガを直す事などできなかっただろう。
あるいはオメガをガーロンド・アイアンワークスまで運ぶ事が出来たのなら、誰かが見つけて直してくれただろう。
しかしオメガはアルファの体重、半分以上の重さがあり自走できなかったオメガを運ぶ術がアルファにはなかったのだ。
だからただ狼狽え、途方にくれるアルファの前に、「その男」は現れた。
「なんだァ、随分としょげてると思ったら、そいつが動かなくなっちまったのか」
アルファが顔を上げれば、そこに金色の髪を丁寧になで付けた男が立っていた。
サングラスで顔を隠しているが、だからこそその顔に見覚えがある。
以前、自分とともにオメガの試練に立ち向かってくれた背の高い男はその身を小さく丸めると、オメガを片手で拾い上げた。
「まったく、誰だ雑な仕事しやがって。モーターが焼き付いちまってンじゃねぇか……パーツの消耗も激しいな。モーターだけじゃダメだ、ちょっと中身を入れ替えるから待ってろ。大手術になりそうだぜ……」
男はそう言いながらひっくり返したオメガの中を開けると、見た事のない道具や見た事のない部品を次々と取り出してオメガの身体をいじり出す。
アルファにはそれがオメガを虐めているような、痛め付けているような風に見えて少し心配になってしまったのだが。
「オイオイ、そんな顔すンなって……こいつの事、直してやってンだぜ。お前から見ればコイツの腹を開けて痛め付けてるように見えるかもしれないが……ちゃんと元通りにしてやるからまってろって」
男の声が存外に優しく、悪意もないのは分ったから、アルファは黙って見守る事にした。
オメガはしばらく、文字通り死んだように沈黙していたが。
「よし、これで大丈夫だろ……」
男は満足そうに頷くと、ゆっくりオメガを大地へと立たせる。
オメガは最初周囲を伺うように首を動かして、それから目の部分がチカチカと点灯したかと思うと以前のオメガと同じよう、機敏な足取りで歩き始めた。
「はは、このネロさンが直したんだからエオルゼアを100周したってもう壊れないのは保証してやるぜ。行けよ、チビども」
アルファは男の言葉がよくは分らない。
だが何とはなしに励まして、送り出してくれているような気がしたから、アルファはオメガを元通りにしてくれたお礼と応援してくれたお礼とを込めて大きな頭をペコリと下げる。
オメガもまた、そんなアルファの姿に習うように首を、下げるような動きを真似しようとして、結局できなかったから頭をくるくる回すのだった。
「何だ、礼なンかいらねぇって。通りすがりの、ちょっとしたお節介だからな。じゃぁな。ま、また何処かで会おうや」
男は片手を軽く上げると、二人へと背を向ける。
アルファとオメガは男の真似をし片手を上げる仕草をすると、広い大地へ歩み出した。
「行け、行くといい……この世界はどこまでも広がっていて、お前たちは何処にだって行けるンだからな」
男はそう独りごちる。
アルファにもオメガにも、そしてその男にも平等に心地よい風が吹き抜けていった。
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